今回は、賃貸管理の現場業務において、RPAを活用して効果を発揮するシーンについて個別にお伝えしようと思います。
ぜひ自社の業務改善にお役立ていただければと思います。
RPAとは
ロボティックプロセスオートメーション(Robotic Process Automation)の略です。
RPAの提供する代表的な機能は、人がパソコン上で日常的に行っている作業を、人が実行するのと同じかたちで自動化する、というものです。
RPAでは、人が行う処理手順を登録しておけば、人が操作するのと同じ様に複数のシステムやアプリケーションを操作し、実行することができます。
作業の自動化の設定についても、多くのRPAソリューションが、画面操作記録やプロセス・ダイアグラム上でのドラッグ・アンド・ドロップ等の機能を備えているため、プログラミングができない人でも直感的に設定することができ、自動化にかかる負担は小さいです。
このように、従来の自動化で必要とされたような、長期間に渡る既存システムの変更や業務フローの見直し等を経ることなく、既存の業務を効率化できる点がRPAの最大の特徴です。
注意点としては、基本的には設定されたプロセスを、設定された通りの順番で設定された通りに実行することしかできません。
そのため、判断を伴ったり、手順が毎回変わったりするような業務には適していません。
RPAの導入効果が高いのは、単純な作業を複数システムをまたいで行うような、定型的かつ繰り返し型の作業です。
たとえば、終業時に毎日、同じデータを複数システムに登録するために、幾つものシステムを立ち上げ、それぞれにIDとパスワードを入力し、データファイルをアップロードする・・・あるいは、情報検索の際にデータベースが統一されていないため、複数アプリケーションを立ち上げながら、同じ検索条件をそれぞれに入力し、そこから情報をエクセルにコピー・アンド・ペーストする・・・といった作業にRPAを活用すると、従来であれば30分かかっていた作業が1分に短縮された、という事例もあります。
システム→のExcel・Word等文書ファイル転記
各種文書ファイルの情報を参照しながら基幹システムや各種ツールに転記する作業が相当数あるかと思います。
例えば以下のようなものが想定されます。
- システム→発注管理表
- システム→請求書・契約書等
- システム→分析のための社内帳票
上記は一例ですが、システムからの出力やテンプレートでは反映されないような情報を手入力するようなケースがあるかと思います。
特に、月次、週次、日時で発生するような定型的な業務であればあるほどRPAを活用するメリットは増大します。
システム→システムの転記
昨今では個別業務に対して優れた機能を持つマイクロサービスが多々ありますので、業務ごとに複数のアプリケーションやシステムを活用している企業様が多いかと思います。
そのような場合、物件情報や顧客情報を転記する必要があるかと思います。
例えば以下のような場合です。
- 申込受付・進捗管理ツール(イタンジBBやいえらぶ等)⇔基幹システム
- 解約受付(WEBフォームやメール)→基幹システム
- kintoneなど業務支援ツール⇔基幹システム
- 保険申込⇔基幹システム
上記のように、社内で利用しているマイクロサービス間や提携業者様のシステムへの登録など活用場面は多岐にわたります。
特に建物情報や申込・更新・解約等顧客情報は頻繁に登録・転機が発生するかと思います。
そうした際にRPAを活用いただくと大きな業務効率化を図れます。
RPA導入時の注意点
導入に当たっては以下のような点に注意しておく必要があります。
現場の協力とその後のメンテナンス
RPA導入に当たっては、実際の作業をRPAに登録させるために現場で実際に作業をしている方に実演していただきそれを登録するか、現場の方に登録をしてもらうかが必要なります。
また、登録した作業がその後変更されることもあるかと思います。
その場合には設定を変更しないと当然適正に働かなくなるため、現場の継続的な協力とメンテナンスをする担当を決めて実施する必要があります。
一時的なソリューションと認識する
あくまで現状の作業を覚えて実行するため、上記のように運用や業務変更、システム変更や改修に当たっては当然RPAも設定変更を余儀なくされるため、長期的に安定して運用することは限界があります。
そのため、長期的な業務の自働化を考えるのであれば、各種文書ファイルについてはシステムやアプリケーションからの出力、マイクロサービス間の転記であればAPI連携等のつなぎ込みを考える必要があります。
とは言え現状の業務の定型化や自動化に寄与することは間違いないため、長期的な業務改善計画の中で初期対応として検討実施いただくだけでも大きな成果を期待できるかと思います。