【不動産営業マンの悩みは大半が売上に起因】問題解決に必要な心構え

不動産営業の悩みの代表格と言えば売上。

安定して売上を上げられれば、悩みの大半は霧散します。

不動産営業に限らずかも知れませんが、営業活動は狩猟に例えられることが多いでしょう。

獲物を求め東奔西走。

駆け回って成果が上がれば努力も報われますが、必ずしも成果に比例するとは限らない。

業績が上がったからと言って安心できないのがこの業界の特徴です。

「不動産業界はクレーム産業」と揶揄されるとおり、誠実に対応していても発生するのがクレームです。

あらかじめ手を打つことにより、クレームを最小限に抑えることはできるでしょうがけして“0”にはならない。

契約数に相応してクレームの数も増加します。

そのような問題に対応しながらも、次の契約を目指し「追客」をおざなりにできない。気の休まる暇はありません。

実直に業務をしていれば尚更でしょう。

筆者が不動産業者に従事していた時代も同様の悩みに直面していましたし(独立した今は別の悩みを抱えていますが)、役職につけば部下の問題解決にも頭を悩ませなければならない。

今回は不動とも言える不動産営業の悩みに注目し、それを解決するためにどのような対策が考えられるかについて解説していきます。

よく耳にする不動産営業マンの悩み

インターネットで検索してみましたが不動産営業マンのお悩みランキングは見当たりませんでした。

営業マンが抱える悩みは人それぞれですから、ランキング付けすることもできないのでしょう。

そこで筆者が相談を受けた経験や、日頃から見聞きする「お悩み」を箇条書きしてみました。

  • 成約件数が安定しない。契約がとれない。
  • どうしてもクレームが避けられない。クレーム対応のため業務に支障をきたしている。
  • 人間関係の悩み
  • 不規則な時間体系。休みが予定通りにとれない。
  • 知識が必要だと理解しているけど、勉強する時間が確保できない

細か内容はさておき一般的な悩みは、例示したいずれかに該当するのではないでしょうか。

次項から、これらの悩みについての解決策について述べたいと思います。

ほとんどの悩みは、これを学べば解決できる

ビジネスマン,都会

契約に関しての問題は2つに大別する必要があります。

例えば1~2ヶ月、驚異的な件数の契約をあげそれ以降は低調な営業マン。

つまり乱調傾向のある方と、際立った件数は上げないけれどコンスタントに成果を上げてくる営業マン。

このどちらが会社や上席にとって有り難いのかといえば間違いなく後者です。

数字が読める営業マンほど、経営者側にとって有り難いものはありません。

年度末の集計で契約件数が同数であったとしても、後者の方が人事考課も高く結果としてボーナスや昇給額にも反映されるでしょう。

最終的な締め数字が同じであれば、それで良いではないかと思われる方もいるでしょうがそんな単純な話でもありません。無理をして一気に数字を上げると、業務の細かい部分に目が届かずミスを併発しやすくなります。

結果、クレームなどに追われてしまう。

一気に契約を上げるタイプの方が、その後、低迷するのは事後処理に追われるからです。

それにたいしコンスタントに実績をあげる営業マンは、慌てず騒がず自分のペースで物事を処理していきますから問題が発生する可能性が低くなります。

よしんば意図しないクレームが発生しても余裕を持って対応できるので大事になりにくい。

ボヤ程度で済んでしまうのです。

筆者は不動産業に関わりをもってから今年で33年を迎えました。

長い期間、従事しているから偉いという訳ではありませんが、続けてこられたのには相応の理由が存在します。

心がけているのはペースを乱さないこと。

言い換えれば「泰然」を常とするということでしょうか。

その上で以下のようなポイントを念頭に活動します。

1. コミュニケーションスキル

営業に求められるのは優れたコミュニケーション能力です。

ただし意味を持たない言葉数、つまり無駄話の多さを推奨している訳ではありません。

必要なのは、的確に顧客心理を読み取り、想定される最適解を適切に分かりやすく伝達できる能力です。

2. 情報収集と市場分析

顧客から信頼をえるためには不動産市場の傾向や業界全体の動きなどに精通している必要があります。

納得できる信頼性の高いデータを提供すると同時に、分かりやすく説明する必要があります。

そのために日頃から意識して情報収集に努め、受け売りではない市場分析を心がけます。

3. 専門知識の継続的な向上

毎年のように改変される不動産関連法規などに追従すると同時に、常に最新知識をアップデートするように心がけます。

他とは違う営業マンは豊富な専門知識と市況の変化に精通しているものです。

4. 時間配分

不動産営業が対個人である場合、顧客のスケジュールに合わせるため時間が不規則になるのは否めません。

ですがそれも程度問題です。

信頼関係が構築されていれば、営業マンは常に顧客と対等です。

無論、馴れ合いのような言葉遣いが許されるという意味ではありません。

あくまでも心理的な意味合いにおいてです。

ある程度は顧客の求めるスケジュールに応じながらも、状況によってこちらのスケジュールに顧客の時間を合わせてもらう。

それにより自分のペースで業務を遂行でき、結果的に時間が生み出されることでしょう。

5. 問題解決能力の向上

不動産営業に限らず、営業マンに求められるのが問題解決能力です。

大事になってから慌てるのではなく、問題が発生する前にその原因を摘み取ってしまうのが理想的です。

場数を踏めば問題解決能力も磨かれますが、てきれば経験しないのが理想です。

そのために日頃から国民生活センターや宅建協会に寄せられた相談や回答事例のほか、判例などに目を通し、どのような事例が問題となるか、またその場合、どのようにすれば問題を発生させないようにできるかを考えることによって、必然的に問題解決能力も磨かれるでしょう。

6. 継続的なフォローアップ

不動産業が焼き畑農業に例えられることがあるのはこれが理由かも知れません。

契約前から決済までの前後は、望まれてもいないのに連絡を取りますが、引き渡し後はまったく連絡せず疎遠になる。

取り引きを終えれば次に目が行くのは致し方がないものですが、安定して実績を上げ続けている営業マンほど継続的なフォローアップの重要性を理解しています。

引き渡しが終わったあとまったく顔を出さない営業マンと、事あるごとに連絡をくれる営業マンのどちらを信頼するかといえば悩む必要もなく後者です。

親しければ細かいクレームも言いづらくなる、また信頼しているから、知人が不動産の購入を考がえていると耳にすれば、善意から「いい人がいますよ」と紹介したくなる。

結局、継続的なフォローアップによりクレームの発生を事前に予防し、かつ紹介率も上がるのですから継続的に契約をあげ続ける営業マンがおろそかにするはずなどありません。

7. 柔軟性

不動産は高額ですから、宅地建物取引業法や関連法規を遵守することは当然です。

そこに妥協できる余地はありません。

ですが判断基準としての柔軟性は必要です。

清濁併せ持つ器量とでも言えば良いのでしょうか、第三者間のトラブルなどに心ならずも巻き込まれた場合、大岡裁きともいえる柔軟性が求められます。

市場や顧客の要求は常に変動するものです。

そのような状況においても適応力を発揮し、柔軟に対応することが成功への道だと言えるでしょう。

8. モチベーションの維持

成果を上げることが何よりも重視される営業マンは、不遇にしてキャンセルが続くことが重なった場合などに「心が折れる」ことがあります。

プライベートな問題が、業務にたいするモチベーションに影響を与えることもあるでしょう。

モチベーションの低下は意識せずとも言動に表れますから、少なからず周りにも影響を与えます。

人間は感情の生き物ですから、営業マンとはいえ常に上機嫌でいることなどできません。

ですが、継続して実績を上げ続ける営業マンは、そのような時のストレス解消やモチベーションを上げるための方法を、大概は持っているものです。

それは飲酒やギャンブルなど、健康や経済面に悪影響を与えるような発散方法ではありません。

水泳やランニングなどのスポーツのほか、キャンプに趣き自然を満喫する、映画やコンサートを見に行くなど健康的なストレス解消を行います。

そのような気分転換と同時に、問題を棚卸しして書き出す行為などを通じ、モチベーションを維持しているのです。

重視するのは業務効率だが、それだけはない

東京商工リサーチによれば、企業の倒産件数は増加傾向にあり中でも建築業者の倒産件数が増加中とのことです。

2023年上半期(1~6月)上半期の集計によれば前年同期比で36.2%増加の785件。

上半期としては2年連続で上半期を上回る状態が続いています。

建築資材の高騰や人手不足、人件費の高騰などにたいしコロナ禍で体力消耗した企業がアフターコロナ後に耐えきれず白旗をあげた結果です。

皆さんご存じのようにコロナ禍以降いまだに続く建築資材の高騰と、全国平均で増加した土地価格により注文住宅の請負を主力としてきた工務店は受注減に直面しました。

そこで少しでも売上を増加させるためと同時に、雇用しているもしくは常時発注している職方の仕事を作るため建売住宅に手を出しました。

安いが魅力の建売住宅も前述した理由が重なり、他社と比較して目を引くほどのお手頃価格ではありません。

結局は同じような考えに至った工務店などが足並みそろえて同じような戦略を用いた結果、建売住宅は供給過剰におちいり在庫が積み重ねられます。

ご存じのように建築後2年を経過すれば未入居でも中古扱いになりますから、苦肉の策で価格を下げる。

結果、予定していた利益を得られず赤字になる。

それでも売れれば建築費などの一部が回収できますから良いのですが、売れなければ不良在庫となりさらに価格を下げなければ処分できない。

まさに負のスパイラル状態です。

建築を手掛けていない不動産業者について倒産件数の増加は見られませんが、傍目からはラクに見えるのか、はたまたた他業種と比較すれば参入障壁も低く起業しやすいのが理由からなのか定かではありませんが宅地建物業者の数は8年連続で増加を続けています。

また先行き不透明な時代に資格ビジネスが盛況になるのは世の常ですが、宅地建物取引士の新規登録者数も増加傾向にあり、総登録者数は113万人に達したとされています。

もっともこれらの数字は令和3年に国土交通省から公表された「宅地建物取引業法の施行状況」に基づくものですから、現在はさらに増加している可能性が高いでしょう。

このように競合するライバルが増加するなか、顧客から選ばれる営業マンであり続けるためには前項で解説した成長のために必要なポイントを意識して実践し、時代に左右されない強い営業マンになる必要があるのでしょう。

結局のところ人間性・業務に関しての専門知識・時間管理などについて、それらを高める努力を続けることにより実力が得られるということです。

もっとも紹介したような方法には終わりはなく、生活の一部として根付き成果が得られるようになるまでに時間が必要です。また、ある程度成果が得られたからと言って歩みを止めて良いものではありません。

もっとも、情報収集や分析の必要性や知識拡充の大切さは理解していても目先の業務に時間をとられ「そんな時間はない」というのが本音でしょう。

時間に対する考え方は人それぞれですが、優秀なビジネスマンほど時間を大切にするものです。

時間は有限であり、誰にたいしても平等に与えられている唯一のもの。

だからこそ、それを生み出すための投資や業務効率に腐心するのです。

費用を投じてもメリットがあると思えば積極的にアウトソーシングを利用します。

たとえば不動産会社のミカタで提供しているAI不動産ツールやポータル反響自動電話システムなどです。

また実務として調査を行いながら、同時に重要事項説明書の記載例文などを確認して知識を学べる役所調査のミカタなどの利用です。

このようなサービスを利用し使い倒すことによって、もっとも大切な時間を生み出すことができる。

大切なのはそのような業務効率化によって生み出された貴重な時間を、自身を活かすためどのように活用するかです。

不動産会社の経営者と話をしていると、このような各種ツールを導入しても思ったように実績が上がらないと嘆く話を耳にします。

経営者サイドからすれば、このようなツールなどを新たに導入すれば当然に営業経費が増加する。

それが業績に反映され売上が増加すれば良いのですが、なかなか上手くはいっていないようです。

「業務効率ツールの導入によって営業マンの空き時間は増加したようだが、売上はかわらない。これでは営業マンにサボる時間を与えるためにシステムを導入したようなものだ」との嘆きがよく聞こえてくるからです。

会社に属してはいても営業マンは個人事業主と一緒です。

自身を成長させるのも、会社に依存しほどほどの状態を維持するのも全て自分の考え方次第なのです。

まとめ

今回は営業マンが売上を上げ続けるために必要な行動原理ともいえる部分に着目し解説しました。

結局のところ、コンスタントに成果を上げるためには自身の営業スキルを底上げが必要だということです。

他業種と比較して離職率の高いのが不動産業界の特徴ですが、これは業績が上がらないことで居心地が悪くなり離職したケースもあれば、自分自身をさらに成長させるため、つまり「この職場は自身の器に合っていない」と考え、ステップアップのために移籍する方もおられるでしょう。

どの不動産会社でも安定した売上を上げられる実力を持った営業マンであれば、三顧の礼で迎え入れたいのが本音です。

価格が近隣を圧倒するほど安く、さらに立地条件のよい物件を販売するのであれば営業マンなど必要ありません。

何も言わなくても真剣に購入を考え情報収集に余念のない顧客が、自ら判断し購入してくれるからです。

もっとも、稀にそのような物件が出回ることもありますが、まず市場には出回らないでしょう。

誰もが躊躇するような物件を売れるのが「力」のある営業マンです。

ゴリ押しではなく、物件のもつ利点に着目し、どのような顧客であればその利点を享受でき購入を考えるか、そのリサーチに余念がなく、アプローチする場合にも準備を万端で望む。

結局のところ、悩みの大半に起因する売上を上げるためには意識して自らを成長させるしかないのでしょう。

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