仲介会社にとって、何よりも気になることが「今月の売上」である。
年間の予算などは決まっているものの、実際に気にかかっているのは「今月の売上目標を達成できるかどうか」だ。
いくら年間で達成ができる見立てでも、当月の売上が低いとなんとなく気が乗らないものだ。
これは管理業とは大きく異なる性質のものだろう。
ご存知のように仲介業は、ストックビジネスではなくフロービジネスである。
先月かなり高い売り上げを立てても、当月がゼロならば先月の功績は無駄になってしまう。
よく仲介会社の方々と話をしていると「今月はどうか?」「ここ最近の市況はどうか?」という話になる。
当然と言えば当然の話題かもしれないが、意外と忘れがちなこともある。
それは「各社の売上計上方法の違い」だ。
とある仲介会社は当月に契約した案件の金額を合計し、その月の売上としている。
別の仲介会社では、当月に入金された金額を合計し売上計上を行う。
また、とある仲介会社では、当月に引き渡しをされた案件の金額の合計が当月の売上となっている。
大半の仲介会社は最初に紹介した「契約ベース」の売上計上方法を採用しているが、なかには「着金ベース」「引き渡しベース」で売上を立てる会社もある。
そう考えると「今月の売上」というのは、各社によって意味合いが若干異なるのである。
「今月契約した金額」と「今月入金された金額」は、当然異なる。
また「今月は調子が悪かった」という会話は、実際は「先月の申込数」に反映されることが多いのだ。
いずれにしても、仲介事業で毎月、高い売上を上げ続けるためには「先月の動き」がかなり重要になることが多い。
それは「契約ベース」であれ、「入金ベース」であれ同様のことである。
とある不動産会社の幹部の方とお話しした際、「今月の仲介事業の売上がこんなに悪いとは想定外だった」と呟いていた。
しかし、その幹部の方は「先月からの持ち越した金額」をあまり把握していなかった。
もしその幹部の方が「先月から持ち越した金額」を把握していたら、想定外だと呟くことはなかっただろう。
月の売上を安定させるためには、先月の売上の持越が重要になる。
もっと具体的に言えば、先月の3〜4週目の数字が鍵となる。
もし先月の持越がゼロに近い場合は、当月の売上を達成することはかなり難しいだろう。
先月の数字をしっかりと持ち越したうえで、当月の前半にしっかりと当月に計上できる数字を獲得し、目標を達成する。
これが上手く回っている仲介店舗の典型的なパターンである。
逆に売上が安定しない仲介店舗は、この「持ち越し金額」が安定しない。
細かく分析すると、月の後半の申込数が増加しない傾向が高い印象である。
月の戦略を週の戦術に落とし込む
毎月の売上を達成するために1週目から4週目にかけて、どのような動きをしていくのかをしっかりとメンバーに共有していかなければいけない。
月の売上を立てるため週次に「店舗でいくら申込金額を獲得していかなければいけないのか」を考える。
そしてその週次の店舗の売上目標を個人メンバーにも落とし込む。
また、さらにそこから必要な接客数、反響獲得数を弾き出す。
これによって「今週、何をしなければいけないのか」が、全員が理解することができる。
毎月の売上数字の安定を図るうえでは、欠かせない項目である。
月末の契約業務と営業活動のバランス
先程、紹介したように3.4週目の申込獲得数が店舗の売上を安定させるためには重要なところだ。
売上が安定しない店舗は、月の後半の申込数が少ないことが多い。
時節的な要因もあるかもしれないが、こうした店舗は契約業務に追われて、月の後半の営業活動に集中できていないことが多いように感じる。
この場合の対処法として、改めて店舗の業務を棚卸しを行い、契約業務の効率化を図る、もしくは人員の増加も考えてみても良いかもしれない。
実際に毎月の店舗の売上が上がっている店舗は、契約業務を午前中に集中させて、午後に営業活動を行うなどのように業務にメリハリをつけている店舗が多い印象だ。
対策を立てて、改善する時期を理解する
たとえば申込業務のキャンセル防止対策などは、かなり早い段階で成果が生まれる。
接客力の向上などは、効果検証などもあるので数週間はかかるだろう。
いっぽうで、返信率の改善も割と早い段階で成果が生まれやすい。
しかし、反響の増加などはそれなりに時間がかかってしまう。
店舗の弱点の改善には「時間のかかるもの」と「時間のかからないもの」がある。
常套手段としては、短期的な対策を打ちながら時間のかかる対策を少しずつ進めていく方法だ。
月の売上を安定させるためには、店舗の強化を図っていかなければいけないが、その「改善時期」も理解しておく必要があるだろう。
以上のように、毎月売上目標を達成させるためには、「当月」だけで考えず「前月からの動き」「週の動き方と情報共有」そして「改善時期の把握」を行なっていかなければいけない。
是非、参考にして頂ければ幸いだ。
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