お客様を物件案内する目的は実際の物件を見たり触れたりして、購入希望条件をどの程度満たしているかを確認することと同時に、入居した場合の生活イメージを現地で確認することです。
その結果、購入に至ることもあれば見送ることもあります。複数の検討物件がある場合、物件案内まで至ることにより、ひととおりの検討作業を終えることにもなるのです。
物件案内の流れは以下のように進みます。
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下見
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準備
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案内
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クロージング
案内する物件はレインズで検索し確定します。案内の前に下見をしておくことは重要で、道案内のルートや駐車できる場所などの確認も事前にしておきましよう。
案内の前には入念な準備が必要。お客様から聞かれると予想される質問に対しては、リサーチをおこない即答できるようにしておくこと。
元付業者や売主へ連絡をし案内日時の調整ができたら、お客様を案内し気に入ってもらえたらクロージングへと進みます。
それぞれのステップで押えておきたいポイントがあるので、次章から順に解説していきます。
不動産営業マンがに覚えたい「物件案内」の流れ【5ステップ】
1.案内物件の確定
案内する物件はレインズで検索しますが、初回訪問で紹介した物件を案内することになったり、新たに検索した物件を案内することになるかもしれません。
どちらにしても数多くの物件をピックアップするのはよくありません。せいぜい3件ぐらいに絞り込むのがポイントです。
あまりに多くの物件を案内してしまうと、比較するための情報量がキャパシティを超えてしまい、結果的に判断ができずに終わってしまいます。
お客様はたくさんの希望条件をもっているものですが、優先順位が明確になっていないと、選択軸がぶれてしまうのです。
また、物件数が3件ぐらいのほうが “希望条件をできるだけ満たす”物件を絞り込んだとアピールすることにもなります。
レインズで検索すると3件を超える候補がみつかるかもしれません。次章で説明する「下見」のステップで実際に物件をみて3件にしぼるのも方法です。
また、物件案内をおこなっても結論が出ず、再案内をするときの検討物件として押さえておくことも考えられます。
2.下見のポイント
「下見」は物件案内の流れで非常に大事なステップです。下見が完璧だとお客様のクロージングが早くなるともいえるでしょう。
お客様が物件をみにいき購入の可否を判断する材料は、物件そのものだけではありません。
- 周辺の自然環境も含めた生活環境の良し悪し
- 近隣との人間関係に問題がないか
- 友人や知人がいるだろうか
- リフォームなど将来計画の実現性
予算や学校区とか交通便など物理的な希望条件はもちろんですが、うえにあげたような情緒的なことを含めた幅広い条件をクリアしているかどうかも大切なことです。
下見の時点で、このような条件まで含めてお客様がどのように感じるかを検討してみると、第1候補として考えられる物件が決まるはず。
第1候補を中心にして案内する順番もポイントになります。
- 第1候補を最後に案内することにより、第1候補の優位性を目立たせる
- 第1候補を真っ先に案内し、2番目3番目と劣る順に案内することにより、第1候補の優位性に気づかせる
二通りの方法があります。第1候補の優位性をより印象づけるストーリーを、どちらが作りやすいかによって順番を決めましょう。
3.物件案内の準備
下見が終わり案内物件が確定し順番も決まると、準備をしなければなりません。
当日スムーズに案内できるよう準備をしますが、具体的には次のようなことになります。
- 元付業者または売主に連絡をし案内日時を決める
- 売主が居住しておらず空き家の場合は、鍵の入手方法や元付業者または売主の立会有無を確認する
- 売主が居住中であってもスリッパの用意をし、売主の同意があれば用意したスリッパを使用する
- 物件資料や検討材料になる資料を整理する
- 売却理由はお客様のもっとも関心が高いことなので事前に元付業者に確認しておく
- 売主が居住中の “任意売却物件” では売主への直接質問はデリケートな面があるので、元付業者に確認しておく
- 住宅設備(給湯器、エアコン)などの経過年数について、事前にわかるものはチェックしておく
- 周辺環境や利便施設などお客様が質問しそうなことについて事前に整理しておく
- 複数物件を案内する場合は、移動時間を含め余裕をもてるようにスケジューリングする
- 最寄駅からの案内をおこなうなど、案内ルートを入念に検討する
- 値交渉の幅について元付業者に確認しておく
物件案内のあとに、お客様が抱く疑問や不安ができるだけないように、お客様の立場になって準備するべきことをリストアップしておきましょう。
4.案内時の注意点
案内時に気をつけるポイントは大きく3つあります。
2. 近隣のかたにとっては迷惑な来訪者になるかもしれない
3. お客様が物件を理解できる最大の機会
3つのポイントからは以下のような点に注意したいですね。
- 商品なので丁寧に
- 退出時には鍵の閉め忘れと照明器具や電気器具のスイッチを切る
- 物件によってはブレーカーを落とすことも
- 玄関の土汚れはないように
- 駐車は近隣の迷惑にならない位置に
- 屋外での大声や騒音を出さない
- お客様へは周辺環境について説明し場合によっては現地までの案内も
- お客様のペースで室内や屋外をみていただき、気になるようなところで説明を
- 売主が在宅の場合は、日常生活での情報(買い物や子供の遊べる環境など)を話していただけるよう問いかけをする
- 売却価格にかかわる話は売主に直接しない
滞在時間でお客様の関心度や好感度がわかるものです。短い時間で屋外に出てしまう場合は、しつこく内覧をすすめることはやめましょう。
5.案内終了後のクロージング
案内が終わると事務所へ一緒に来ていただくようにしましょう。事務所でご覧いただいた感想や評価など聞きながらクロージングをするのです。
クロージングで大切なことは「売ろう」とか「買わせよう」と意識しないこと。自然な流れのなかで「購入しよう」とお客様が決断するのを待ちます。
営業担当からみて “購入すべき物件” と思える場合でも、決断されないことがあります。会話のなかでその理由を推し測ってみましょう。
2. 物件はよいが価格が高いと感じる
3. 決断するにはまだ早いと感じている
4. 親や身内の意見を聞いてからにしたい
5. 高額な買い物なので漠然とした不安がある
決断できない場合でも丁寧な対応が大切。
理由と考えられる要素について「もしも○○○○であればどうですか? 」と、 “仮定形” の質問をしてみると、お客様が思っている本音を把握できることもあります。
クロージングは新人営業マンであれば “怖い” もの。断られることへの不安がクロージングを先延ばししようとする心理を作るものです。
「YesかNo」は必ず物件案内が終わると結論づけするようにしましょう。
「No」の場合は次の物件を紹介するステップに早く移ることができます。「YesでもないNoでもない」という中途半端な状態で、物件案内を締めくくるのが最悪のパターン。
購入する決断をされた場合は「購入申込書(買付証明書)」に署名をいただき、必ず文書にしなければいけません。このときに売出価格を下回る買受金額を希望する場合は、希望金額を記載します。
あとは元付業者あるいは売主との値交渉に進んでいくのです。
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まとめ
物件案内は不動産営業のもっとも重要な仕事。会社の売上や個人の成績は物件案内なしには成立しません。
物件選択~下見~準備と進めてきて結果を出すのが「物件案内」。クロージングはベテランでも緊張するものですが、ごくごく自然にクロージングにもっていける “コツ” があります。
「お客様を好きになる! 」ことです。
すると、なかなか決断をくだせないお客様が可愛らしく思えるもの。やさしく見守っているとやがて決心した表情に変化します。
心のなかで「やった! 」と叫ぶ瞬間が営業マン最大の喜びです。