競争激化の賃貸市場で勝ち抜くために必要な賃貸物件の差別化、そのポイントはニーズの先取りでもあり、競合物件よりもいかに認知度を高めるかが重要です。
しかしアピール不足によりせっかくの差別化が、不発に終わってしまう例もあります。
認知度を高めるには集客方法の改善、とくにWeb戦略の見直しが必要になることもあります。
たとえばポータルサイトだけに頼っていないでしょうか?
ここでは差別化戦略を検証するために必要な自社サイトの必要性を解説します。
賃貸物件の差別化戦略
競合の多いエリアでの賃貸経営は物件の差別化を図ることが求められます。
契約条件・建物設備・その他の機能において、次のような特徴をもたせることが実際におこなわれています。
契約条件 | 建物設備 | その他の機能 |
敷金・礼金なし | オール電化 | デザイナーズ物件 |
仲介料無料 | リノベーション物件 | ペット同居 |
保証人なし | ロフト付 | メゾネット |
保証料無料 | 追炊き付き | テレワーク可 |
フリーレント | オープンキッチン | テラスハウス |
駐車場無料 |
しかし必ずしも差別化戦略が効を奏することなく空室がつづくこともあり、戦略が空振りに終わることもあります。その原因として次のようなことが考えられます。
・価格で競合相手に負けている
・物件の立地とニーズが合致していない
・差別化したポイントが顧客に伝わっていない
競合分析をした結果、機能面では似たような物件はエリア内に存在せず、価格面でも手頃感がありエリアのニーズにマッチしているのに入居が決まりません。
このような場合に考えられるのが「差別化したポイントが顧客に伝わっていない」ことです。
Web戦略を見直してみる
「差別化したポイントが顧客に伝わらない」原因のひとつとして考えられるのがWeb戦略の間違いです。
現代の賃貸業界では集客から内見そして契約・入居と、一連の流れでインターネットの果たす役割は非常に大きなものになっています。
なかでも部屋探しをする顧客と物件をマッチングさせるメディアは、ウェブサイト以外に考えられないといっていいでしょう。
ところが唯一のメディアであるウェブサイトの活用方法により、せっかくの差別化戦略が機能していないケースがあるのです。
管理物件の集客に寄与しているWebの種類
管理物件を掲載し集客を図るウェブサイトには次の種類があります。
・管理会社が加盟するポータルサイト
・仲介会社が加盟するポータルサイト
・仲介会社の自社サイト
集客力に注目するとポータルサイトからの反響数は多くなるのが一般的です。
ポータルサイトは上記のように、管理会社に反響がくるケースと仲介会社に反響があるケースがあります。
次に集客に貢献度の高いと思われるのは自社のサイトになります。
仲介会社独自のサイトに掲載されるケースもありますが、かなりトラフィックの多いサイト以外は、貢献度は低いといえるでしょう。
つまりポータルサイトがWeb戦略の重要メディアになっているのが現状です。
ポータルサイトの限界
誰もが頼りにするポータルサイトですが、その膨大な情報量とアクセス数のわりに、差別化戦略に対してはあまり効果のない場合があります。
ポータルサイトによる集客には次のデメリットを指摘することができます。
・データ量が多いと検索タグのマッチングシステムでは絞り切れない
・競合相手が共に掲載されるので差別化戦略の効果がうすくなる
ポータルサイトは膨大なアクセスが集まり、アクセス数に比例するように反響数は高まります。
具体的な反響は問合せメールとして届くわけですが、問合せへの対応は営業担当などによる返信メールからはじまります。
問い合わせ数が増えるとひとりあたり担当顧客数も増加し、キャパシティを超えるとマンパワーが足りなくなくなります。
反響数の増加に比例して成約数も増加すると人員強化も可能ですが、成約率は必ずしも反響数に比例することはありません。
反響が高いほど競合も多く、また短期客の割合が低いと成約率は低下していきます。
たとえばSERP結果にもとづき1位から3位までのサイトにアクセスし問合せをするユーザー、1位から5位までのサイトにアクセスするユーザーがいた場合、1位から3位までのサイトと4位、5位のサイトとでは反響数は1位から3位までのほうが高くなります。
このことは上位のサイトほど反響数は多くなりますが、競合サイトも多くなることを物語っているわけです。
自社サイトの活用がポイント
反響数が多くてもアピール効果があったとはいえません。差別化戦略が効を奏しているのかどうかは別の方法によって評価しなければなりません。
差別化戦略の効果は最終的に「成約数」に表れるわけですが、成約数は毎月の締めあるいは中間決算や決算期にならないと最終的な評価はできません。
しかしそれでは市場環境が変化する今日では意味のない評価になってしまいます。
リアルタイムでのPDCAサイクルが可能でなければなりません。
そのために重要なのがKPI(Key Performance Indicator、重要業績評価指標)の設定による業績評価です。
KPIの設定は一度設定すると修正せずにすむものではなく、1ヶ月あるいは3ヵ月など定期的に見直すPDCAにより、より適切なものになっていきます。
集客はウェブサイトによるのがほとんどであり、ウェブサイト上の各種データを用いてKPIの設定をおこなうことになります。
KPIによるウェブサイトの評価をおこなうには、詳細なアクセスデータが必要となり、ポータルサイトの場合は提供されるアクセスデータは限られます。
そのためウェブサイトを重視する集客戦略では、自社サイトからのアクセスデータの取得が必須となるのです。
自社サイトを立ち上げよう
KPIによるサイト評価についてはWebマーケティングの専門的な話になるので、ここでは割愛しますが、ウェブサイトが事業のツールとして欠かせないものとなった今日、管理会社としては知識として知っておく必要のあることです。
さて自社サイトからアクセスデータを取得するためには、アクセス解析ツールのタグをサイトページに埋め込みます。
アクセスデータからは次のようなWebマーケティング戦略の改善ポイントを発見することが可能になります。
・物件ごとのニーズ
・SNSからサイトへの流入量
・閲覧ユーザーのサイト内ページ遷移
・ページごとの読了率
・関心度の高い差別化アイテム
などなど、これらのデータから改善ポイントがみつかったら、次のようにPDCAを成約率が高まるまでくり返します。
改善プランを立てる→改善を実施→改善結果を検証→再改善を図る
このようなウェブサイトの改善は自社サイトだからこそ可能であり、ポータルサイトでは不可能なことです。
差別化戦略により成約率を高めるには、狙いどおり閲覧ユーザーに認知される必要があることを認識しておかなければなりません。
まとめ
自社サイトはポータルサイトと比較するとアクセス数が少ない傾向があります。
「弊社も一応ホームページを持っています」的に運営されている例も多く、あまり力を入れていないケースもあるでしょう。
しかし自社サイトだからこそ可能になるWeb戦略があり、物件の差別化効果をさらに有効にすることができます。
オープンソースであるWordPressなどの普及が、ウェブサイトをきわめて簡単に素人でも作成できるようにしています。
ポータルサイトと自社サイトの活用により、効果の高いWeb戦略と差別化戦略を実現してください。