
今回は、PM(プロパティマネージャー)や管理担当に求められる最低限の不動産投資知識についてお伝えしていきます。
というのも、賃貸管理を任せるオーナー様は投資、資産運用の一環として不動産を保有しています。
そのため、物件を担当するPMは最低限の不動産投資の知識を備えておかないと、オーナー様と対等に話せず機会損失や信頼失墜につながってしまうからです。
本記事では、PMの皆様がオーナー様と会話する際にある程度共通認識を持てるよう基本知識のご紹介をできればと思います。
今回押さえてほしいのは以下4つのポイントです。
- インカムゲインとキャピタルゲイン
- 利回り
- 法定耐用年数と減価償却
- 不動産投資のパターン
以下順番に見ていきます。
1.インカムゲインとキャピタルゲイン
インカムゲイン
不動産保有中に得られるランニングの収益のことです。
主に賃借人から得られる家賃収入のことです。
ここから管理費用や修繕費用、借入をしていれば金融機関への利息の支払をした上で残った金額がオーナーの利益となります。
キャピタルゲイン
不動産の売却による利益のことです。
物件の売却価格から物件購入時にかかった費用を引いた差額がキャピタルゲインとなります。
2.利回り
投資金額に対して得られる利益(リターン)の率のことです。
表面(グロス)利回りと実質(ネット)利回りの2つがよく使われます。
表面(グロス)利回り
年間の家賃収入を不動産の購入価格で割ったもの
実質(ネット)利回り
表面利回りに対して諸経費・税金等も考慮したもの
3.法定耐用年数と減価償却
不動産投資をしているオーナーとの会話では当たり前に使われます。
物件の毎月の利益や後述する節税に大きく関わってくるため、PMとしては必ず押さえておいてほしいポイントです。
法定耐用年数
不動産はいわゆる固定資産と呼ばれるものですが、物質である以上使用できる期間は有限です。
この期間を国が定めたものが法定耐用年数と呼ばれるものです。
これは建物の構造により期間が定められています。(以下代表的なものを記載します。)
鉄骨 34年
RC 47年
減価償却費
上述した法定耐用年数により建物の価値は小さくなっていきますが、会計上はこの少なくなった資産の分を費用として処理しなくてはなりません。
それが減価償却費と呼ばれるものです。
上述の法定耐用年数に従って毎年費用として計上されます。
この金額が大きいほど毎年の費用が大きくなり利益は少なくなります。
なお、法定耐用年数を超えた状態で購入した物件については、法定耐用年数の20%の期間で償却することができます。
後ほどこの数字が重要になってきますので、よく覚えておいてください。
4.不動産投資のパターン
新築アパート
ハウスメーカーさんの注文住宅や建築会社さんの土地活用の営業などで見られる投資パターンです。
おおまかな特徴は以下の通りです。
メリット
- 融資がつきやすい
- 空室を埋めやすい
- 修繕費等維持コストが中古より安い
- 売却しやすい
デメリット
- 中古と比較して利回りが低い
- 収益化に時間がかかる(全戸空室から募集をしないといけないため)
- 賃料下落リスク(新築時が最も高い)
- 利回りが低いため空室の影響度が大きい(1室の空室でも返済額を下回るなど)
- 節税効果が低い
中古アパート
中古のアパートをオーナーチェンジで購入するパターンです。
投資系の仲介会社や買取再販会社から紹介されるケースが多いです。
メリット
- 利回りが高い
- 賃料が下落しにくく価値が下がりにくい
- 規模を拡大しやすい
- 所得税住民税の節税効果がある
デメリット
- 購入時の物件状況によっては修繕コストが高くなる可能性がある
- 空室リスク(部屋が埋まりにくい可能性がある)
- 売却がしにくい
- 管理に手間がかかる
新築区分マンション
ワンルームマンション投資等が流行りましたが、新築でマンションの一室を購入するパターンです。
メリット
- 融資がつきやすい
- 金額が小さいものもあり始めやすい
- 相続税対策になるケースがある
- 管理の手間が少ない
デメリット
- 賃料下落幅が大きい
- 価格がそもそも割高
- 節税効果が低い
- 利回りが低くキャッシュが残らない
- 空室リスク(空室なら収入は0)
中古区分マンション
マンションの一室を購入して貸し出す、またはオーナーチェンジで購入するパターンです。
メリット
- 少額のものから始めやすい
- 流動性が高い
- 管理の手間が少ない
- 入居者の退去後の実需の販売で価格が上がる場合がある
デメリット
- 空室リスク(空室なら収入は0)
- 利回りが高くない
- 節税効果がそこまでない
以上となります。
PMに必要な最低限の不動産投資知識については別記事でももう少し補足していきたいと思っています。