ヒアリングは契約までの全商談において、スタートラインになりますが、最も重要なステージとも言えます。
というのも、お客様の十分な情報や両者の信頼関係がなければ、お客様に響く提案が出来ないからです。これまで何気なく行ってきたヒアリングに対する意識を変え、その上で、効果的なヒアリングを行うために重要なテクニックをお伝えします。
ヒアリングの目的とは
ヒアリングは、お客様の抱えている課題や、ニーズを探るために行うものです。前提として、表面的な問題・ニーズを聞き出すだけでは弱く、本質的な課題、潜在的なニーズを探らなければ、意味がありません。
お客様から必要な情報を引き出すことが出来れば出来るほど、ツボを押さえた提案が可能になります。また、ヒアリングを重ね、お客様の潜在的なニーズや問題点をあぶり出すことが出来れば、お客様からの信頼も得られ、商談の主導権を握ることができます。
① 信頼関係構築の重要性
お客様情報はその後の商談において、非常に重要です。お客様から話を聞き出せれば、聞き出せる程、的を射た提案が可能となるからです。その重要なお客様情報を聞き出すためには、信頼関係の構築が要となります。
信頼関係が構築できれば、話をしやすい会話の土壌が形成され、お客様が本音を話しやすくなります。
逆に信頼関係が構築されていなければ、お客様から十分な情報を聞き出すことが出来ず、情報量が少ないため、提案の幅も狭まってしまいます。
また、お客様の背景をきちんと把握できていなかったがために、終盤になって頓挫してしまうことも考えられます。ヒアリングにおいて、信頼構築は非常に重要です。
② ヒアリング時の心持ち
ヒアリングにおいては、ただやみくもに情報を聞き出すことを意識するのではなく、「情報収集:信頼関係の構築=3:7」という心持ちで臨むようにしましょう。
つまり、ヒアリングの目的は、信頼関係を構築することによって、お客様の情報をより多く引きだすことです。
信頼関係が構築していない段階で、「うちの商品は~~なので、いいと思いませんか?」「〇〇様にはピッタリだと思います。」と言われても、売り込まれているとしか思えません。
ヒアリングをする際は、“お客様の課題を解決するための質問”を意識し、加えて次回でお伝えするヒアリング技法で「私のために色々と聞いてくれているんだ」と好意的に感じてもらえると、お客様も本音を話しだしてくれます。
ヒアリングで見込み客の判断をしない
お客様は初めから心を開かないもの。ヒアリングの際、質問に淡々と答える、もしくはそっけない態度をとるお客様でも、諦めずにヒアリングを続けることが重要です。
お客様との親密度合いには臨界点があり、ある時ふとお客様が警戒を解き、心を開いてくれることがあります。そのタイミングが遅いからといって契約が難しいかと言ったらそうではなく、またその逆で、打ち解けるのが早いお客様ほど、意外と契約まで持っていくことが困難であることが多いです。
「お客様の態度」のみを見込み客の判断基準としてはなりません。
“C客”のように、心を開くタイミングが早いお客様は、自分だけでなく他の営業マンにも同じような態度をとっていることがほとんどです。
つまり、競合が多く契約までの道のりも長くなりがちです。また、早い段階で仲良くなりすぎてしまうと、提案や結論の要求等がしにくく、商談が長引く可能性があります。
ヒアリングに対する意識を変えるところから始めましょう
お客様のニーズの把握は商談成立に直結する非常に重要です。
しかし、ヒアリングで多くを聞き出そうと意気込んでしまうと、ニーズ把握が出来ないどころではなく、信頼関係の構築という商談の土台が崩れてしまいます。
次回は、少し意識するだけで効果がある「信頼構築のための実践的なヒアリング法」についてお伝えします。