自主管理オーナーにアピールしたい委託管理のメリット

管理会社であれば管理物件を増やしたいと考えるのが当然です。しかし賃貸物件のほとんどは大手管理会社が管理をしており、中小・零細の管理会社は限られた物件の奪い合いをしているのが実態です。

一方、自主管理により運営されている賃貸物件が少なからずあり、管理物件の増加戦略として自主管理物件をターゲットにする考え方もあります。

ここでは自主管理物件オーナーに対して、委託管理をどのようにアピールするのか、その方法について考察します。

オーナーが自主管理で行う理由

自主管理をおこなうのは専業大家さんであって、副業大家さんが自主管理をおこなうケースはほとんどないといっていいでしょう。

自主管理をおこなう理由として次のようなことが考えられます。

1. 管理会社に依頼するよりも納得した管理ができる
2. 管理委託費を支払いたくない
3. 管理会社に委託する必要性を感じない

では自主管理はどの程度の戸数までなら可能でしょうか?100戸以上の物件を管理しているケースもあり自主管理と表現するよりも、専業大家兼管理業者と捉えるほうが妥当な例もあります。

自主管理はオーナーがひとりで対応することになるので、緊急時などはたいへんです。たとえば水道のトラブルなどは好例で、緊急サービスなどのアウトソーシングを上手に利用しているケースが多いようです。

ほかにも入居者とのコミュニケーションをとるには、メールやLINEなど時間の拘束を受けない方法を活用するなど、100戸程度の自主管理であれば可能といえるようです。

賃貸物件管理に関わる社会的なインフラが整備されていると、戸数が多くなっても自主管理は可能だと理解できます。

物件増加により自主管理も限界に

自主管理に自信のあるオーナーであっても、物件数の増加にしたがいだんだんとキャパシティが限界になってくるものです。

さまざまな管理業務をこなすなかで、外部委託をしようかと考えるようになることもあるでしょう。その場合どのような業務から委託をするのがよいのかを考えてみましょう。

管理業務の内容により入居率が低下するなど、賃貸経営上委託はせず自身でおこなうほうが望ましいものと、委託してもあまり問題のない管理業務にわけることができます。

経営上重要な業務 委託しても問題のない業務
入居管理 入居前点検 家賃管理
退去後点検 滞納督促
空室対策 火災保険契約
クレーム対応 物件確認対応
内見立会
入居審査
退去立会
賃貸借契約手続
建物管理 日常の清掃管理 定期点検
退去後清掃管理 大規模修繕

入居前点検はクレームなどの原因となりそうな不具合などがないかを事前に確認します。また退去後点検は修繕工事の内容や、大がかりなリフォームを考えたほうがよいかなど、空室対策としても重要な業務です。

またクレーム対応は実は重要な業務であり、オーナー自らおこなうほうが望ましいケースがあります。とくに建物や設備上のクレームは解消方法がすぐにみつかりますが、入居者同士の心理的なクレームなどは解決がむずかしく、対応を誤ると大きなトラブルに発展します。

日常おこなう共用部の清掃は入居者の生活環境を良好に維持するうえで必要なことであり、おろそかになっていると入居希望者の内見時などでマイナス評価につながってしまいます。

自主管理は物件数の増加に伴い対応力に限界が生じてくるので、委託しても問題の生じない業務からアウトソーシングするといった考え方がでてくるのは自然なことです。

自主管理と委託管理の違い

実績があり評価の高い管理会社は、自主管理に比べて質の高い仕事が可能なのでしょうか。管理会社の管理とオーナーの自主管理には次のような違いも存在します。

自主管理は所有物件からのデータしか活用できませんが、管理会社の場合は多数の物件を管理するため、さまざまなデータの蓄積があります。

ここが自主管理をしているオーナーよりも、管理会社のほうが突発的な事象が発生したときの対処や、賃貸経営上の改善策立案において有利な点といえるでしょう。

紛争やトラブルが拡大し訴訟問題にまで発展するなど、経験の豊富な自主管理オーナーであっても、ときには負担と感じるケースもあるのではないでしょうか。管理戸数の多い管理会社では訴訟経験もあり、顧問弁護士がついているなど、個人のオーナーよりも対応力が優れているといえるでしょう。

契約管理・建物管理・紛争処理と多岐にわたる業務を、管理会社は組織力でこなしていくことができます。ミスも少なく効率のよい運営管理ができ、ひとりですべてをこなさなければならない自主管理とでは、違いがでてくることもありえます。

自主管理オーナーに存在する管理委託の潜在ニーズ

自主管理をするオーナーには、管理を委託してオーナー自身の負担を軽減したいとのニーズがでてくることもあります。

負担を軽減することにより生まれる時間で、たとえば次のような検討をおこなうことも可能になるでしょう。

1. 新規取得する物件の検討
2. 空室対策など改善点の検討
3. 各種セミナー参加など自己啓発の機会を増加

オーナーは経営者であり、管理業務の実務担当者とは異なることを意識しなければなりません。
時間は無限ではありません。限られた時間をいかに有効に使うか、そのための手段としてアウトソーシングの利用価値もあるのです。

管理委託によりかかる費用以上の利益がオーナーにあれば、管理を委託する動機は生まれてくるといえるのです。

そしてもうひとつ潜在的なニーズが考えられます。

それは前述した管理業務のなかの『経営上重要な業務』についてです。とくにクレーム対応などはオーナーがおこなうほうが当事者としての説得力もあり、問題解決がスピーディーに図れるという面があります。

しかし管理会社の対応力が高い場合は、オーナーがおこなうよりも管理会社に依頼するほうが、よい結果が得られるという可能性もあるのではないでしょうか。

自主管理オーナーにアピールする委託管理メニュー

以上、述べてきたように自主管理オーナーには、外部委託することなく自主管理をつづける理由があります。一方、外部委託することにより負担を軽減したいというニーズも実はあります。

管理会社が管理物件を増加させるには次の2つのアプローチがあります。

1. 他社管理物件の管理会社変更
2. 自主管理物件を委託管理に変更

つまるところ管理物件の奪い合いか新規管理物件の創出かになるわけですが、他社管理物件をターゲットにする場合「管理報酬の値下げ競争」に陥る危険性もあります。

収益性を確保しながら管理物件を増加させるには、自主管理物件を対象にしたオプションメニューによる提案が有効です。

賃貸管理のオプションメニュー

自主管理オーナーが委託管理に変更するとしても、一気に一式管理に変更するケースはなかなかむずかしいと思われます。

管理会社から自主管理オーナーに委託管理を提案するにあたっては、メニューとして一式管理だけをアピールするのではなく、個別業務についてその内容と費用を明示することが大切です。

賃貸管理の委託業務費は一般的に家賃収入に対し、3%、5%、7%などの係数を掛け業務報酬を算出しています。

オーナーの立場からは一式管理の場合、一定割合で業務報酬を決める方式は、上限が設定でき望ましい方法といえます。

一方、一式管理ではなく部分的な業務のみを委託したいと考えた場合、掛け率を単に下げる方式では、実際の業務に見合った報酬として合理的なものかどうかわかりません。これはオーナーにとっても管理会社にとっても不都合なこともあり、業務ごとに報酬を決めておくほうが望ましいといえます。

継続的な業務委託ではなくスポットで単独業務を委託する、次のような管理メニューをオプション選択できるような方法を提案してはどうでしょうか。

・家賃滞納があった場合に督促業務だけを委託する
・面倒なクレームに対する処理を委託する
・弁護士に依頼する契約解除退去請求の訴訟事務を代行する

オーナーにとって面倒と思える案件処理を管理会社が代行することにより、問題解決が早くなりオーナーの負担を軽減することが可能になります。また問題解決はオーナーが主体的におこないますが、管理会社のコンサルティングにより、負担を軽減させるなどの方法も考えられます。

オプションメニューにより管理委託を体験したオーナーは、そのなかで管理会社が持っている問題解決能力に気づくことができ、後に一式管理あるいは部分的な継続管理も選択肢と考えられるようになってくるでしょう。

管理会社はこのような問題解決能力を高め、スポットでの委託ニーズにも応えられるようになると、管理物件増加につながっていくと考えられるのです。

まとめ

賃貸管理業務をオーナーの代行として捉える考え方と、入居者や建物を対象とした “問題解決のプロ” と捉える方法があると思います。

これまで管理会社は “オーナー代行” としての役割を担ってきたわけですが、競争が激しく管理会社そのものが他社との差別化を図らなければ生き残っていけない時代になっています。

賃貸オーナーから頼りにされ存在価値を認められるには、問題解決能力を高めることが重要であり、その能力こそがオーナーへの最大のアピールポイントになるでしょう。

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