入退去に伴う手続きの一つに鍵の交換があります。
現在では、入居の際に鍵交換費用として計上されており交換は当たり前ということになっています。
実際、前の入居者が同じ鍵を誰に渡して利用しているかもわからないのにそのまま使うということは防犯上NGと言えるでしょう。
しかし交換費用もそれなりの金額のせいか、入居者から「高い」「もっと安い鍵にできませんか?」「鍵交換する必要ありますか?」という意見も出ることがあります。
不動産会社としては、こんなときどのようにお伝えし入居者に気持ちよくお支払いをしてもらえばいいのかをお伝え致します。
鍵交換についてのリスク管理
結論から申し上げますと、毎回新しい鍵に交換すべきです。
先に申し上げたとおり、前入居者が合鍵を何本作り、だれに渡していたかオーナーも管理会社も把握できません。
このことは警察でも憂慮されているようで警察のホームページでは鍵の交換をしているか確認するように促すものもあります。
何かトラブルがあれば、管理責任も問われることになります。
必ず鍵は交換しましょう。
引用:北海道警察北見方面方部
そして交換するのであれば、新しい鍵に交換をしてください。
お付き合いのあるオーナーさんに伺うと以前はオーナーや管理会社もかなり緩い管理をしていたという話を聞きます。
鍵交換で新しいものを作らず、鍵の使いまわしをしていたとのことです。
例えば複数空室がある部屋だと、101号室が退去しその後入居するにあたり空いている部屋の201号室の鍵と交換して取り付けるなどびっくりするようなこともあります。
残念ながらまだこのような鍵の使いまわしという事は少なからずあるようです。
日本では防犯に対する意識がまだ低いのでしょうか?
トラブルはすべて管理する不動産会社やオーナーに返ってきます。
信用問題にもなりますので、使いまわしはやめたほうがいいでしょう。
鍵交換についての国土交通省のガイドライン
次に、この鍵交換についての根拠となる国土交通省のガイドラインをご紹介します。
賃貸の原状復帰については概ね、この国土交通省のガイドラインに沿って作成されているのはご存知の通りです。
下記ガイドラインに鍵交換の考え方として
「入居者の入れ替わりによる物件管理上の問題であり、賃貸人の負担とすることが妥当である。」と明記されています。
引用:国土交通省のガイドライン
この賃貸人とはオーナーの事です、ガイドラインでは設備にかかわる点として入退去に関わる鍵交換についてはオーナー負担が妥当、もし利用中に紛失という状況なら入居者が負担するのが妥当という考え方です。
これが国土交通省の一つの指針になります。
引用:国土交通省のガイドライン
このガイドラインの考え方を簡単に説明したのが下記表になります。
入退去と経年劣化においての鍵交換はオーナー負担で、紛失などについては入居者負担であることが記載されています。
でも多くの賃貸物件では鍵交換は入居者負担になっていますが、これはガイドライン違反にならないのでしょうか?
鍵交換を入居者負担にしてもいいの?
この国土交通省のガイドラインを遵守するような内容でなくていいのか?
とご心配には及びません。
特約事項にて契約書に「鍵交換費用は借家人(入居者負担)」と明記され、その内容に同意の上で入居ということなら何ら問題はありません。入居者がこの内容に納得、契約書に特約事項として明記し、入居者がこの内容に納得してくれればよいのですが、すんなり納得していただけない方もいます。
入居者の中には、費用を抑えるために「鍵交換しないでほしい」または「自分で交換する」と言われる場合もありますが、こんな時はどう対応すればいいのでしょうか?
・鍵交換は契約書に明記の通り交換する必要がある
・防犯上トラブルがあればオーナーや他の入居者にも迷惑がかかる
例:空き巣が入ったマンションとなり事故物件扱いになる。
・他の部屋とすべて同じ条件にしている例外はオーナーが認めない
・信頼できる鍵業者をお願いしているのでDIYは認めない
このような点を入居者にお伝えしてご納得いただきましょう。
民法改正で鍵交換についての変更はあるか?
今年2020年4月から民法改正となります。何かとトラブルの多かった原状回復について明確化されました。
鍵交換に伴うような特約事項についての内容はほぼ変わりありませんが、2020年4月以降に更新をされる入居者に対しては民法改正に沿った内容の契約書で更新契約をすることになります。
その際には鍵交換についての特約事項も漏れなく記載して、サインをいただくこともお忘れなく。
まとめ
賃貸入退去に伴う鍵交換についてお伝えしてまいりました。費用を抑えたいのは、入居者もオーナーも同じですが安全性という観点からは安易にやり過ごせない部分です。
せっかく決めて入居される新しいお部屋で安全に暮らしていただくための必要経費として、ご納得いただけるように対応しましょう。