賃貸住宅管理業者登録制度と賃貸不動産経営管理士とは

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賃貸管理会社に対する法的な規制がスタートします。

2020年6月12日成立した「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」は賃貸住宅管理適正化法とも称しますが、2020年12月と2021年6月の2回に分けて施行されることが決定しました。

賃貸住宅管理適正化法の目的

賃貸住宅管理適正化法制定のきっかけは、サブリースに関わるトラブルの増加でした。

10年保証されていた家賃の減額に対し、所有者がサブリース業者を相手に訴訟を起こす事例や、サブリース業者が経営破たんしたシェアハウスなど、報道においても大きく取り上げられたことはまだ記憶に新しいことです。

大東建託、積水ハウス、レオパレス21、大和リビングと、管理戸数40万戸以上の大手管理会社のサブリース率は90%を超えており、サブリースにもとづく賃貸住宅経営の適正化は、安定的な賃貸住宅供給のためには喫緊の問題となっていました。

参考:一般財団法人 不動産適正取引推進機構「賃貸住宅におけるサブリース事業の実態と課題」

賃貸住宅管理適正化法は2つのしくみを設けています。

・賃貸住宅管理業者登録制度
・賃貸不動産経営管理士の国家資格化

賃貸管理会社の登録制度は2011年12月からスタートしていますが、2016年6月末時点で登録業者数は3,871業者となっており、登録は任意のため登録率はすくないといわれています。

参考:消費者庁「賃貸住宅管理業者登録制度の概要」

賃貸住宅管理適正化法の施行により、2021年6月からは登録が義務(管理戸数200戸以上の場合)となり、賃貸管理会社に対する監督がおこなわれるようになります。

賃貸住宅管理業者登録制度のしくみ

賃貸住宅管理業者登録制度は、次の3つのいずれかの基幹業務をおこなう事業者を「賃貸住宅管理業者」と定義しています。

1. 家賃・敷金などの受領事務
2. 契約更新事務
3. 契約終了事務

これら事務を賃貸住宅所有者(賃貸人)から委託を受けて管理する事業者、または賃貸住宅を転貸して賃貸事業をおこなう事業者が対象となります。

登録有効期間は5年間で更新手続きが必要です。

登録事業者の遵守しなければならない重要なものには、以下のような義務があります。

・事務所・営業所ごとに「業務管理者」を選任すること
・管理受託契約前の重要事項説明
書面による管理受託契約締結
・家賃や敷金などを事業者の財産と分別して管理すること
・賃貸人への定期報告

その他の遵守事項は以下のとおりです。

・名義貸し禁止
・一括再委託禁止
・従業員証明書の携行
・業務記録帳簿の備え付け
・賃貸住宅管理業者標識の掲示
・業務上知り得たことの守秘義務

登録は北海道・東北・関東・北陸・中部・近畿・中国・四国・九州・沖縄の、国土交通省各地方整備局での手続きとなります。

宅地建物取引業は国土交通大臣免許と知事免許に分かれますが、賃貸住宅管理業者登録は大臣登録のみとなるので、申請場所が異なる場合があるので注意してください。

賃貸不動産経営管理士の役割

賃貸不動産経営管理士は、賃貸住宅管理適正化法が定める、賃貸住宅管理業者の事務所(店舗・営業所)ごとに配置する「業務管理者」となる要件とされています。

2015年から試験が実施されており、すでに約5万名の有資格者がいます。賃貸住宅管理適正化法の施行に伴い国家資格に変更される予定です。

また2018年6月から施行された住宅宿泊事業法(民泊新法)において、住宅宿泊管理業者の要件とされる資格にもなっています。

賃貸住宅の維持・管理と賃貸住宅経営の企画・運営に関わるスペシャリストとして、賃貸人に対する支援をおこない、居住者への良好な住環境を提供する重要な役割を担うのです。

・賃貸人との受託管理契約の締結
・賃借人を相手とする媒介業務
・建物維持管理や修繕業務
・賃料の収納業務
・賃借人からのクレーム対応
・退去立会
・原状回復
・敷金精算
・空室管理と対策

など業務内容は賃貸経営の根幹に関わるほど多岐にわたり、豊富な知識と技術を必要とする専門家といえるでしょう。

賃貸管理会社の社会的責任

賃貸管理業は古くは江戸時代の “大家さん” がはじまりといわれます。

貸家の管理を所有者である家主から委託された “大家さん” が家賃の集金をはじめ、入居者同士のもめごとや住宅の修繕などに従事していました。

現代において大家は所有者(賃貸人)であり、個人投資家もいれば賃貸業を営む法人のケースもあります。

また賃貸人が自ら管理するケースもあれば、管理を委託する場合もあり、賃貸管理業は不動産賃貸業界における重要なプレーヤーでもあるといえるのです。

重要な立場でありながら、これまで賃貸管理業を管轄する法律は存在せず、民間の賃貸管理業団体として3つの団体が存在し、会員企業の資質向上やコンプライアンス遵守を自主的にすすめていました。

・一般社団法人全国賃貸不動産管理業協会 会員数:約5,800社
・公益財団法人日本賃貸住宅管理協会 会員数:約1,600社
・全国賃貸管理ビジネス協会 会員数:約1,800社

全国賃貸不動産管理業協会は宅建業者団体である「全宅連」が母体ですが、賃貸管理業には宅建業者以外の業種も多く、法制度の必要性が求められていたのです。

一般社団法人全国賃貸不動産管理業協会の前身である、賃貸不動産管理業協会の会員を対象におこなったアンケートでは、6割以上が法制度の必要性を訴えています。
参考:国土交通省「賃貸不動産管理業務等に関するアンケート調査」

法制化により賃貸住宅管理業者登録制度の効果が生まれます。現在未登録の小規模な管理会社も登録され、管理会社の実態が明らかになるでしょう。

管理会社の登録制度には賃貸人の保護という一面もあります。

前述のアンケートには「賃貸管理業者が倒産等に見舞われ、貸主や借主に被害が生じた例 」に関する回答があり、「知っている」との回答が43.5%もあります。

管理会社の倒産は賃貸人が予知することがむずかしく、零細業者の場合は法的処置もとれないケースも少なくありません。

行方不明になると家賃や敷金の保全はまったく不可能になってしまいます。

賃貸住宅管理適正化法により義務化される「賃料等の分別管理」は、管理会社の経営破たんにおいても、賃貸人の財産を保全することが可能になります。

非常に大きな社会的責任を負っている賃貸管理会社は、今後法律のもとに制度化された仕組みの中で、国家資格者である「賃貸不動産経営管理士」とともに、より社会に認知される存在となっていくことと予想できるのです。

まとめ

2020年12月と2021年6月に施行されることが決まった、「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」に関し解説しました。

賃貸住宅管理業者登録制度が創設されて10年が経過し、ようやく賃貸管理業が法制化されることになりました。国家資格である「賃貸不動産経営管理士」の制度もはじまります。

2021年は賃貸管理業が大きく生まれ変わる年となりそうです。

登録制度に未登録の賃貸管理会社は登録の準備を、登録済の場合は法制度に則った業務改善など見直しも必要でしょう。

また登録制度については、以下の参考サイトにもぜひ目を通してください。

国土交通省「賃貸住宅管理業者登録制度の現状」
国土交通省「賃貸住宅管理業者登録制度に係る課題」

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