多拠点居住プラットフォームと賃貸経営の可能性

年間をとおして複数の居住場所を移り住む生活スタイルがはじまっています。
多拠点居住はプラットフォーム「ADDress」の認知度が高まるにつれ、そのメリットやしくみの理解もすすんでいます。
この密かなブームの影響は、賃貸アパートやマンションにもやがて及んでくると思われ、オーナーや管理会社も無関心ではいられません。
多拠点居住がどのように広まってきたのか、そして今後の賃貸経営にどのように取り込まれるのかについて、現時点で考えられるポイントについてお伝えします。

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多拠点居住のはじまり

現在「多拠点居住」と称する生活・居住型式は、2002年ころに「半定住」との用語からはじまったらしいと、Wikipediaの「二拠点居住」には記載されています。
そのご2004年に公表された国土交通省・農林水産省の「半定住人口による多自然居住地域支援の可能性に関する調査報告書」において「二拠点居住」の用語も併用されるようになります。
さらに国土交通省が2011年に「二地域居住推進のための制度設計に関する基礎的調査報告書」を発表し、二拠点居住が正式な用語となり、現在の「多拠点居住」という概念に変化したと考えられます。

2004年の報告書はpdf版で25ページですが、2011年の報告書は120ページあり、調査内容も充実したものとなっています。
つまり2010年ころには、人口減少社会に向けて空き家の解消・地方の活性化・ライフスタイルの多様化などの視点から、多拠点居住に関する政策的な必要性が強く認識されていったと言えるのです。
そのご10年経過し2021年3月9日、全国二地域居住等促進協議会が設立されました。

移住等支援団体等としては以下の団体や法人が参加しています。
民間からは多拠点居住プラットフォームを運営する株式会社アドレスと地域プロモーションを展開する株式会社ココロマチの2社となっています。

・一般社団法人移住・交流推進機構
・加賀白山定住機構
・きた北海道移住支援型シェアハウス・キックスタート!
・一般社団法人シェアリングエコノミー協会
・特定非営利活動法人島くらし淡路
・一般財団法人都市農山漁村交流活性化機構
・一般社団法人日本ファームステイ協会
・一般社団法人能登定住・交流機構
・特定非営利活動法人100万人のふるさと回帰・循環運動推進・支援センター
・一般社団法人北海道移住交流促進協議会
・特定非営利活動法人南房総リパブリック
・一般財団法人ロングステイ財団
株式会社アドレス
株式会社ココロマチ

ADDressが展開する多拠点居住プラットフォーム

今日まで国が着目してきた「二地域居住」は、おもに農山漁村の地域おこしを狙ったものでした。
空き家や空き店舗は都市部よりも、人口減少・高齢化がすすみ、共同体の機能維持が困難となりそうな地域の中心部がむしろ問題となっていました。
これらの地域における活力を生み出す方策として、都市部の住民の一時的な移住に可能性を見出したのが「二地域居住」であり、国が積極的に進めようとしたものだったと考えられます。

一方「ADDress」が構築したプラットフォームは、都市to田舎といった一元的なものではなく、都市to都市、田舎to都市、あるいは田舎to田舎という多元的な住み替えを可能とするものです。
そこで前述した全国二地域居住等促進協議会は、設立にあたり “二地域居住等” と「等」を加えることにより、三地域以上を含む多拠点と田舎to都市をも含む多元的な住み替え需要にも対応していこうとしています。

賃貸市場における変化

多拠点居住プラットフォームの充実は、国のあと押しにより大きな存在となっていくでしょう。
その影響は既存の賃貸住宅の経営環境にも及ぶと思われます。まず予想されるのが以下の2つの変化です。

1. 持家所有者が多拠点居住を開始し、自宅を期間の定めた賃貸住宅として提供する
2. 賃貸物件居住者がサブスクリプションハウスに移転する傾向が強まる

多拠点居住可能物件が増加し需要も増加すると考えられ、賃貸管理業には「多拠点物件」という新しいジャンルの管理物件が登場します。
管理物件に居住する人が年間のある時期、他の物件に居住することもあれば、管理物件に居住する人がときどき変わるなど、これまでになかった入居者の変動が年間通して起こる可能性が生じます。
これまでは契約期間内に入居者が変更することはあり得ず、入居者が固定していることを前提に賃貸借契約が締結されていました。
しかし多拠点居住によりこの前提がなくなり、新たなしくみ作りが必要になると思われます。

・連帯保証人の債務履行期間の特定
・保証会社との保証委託契約の方法
・フレキシブルな入居者管理や家賃管理手法
・多拠点居住プラットフォームとの連携方法
・入居者交代時の原状回復やクリーニングの実施方法

多拠点ニーズの取り込み

上記のような賃貸市場での変化は現状の賃貸業界に、多拠点ニーズに対するスタンスの取り方を問うことになります。

・多拠点ニーズは無視する
・消極的だが一応対応する
・積極的に取り込みを図る

賃貸募集をおこなう店舗の立地によって以上3つのパターンがあり、顧客層のニーズには違いがあります。
多拠点ニーズの高い地域では積極的な取り込みが必要となり、ニーズを無視することは集客減に直結することになるでしょう。
多拠点ニーズが一般化することはまだ先のことと思われますが、全国二地域居住等促進協議会の設立を契機として、国の多拠点ニーズへの支援策は活発になると予想されます。
現在は次のような支援策が講じられていますが、拡充されることにより多拠点ニーズの一般化は早まる可能性もあります。

管轄 支援事業 内容
国土交通省 都市構造再編集中支援事業 地方都市の中心市街地の生活圏等におけるテレワーク拠点の整
官民連携まちなか再生推進事業 既存ストックや地域資源の活用を図り、コワーキング・交流施設などを整備
都市再生整備計画事業 観光地などでのワーケーション拠点市施設整備
まちづくりファンド支援事業 老朽ストックを活用したテレワーク拠点の整備
総務省 サテライトオフィス・マッチング支援事業 地方公共団体と企業とのマッチング機会の提供に対して支援
農林水産省 農山漁村振興交付金 農林水産業に関わる地域のコミュニティ維持と農山漁村の活性化と自立化をあと押し
内閣府 地方創生テレワーク交付金 地方におけるサテライトオフィスの開設やテレワークによる移住などを図り、東京圏の一極集中を是正させる事業への支援

出典:全国二地域居住等促進協議会「支援策等」

今後の動きとしては多拠点プラットフォームの増加が予想されます。
現在は「ADDress」が先行していますが、対象外としているアパート・マンションを多拠点に取り込むサービスの登場も考えられるでしょう。
大手賃貸事業の動きにも注目しなければなりません。1社で管理する物件数では大手にかないません。
自社の管理網から多拠点ニーズに対応する戦略も生まれるかもしれません。

まとめ

多拠点居住、二拠点居住、二地域居住、デュアルライフ、ほぼ同じような意味の言葉であり、関連する言葉に「田舎くらし」という概念もあります。
田舎暮らしのひとつのパターンとして……
『平日は都心で仕事中心の生活、休日は田舎で……』このようなライフスタイルが、デュアルライフのプロトタイプとして取り上げられることもありました。
1か所に定住するのがあたり前という常識が、今、変化しています。
生活の場を提供する賃貸事業においても、大きな変化を見逃さないようにしなければならないでしょう。

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