難易度は高いが効果は絶大:法人・学校との提携営業の真価

賃貸仲介業において、法人や学校との提携を強化することは、仲介件数の拡大や収益性の向上に直結する極めて重要な戦略である。

特に近年のようにポータルサイト経由の反響単価が高騰し、単なる待ちの営業では反響数の確保が難しくなっている状況下では、安定した紹介元を確保できる法人・学校提携の価値は一層高まっている。

提携によって得られる顧客は、すでに一定の信頼関係の中で紹介されてくるため、成約率が高く、営業効率の面でも優れている。

業務の属人化を抑え、仕組みとして顧客を供給する体制を構築するうえでも、こうした提携は中長期的な成長を目指す仲介会社にとって不可欠な施策である。

しかしながら、法人・学校との提携は一朝一夕で実現できるものではない。

実際の現場では、そのハードルの高さに直面することが多く、戦略なくして取り組んでも結果に結びつかないことがほとんどだ。

提携営業の難しさの一つは、こちらから営業を仕掛けたとしても、必ずしも相手が興味を持ってくれるとは限らないという点にある。

すでに他の不動産会社と提携していたり、そもそも自社で賃貸仲介の窓口を設けていない法人も多く、提案を受け入れる素地がないケースも多い。

また、企業や大学という組織は一般的に意思決定に時間がかかるため、どれだけこちらが熱意を持って提案しても、すぐに結果が出るわけではない。

だからこそ、粘り強く、かつ戦略的に営業を展開することが求められる。

提携先を獲得するうえで最初に行うべきことは、営業活動の土台となるリストの設計である。

この営業先リストの質が、その後の営業成果を大きく左右する。

対象は、店舗の立地やエリア特性に応じて設計することが望ましい。

たとえば、店舗がオフィス街に位置している場合は、周辺の中小企業から大手企業の支社・営業所までを網羅的に洗い出す。

一方で、大学や専門学校が集中する学生街に店舗がある場合は、それら教育機関と提携を結ぶことにより、毎年安定した新入生・在校生の需要を取り込むことが可能になる。

過去に法人契約を結んだことのある企業や、過去の紹介元となった教育機関なども再アプローチ対象としてリストに加えるべきである。

このようにリストを整備したうえで、実際の営業活動を展開する際には、大きく分けて二つのアプローチがある。

一つは「トップリレーション型営業」、もう一つは「人海戦略型営業」である。

トップリレーション型営業とは、決裁権を持つキーパーソン、たとえば企業であれば人事部長や総務部長、大学であれば学生課長や事務長といった人物と直接関係を構築し、提携を取り付けるアプローチである。

この方法は成功すれば一気に提携に至る可能性があるが、相手との距離が遠い場合や紹介者がいない場合には難易度が高い。

だからこそ、既存の人脈や役員クラスのトップリレーションを活用するなど、組織内のレバレッジを最大限に活用すべきだ。

もう一つの人海戦略型営業は、文字通り数を打って成果を出すアプローチである。

営業担当者が複数名で手分けをし、企業の総務課や大学の学生課を訪問し、資料を届けて提案を継続する。

ここで重要なのは、一度で断られてもあきらめず、継続して訪問や電話フォロー、メール送付を繰り返すことだ。

初回訪問で反応が得られなくても、タイミングを変えて再アプローチすることで、後にニーズが顕在化した際に連絡をもらえることもある。

特に人事異動や担当変更が頻繁にある組織に対しては、定期的な接触が効果を生む可能性が高い。

営業活動においては、自社の特徴や優位性を明確に伝えることが不可欠である。

たとえば、保有している管理物件数の多さ、駅近や築浅など法人ニーズに合致する物件のラインナップ、法人契約時の手続きスピードや柔軟な対応力、あるいは過去の実績や取引先の信用力などは大きな武器になる。

これらをただ説明するのではなく、提案書やパンフレット、チラシにわかりやすくまとめて提示することで、相手の記憶に残りやすくなる。

場合によっては、他社との違いや、サービスの比較表などを盛り込むことも効果的だ。

当然のことながら、こうした提携営業は短期的に結果が出るものではなく、中長期的な視点で取り組む必要がある。

半年、1年とかけてようやく成果に結びつくことも珍しくない。

だからこそ、営業担当者のモチベーションを保ちつつ、社内での情報共有やナレッジの蓄積が不可欠である。

たとえば、どの企業・学校にいつアプローチを行ったか、どのような反応があったかといった記録をCRMなどで管理し、営業活動を可視化することで、営業戦略の修正や後任者への引き継ぎもスムーズに行える。

実際に、こうした中長期の提携営業を継続した結果、大手企業や有名大学との安定的な取引関係を築いた事例は多い。

ある店舗では、提携先から毎月コンスタントに10件近い紹介を得られるようになり、繁忙期には紹介件数が倍増。結果的に売上の約3割が提携先経由で占められるようになった。

このように、一つの提携先の獲得が、会社全体の営業成績や利益構造を大きく変える可能性がある。

提携営業は一見すると非効率に見えることもあるが、実際には非常に再現性の高いビジネスモデル構築に繋がる施策である。

目先の反響獲得に依存するのではなく、自社の仲介事業を長期的かつ安定的に運営していくためには、法人・学校との提携関係の構築が極めて有効な手段であることを再認識すべきである。

難易度は確かに高いが、それだけの価値があるからこそ、多くの企業がその獲得に挑戦し続けている。

今後の賃貸仲介業において差別化を図るためにも、この分野への取り組みを継続的に強化することが必要不可欠である。

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