ユーザーの内見前の不安を取り除くことで、成約率を大きく伸ばす方法

「内見の手前までは営業は上手くいってたのに・・」こうした声を賃貸仲介の現場では多く聞くことがある。

実際、仲介業務において、問い合わせのあった物件を成約に至らせるためには、内見前にユーザーが抱くさまざまな懸念点を可能な限り速やかに正確に、かつ丁寧にクリアにしておくことが不可欠だ。

そうしなければ、どうしても申込の獲得は難しい。

ユーザーが持つ懸念点とは、居住を検討する際の安心感や快適性、安全性にかかわる根源的な要素であり、それらが曖昧なままだと興味はあっても次のステップに踏み切れないケースが往々にして存在する。

例えば周辺環境の治安や生活便利さ、駅までの実際の距離、建物の雰囲気や管理状態、内装の原状復帰状況、上下左右の住人の様子、そして道路の騒音といった具体的な要素はユーザーが内見に行くにあたっての心理的なハードルとなりやすい。

そこで今回は内見前にユーザーの不安を取り除くために必要な項目を紹介してみたい。

まず周辺の治安や生活至便性、駅までのアクセスにまつわる情報は、ユーザーにとって居住にかかわる最大の関心事だ。

ユーザーは防犯上の不安や日々の移動のしやすさが不透明なまま内見に行くことを躊躇しがちだ。

だからこそ仲介側は、地域の犯罪発生件数や傾向を説明したり、実際に物件から最寄り駅までの歩行時間や道すじ、夜間の街灯や通行人の状況などを客観的に把握して伝えたほうが良いだろう。

つまりGoogleマップにはわからない情報提供が肝心だ。

実際、こうした情報提供によりユーザーの安心感は飛躍的に高まるし、「行ってみたい」という気持ちに変わる。

次に建物そのものの雰囲気、すなわち管理状態も見逃せない。

共用部の清掃状態、エントランスの照明、ゴミ置き場の整頓具合、外観の劣化や修繕の有無などはユーザーにその建物の管理品質、ひいては所有者や管理会社の意識を印象づける。

これらは写真や管理状況の報告書の確認、あるいは過去入居者からのヒアリングによりその良し悪しはある程度伝えられる。

また、自社で管理している物件であれば、管理履歴や巡回報告、共有部の定期点検記録などを参照・提供することで「きちんと見ている」「整備されている」ことが具体的に訴えられる。

さらに、原状回復された内装の状況もユーザーの重要な関心事だ。

クロスの貼り替えや床の清掃状況が不十分だったり、傷や汚れが目立つままでは不安を感じる。

内装の写真を見せる際には、照明や角度などにも配慮して現実に近い印象を与えたほうが良い。(募集用の写真とは別の写真でも良い)。

加えて「入居が決まった場合には全体的にクリーニングを行う」「必要があれば補修を施工する」など、次の入居者への対応予定を明示できれば安心材料として大きい。

上下左右の住人の状況も潜在的な懸念点として侮れない。

騒音トラブルやマナー違反の住人が過去にいたか、現在いるかは直接当事者でない限り分かりにくい。

しかし、自社物件の紹介であれば過去にトラブルの記録があるかどうかを確認することはできるし、そうでなければ地域の評判や住人構成、あるいは近隣住民との付き合いのしやすさについて、エリアを担当している他の担当の声を参考に語れる場合もある。

自社管理物件の利点を活かし、入居者からのクレーム履歴や対応記録を根拠にしながら「何も問題がない」「トラブルがあった場合すぐ対処する体制がある」と明言すれば、安心感を与える重要なアピールポイントになる。

そして車道の騒音。

窓を開けたときの音のレベルや種類(車両の走行音、消防車やバイクの通行、夜間の交通量など)は、内見してみないと分からないケースが多い。

しかし、実際の地図や部屋の窓の方角から推測し、「夜22時以降は通行量が減って静かになる」「歩道に防音ガラスを採用している」など具体的な知識をもって説明すれば、不安要素としての騒音への警戒感は減る。

こうした事前情報の提示は、ユーザーが内見する前の心理的な課題を一つずつ取り除く作業である。

ただし、こうした懸念点を完璧にクリアできるわけではない。

たとえば住人の性格や人間関係に関する情報、日によって変わる荷物の置き方、あるいは利用者自身の感覚・好みによって異なる印象というものは、事前に完全には把握できない。

それでも仲介側ができる限りの情報を収集し提供すれば、ユーザーとの信頼関係が築ける。

結果として、その物件に対して「行ってみよう」「安心して契約できそうだ」と思わせられるようになる。

重要なのは、情報を集めて「ないがしろ」にするのではなく、むしろ「そこは事前に説明できない」と開示する姿勢も信頼につながる、という点だ。

そのための実務的な方策として、これまで内見した物件や管理物件に関して、懸念点に関連した情報を体系的にデータベースに蓄積する仕組みが極めて有効だ。

例えば「駅までの実測時間」「周辺の夜間の街灯密度」「共用部の清掃頻度」「騒音レベル」「過去の入居者の苦情内容」「近隣住民の評判」など、定量的にも定性的にも複数の要素を記入できるようにテンプレート化することで、次回の問い合わせ時にも瞬時に回答できるようになる。

こうしたデータを仲介スタッフで共有することで、新人・ベテラン問わず、誰もが同じ品質で対応できるようになり、説明のバリエーションや精度が統一される。(実際にこうしたリアルデータを蓄積し、成約率を伸ばした事例もある)

またこうした取り組みだけでなく、自社が管理する物件を増やしていく戦略も並行して進めるべきだ。

管理物件であれば、上述のような懸念点に関する情報を元々手に入れやすく、かつ説明できる余地が多いため、ユーザーへの訴求力が格段に高まる。

さらに、管理物件からの収益(管理報酬や仲介手数料)が継続的に得られるモデルを構築できれば、仲介としての安定性も得られる。

同時に管理体制の強化により物件自体の魅力度も高まり、良いサイクルが生まれる。

このように問い合わせを受けた物件、紹介したい物件を成約につなげるためにはユーザーが内見前に持つ主要な懸念点をできる限りクリアにしておくことが成約率向上に直結する。

それは不安や疑問を減らすだけでなく、信頼を積み重ねるプロセスでもある。

現実には事前に把握できないこともあるが、「ここまでは説明できる」「ここについては現場で確認して補足する」という誠実な対応をするだけで、ユーザーの中に安心感が芽生える。

さらに、過去の物件情報を体系的に保存し、チームで共有するデータベース運用、自社管理物件の拡充があれば、説明の迅速性・正確性・説得力は飛躍的に高まり、仲介としての差別化にもつながり、結果的に成約率を押し上げることができる。

現在は多くのデータや情報をネット上から取得できる。

しかしこうした「リアルなデータ」を基にした物件紹介は、まだまだ整備されていない。

是非、ご自身の店舗でも実践してみてほしい。

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