地味だけど無視できない!賃貸の現場で“時間を食う業務”ベスト4

不動産業界に長く身を置いていると、現場の業務がいかに非効率な手順や慣習の中で成り立っているかを痛感する場面が多い。

特に、業務の中でも一見地味で目立たないが、日々膨大な時間を奪っていく作業が多数存在しており、それが業務全体の生産性に大きな影響を及ぼしているという実態がある。

まず、仲介業務の根幹ともいえる「追客業務」において最も時間を取られるのが、物件のピックアップ作業だ。

顧客の希望条件をヒアリングし、それに見合う物件をレインズやスーモ、アットホームといった外部サイト、あるいは自社システムから検索して提案資料を作る。

理想のマッチングを目指して検索条件を細かく調整し、何度も物件情報を見直すこの作業は、まさに時間との戦いだ。

特に、希望エリアが広範囲にわたる顧客や、細かい条件を多数提示してくる顧客に対しては、提案のための準備だけで1時間以上かかることもざらにある。

そして、それが1日に複数件重なれば、スタッフの半日以上が物件検索で埋まってしまう。

物件情報を目視で比較し、選別し、資料にまとめる工程は、単純なようでいて非常に労力がかかるのだ。

また「新規物件入力」も、日常的に発生する業務の中で、地味に時間を奪う典型例である。

オーナーからの新規管理依頼や媒介契約に基づいて、各種物件情報を社内システムやポータルサイトへ登録する。

このとき、物件の住所、築年数、構造、階数、専有面積、設備仕様、賃料、管理費、敷金・礼金、保証会社の有無、ペット可否など、数十項目にわたる情報を正確に入力する必要がある。

さらに、物件写真の撮影と加工、間取り図の作成やスキャンなど、視覚情報の準備も必要であり、一件の入力作業に30分以上かかることもある。

5件、10件と物件数が増えれば、たった1日で対応しきれないこともある。

管理業務においても、時間を取られる業務は数多く存在する。

その中でも「退去立会い業務」は、現場スタッフのスケジュールを圧迫する要因となっている。

退去する入居者との約束時間に合わせて現地に赴き、室内の現状確認を行い、鍵の受け取り、原状回復箇所の確認と記録を行う。

繁忙期には1日に複数件の立会いが必要になるため、スケジューリングも容易ではない。

移動距離や移動時間も馬鹿にできず、都内であれば電車や車で片道1時間以上かかることもある。

1件あたりの対応時間も読めないため、1日が立会いだけで終わることもある。

このような業務が積み重なることで、他の管理業務の遅延や、スタッフの疲弊を招く原因となっている。

さらに「一次対応業務」──とりわけ電話対応──は、現場業務の集中を妨げる最たる要因である。

業務に集中しているタイミングで鳴る電話は、それだけで作業のリズムを崩してしまう。

特に、入居者やオーナーからの問い合わせ、クレーム、設備トラブルの報告など、急を要する内容が含まれる場合には、その場での判断と調整が求められるため、他の業務に戻るまでにかなりの時間を要する。

電話を受けたあとに業者へ連絡し、オーナーへ報告し、対応結果を記録に残すといった一連の流れは、1本の電話が単なる5分の会話で終わらないことを意味している。

これらの「地味だが時間がかかる業務」は、いずれも属人的であり、属人化するがゆえに業務の標準化が進まず、結果として非効率の温床となっている。

こうした現実に対して、多くの不動産会社が「忙しいから仕方ない」と目を背けてきたのが現状だ。

しかし、真に業務を改善したいのであれば、このような小さな非効率の積み重ねにしっかりと向き合うべきだ。

なぜなら、それらを改善することによって得られる時間的余裕が、新たな営業活動や顧客サービスの質向上へと繋がるからである。

では、どのようにすれば改善できるのか。

まず一つは、ツールの導入だ。

たとえば、物件ピックアップ業務には、AIレコメンド機能を活用することで、顧客の希望条件に合致した物件を自動で抽出できる仕組みを導入する。

さらに、新規物件入力については、RPAを活用して定型項目の自動入力を可能にすれば、人的ミスも防げる。

退去立会い業務については、立会いを専門とする外注業者の活用や、地域ごとの専任スタッフ配置によって対応を分散させ、移動時間の削減を図ることができる。

電話対応についても、コールセンターやチャットボットを活用し、スタッフが本来集中すべき業務に専念できる環境を整えるべきだ。

業務効率化は、単なる業務の短縮やコスト削減ではない。

それは、スタッフの働きやすさを向上させ、企業としての競争力を高め、より良い顧客体験を提供するための投資である。

こうした観点を持ち、「地味に時間を要する業務」こそが、真のボトルネックであると認識し、その改善に取り組む姿勢が、今後の不動産会社の成長を左右すると言っても過言ではない。

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