賃料上昇・空室減少時代の賃貸仲介戦略―物件不足でも勝ち続ける集客設計とは

最近、都心部を中心に賃料の値上がりが続き、空室が明らかに減少している。

例えば、これまで単身向け1Kが月額8万円台後半で募集されていたエリアで、現在は9万円台後半から10万円台に移行しているケースが増えている。

築浅や駅近物件に至っては募集開始から数日、場合によっては当日中に申込が入ることも珍しくない。

このような需給逼迫の状況では、物件が市場に出る前に決まる割合も高まり、ポータルサイト上で閲覧できる物件数自体が減少する。

その結果、引っ越しを検討していた層も「良い物件がない」「家賃が高すぎる」と判断し、更新を選択するケースが増えている。

つまり物件不足だけでなく、引っ越し需要そのものが抑制されている局面に入っているのである。

こうした環境下で従来通りの集客を行っていては、成果は安定しない。

物件をポータルサイトに掲載し、反響を待つだけのモデルは、物件数が豊富な時代には有効だった。

しかし現在は掲載できる物件自体が少なく、しかも競合他社も同じ物件を扱っていることが多い。

単純な掲載数勝負では差別化できない。

したがって、しっかりと集客を行うためには、ポータル依存型の構造から脱却し、接点そのものを多層化する必要がある。

その第一歩が、自社でポータルサイト以外の集客経路を確立することだ。

具体例としては、新規法人の獲得が挙げられる。

たとえば従業員数が増加傾向にあるIT企業や医療法人に対し、社宅や転勤者向け住居の相談窓口として提案を行う。

総務担当者との関係を構築できれば、繁忙期以外でも安定した紹介案件が入る可能性がある。

また、専門学校や大学との提携も有効だ。

留学生や新入生向けの住居相談会を実施し、公式提携先として紹介してもらうことで、ポータルに依存しない流入を確保できる。

実際に、特定の学校と継続的な関係を築いている会社では、毎年一定数の紹介案件が見込まれるため、繁忙期の売上が安定している。

加えて、自社SNSの活用も重要だ。

単に物件情報を投稿するのではなく、「最近の賃料相場の変化」「更新時の値上げ事例」「エリア別の空室傾向」といった市況解説を発信することで、検討初期段階のユーザーとの接点を持てる。

例えば「渋谷区の単身向け物件は前年比で約5%上昇している」といった具体的数値を示しながら解説する動画を投稿すると、単なる物件紹介よりも保存や共有が増える傾向がある。

こうした情報発信はすぐに成約につながらなくとも、中長期的な母集団形成につながる。

二つ目の柱は中長期での追客である。

引っ越し需要が減少している局面では、今すぐ決めるユーザーだけを追っていては母数が足りない。

例えば更新まで半年あるが情報収集を始めている会社員や、家族構成の変化を見据えている世帯など、検討期間が長い層を丁寧にフォローする必要がある。

そのためには自動追客機能の導入が有効だ。

問い合わせ後、条件に合う新着物件を自動配信する仕組みや、一定期間ごとに市況レポートを送る仕組みを整えることで、接点を維持できる。

実際、三か月ごとの相場情報メールを配信していたユーザーから半年後に再相談が入り、成約に至った事例もある。

短期成果だけでなく、中長期で関係を育てる設計が重要だ。

三つ目は管理物件の拡大である。

物件不足の市場では、自社でコントロールできる在庫を持つことが競争優位性を左右する。

例えば管理物件の退去予定を早期に把握し、一般公開前に既存の見込みユーザーへ案内できれば、ポータル上での価格競争に巻き込まれずに成約できる可能性が高まる。

また、オーナーに対して市況データを提示し、適正賃料や募集条件を提案することで信頼関係を強化できる。

管理戸数の増加は単なるストック拡大ではなく、集客基盤の強化そのものである。

最後に、営業メンバーが現場でできることも極めて重要だ。

まずはユーザーの見極めである。

今すぐ動く層なのか、半年後なのか、条件の優先順位は何かを迅速に把握する力が求められる。

物件が少ない環境では、全員に同じ時間をかけることはできない。

優先度を見極め、即決可能性が高いユーザーにはスピーディーに提案を行う必要がある。

さらに、素早い提案と申込提案も不可欠だ。

例えば内見後に「検討します」と言われた際、市況を踏まえ「本日中に申込を入れないと埋まる可能性が高い」と具体的に説明できるかどうかで結果は変わる。

単なる圧力ではなく、データと事例を基にした説明が重要だ。

そのためには日々の成約スピードや申込状況を社内で共有し、現場感覚を磨く必要がある。

同時に、効率的なツールの活用もポイントになる。

物件提案書の自動生成、オンライン内見、電子申込などを活用すれば、スピードと利便性を両立できる。

人間的なヒアリング力と説得力に、デジタルツールによる効率性を掛け合わせることが、物件不足時代の営業力である。

賃料上昇と空室減少という環境は簡単に変わらない可能性が高い。

しかし、外部環境は変えられなくとも、自社の集客構造と営業力は変えられる。

ポータル依存からの脱却、提携先の開拓、中長期追客の仕組み化、管理物件の拡大、そして現場力の向上。

これらを総合的に実行できる会社が、厳しい市況の中でも安定した成果を出すだろう。

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