少しずつ秋が近づいてきた。
昨年度に比べて法人の異動などが活発化され、少し賃貸市況は動いているような印象だ。
しかし、そうは言えどもとにかく東京23区の単身者用物件の空室はこれまでにないほど多い。
実際、各種ポータルサイトから発表されているが、かなり23区の単身者用物件の空室は増加傾向にあるようだ。
賃貸市況というのは経済の先行指標ではなく、後発指標であるということがよくわかる事象だ。
経済全体のダメージがあった際に少し遅れてその影響は出始める。
まさに都心の空室増加はその最たる例かもしれない。
ちなみに今回の空室増加は、リーマンショック時と似ている部分とそうでない部分があることがとても興味深い。
リーマンショック時とよく似ている点は、オーナー、管理会社が提供する広告料が大幅に増加しているという点だ。
今回も都心の物件はかなり広告料が増加している印象が強い。
逆にリーマンショック時と異なる点は、今回の空室増加の傾向が「単身者向け物件」なのに対し、リーマンショック時は「ハイグレード物件、高級物件」の空室が増加したところにある。
金融的なインパクトと、実体経済のインパクトの違いなのだろう。
では、こうした時期、仲介会社はどのように対策を打って運営を進めていけば良いか。
なによりもまず一番に「追客」である。
あまりユーザーが動いていない時期は、「追客」をどれだけ徹底させるかで売上数字は大きく異なっていく。
ありきたりな話だがやはり一番効果が高いのだ。
ちなみにこうした市場が少し冷え込んでいる時期は、反響数自体に大きく影響があるわけではない。
ただ、反響数はそれなりにあっても「確度の高いユーザー」からの問い合わせが大幅に減少しているケースが多い。
管理職の人間からすれば首を捻るだろう。
「なぜ多くの問い合わせが来ているのに、申込み件数は少ないのか」と。
これは現場の努力云々というよりも、ユーザーの確度の問題が往々にしてあるだろう。
とにかく何としても「引っ越し理由」をヒアリングすること
まず最初の追客のステップとして、ユーザーの属性を理解したうえでの対応を行うことを理解しなければいけない。
問い合わせを行った全ユーザーに徹底的に追客ができれば良いが、そこまでは手が回らないケースが多いだろう。
そうすると必然的に引っ越し理由が「必要不可欠」で、「引っ越し時期が明確」なユーザーに対して集中してアプローチしていかなければならない。
前述したように確かにこうした確度の高いユーザーの絶対数は減少している。
しかし、だからこそここを取りこぼしてはいけないのだ。
「引っ越し理由」や「時期」の情報を獲得する方法は、なるべく初動の反響返信の対応から行った方が良い。
空室確認や内見希望の問い合わせの返信欄に引っ越し理由をヒアリングする項目を設置する。
この情報を最初に取得するか否かで今後の追客方法は大きく変わっていく。
ちなみに確度の高い「引っ越し理由」は、「転勤」「転職」「離婚」「入学」などがそうだ。(多くがコロナ禍では減少している。。)
また既に退去届を提出しているユーザーも確度は高い。
繰り返すが、こうしたユーザーの取りこぼしを防ぐことがなによりも大事なのだ。
スケジュールを不動産会社側で立てて、主導権を取りながら、アテンドしていく
ユーザーと電話なりで会話する、もしくはチャットでのコミュニケーションが可能になっていれば、まずスタッフから内見、契約予定の日程まで提案する。
内見日程は具体的な日程を。
契約日程は大まかでも構わない。
重要なことは「物件の引き渡しのゴール」をこちらで提案しておき、ユーザーとゴール設定を共有することだ。
また、内見日程まで時間がある場合は定期的に物件情報を提供していく。
返信が無い場合でも定期的にメッセージを送る
追客の基本だが、一度反響対応をして返信がないと放置、ではなかなか売り上げは上がらない。
返信がなくても繰り返しメッセージを送っていく。
少なくても最初の反響の返信対応から24時間経過しても反応がない場合は、再度メッセージを送ることを徹底した方が良い。
図面添付が億劫にならないようにマッチング登録を
今や自動追客システムやマッチングシステムが、不動産会社向けのサービス会社から多くサービス提供されている。
このあたりもできれば上手く活用したほうが良い。
ベストはこのオートメーションツールと、営業メンバーからのメッセージや独自の物件図面の送信などを組み合わせることだ。
ちなみに不動産会社が「追客」が苦手な理由は、「おしり」がわからないからという理由が多くを占めているのだと感じている。
「いつユーザーが借りてくれるのかわからない」というのは、1物1商品のビジネスで行う時はかなり億劫になる。
これが同じ商品が大量に販売可能なビジネスモデルであれば、そこまで億劫ではない。
いずれにしても前述したように、しっかりと追客が不動産会社社内でも行えるように「ユーザーとスケジュールを共有し、日程のお尻を設定すること」で、追客という業務のハードルを自ら下げることを忘れてはならない。
追客は「営業」というよりも「マーケティング」ということを理解する
顧客をセグメントし、ターゲットを決め、プッシュしていく。
これはマーケティングの基本である。
今後、追客が上手くいく会社は決して営業力が高い会社ではないかもしれない。
営業力というよりも「マーケティング」を意識し、ユーザーの心理を汲んで戦術を構築した不動産仲介会社が生き残っていくだろう。
なかなか都心の空室は、厳しい状況のようだが、是非上記を参考にして頂き、独自の追客方法を構築していってほしい。
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