仲介会社に入社した新人の育成ポイントとは?

4月になり不動産業界にも多くの新入社員のかたが入社した。

私が支援している不動産会社でも大半の会社で入社式が行われた。

よくよく考えるとこの2年程度はコロナ禍ということもあり、ほぼこのような行事は行われていなかった。
このまま世の中が通常通りに動いていくことを願うばかりである。

さて、こうした新入社員に向けて、多くの不動産会社が新人研修等を実施している。

新人研修を行い、その後各部署に配属してというのが通常の流れだが、当然のことながら研修後の育成も研修同様に重要である。

ただ研修のみを実施して新人が育つ可能性は皆無に近い。

研修と育成はセットで考えるべきだ。

以前もこちらのサイトでいくつか新人育成のポイントを記載したが、今回は仲介業務に絞って新人の育成ポイントを紹介してみたい。

マネジメント層に向けたものではあるが、どちらかといえば新人の直属の上司になるかたに読んで頂ければ幸いだ。

仲介会社に入社した新人の育成ポイントとは?

不動産業界全体、不動産取引のおおまかな流れを理解させる

これは何度か紹介したが、まず足元の仕事を覚えさせる前に土地の取得から不動産の販売、紹介、管理から客付に至るまでの「そもそもの不動産の流れ」を理解させる。

まずこれを覚えることが基本中の基本である。

そして、その基本を教えない会社がとても多い。

この基本的な概念を理解すると圧倒的に成長スピードは変わる。

これは是非実行してみてほしい。

OJTでは営業同行ではなく、やり取りの共有も行う

先輩の営業に同行し業務を覚えることは、仲介業務の基礎的なOJT方法である。

商談の話を聞くことで効果的に知識と営業スキルを学ぶことができる。
しかし、ここでもポイントがある。

ただ営業同行をするだけではなく「顧客とのやり取り」もしっかり共有することがポイントである。

顧客の反響から内見までのメールやチャットのやり取りを共有する。

そして内見後から引き渡しまでのやり取りも全て確認させる。

各社のOJTのなかで、OJTが成功している会社は、こうした細かいやりとりも新人に徹底して共有している会社だ。

いっぽうで新人の育成スピードが遅い会社は、ただ商談同行だけをOJTにしているケースが多い。

1on1の実施と、その進め方を定義する

ビジネスマン,面談

研修をし、OJTを行ったら育成が終了というわけではない。

必ず定期的に直属の上司との面談が必要である。
新人では特にこの1on1での振り返りが重要だ。

改めて自分自身の業務を振り返り、課題になっていること、そして悩みや不安などをヒアリングする体制を作らなければならない。

逆にこれを怠ってしまうと、新人の自己認識と会社の評価認識にズレが生じてしまい、後々苦労することになってしまう。

しかし、ただ時間を決めて定期的に雑談を行えれば良いわけではない。
いくつか1on1を効果的に進めるために、面談内容を事前に決めておかないといけない。

・これまでの振り返り
・数値的な集計
・今後の課題
・上司から定性的な評価

こうしたことを「面談前までに準備しておく」。

そして「上司は事前に読み込んでおく」ことが大切になる。

面談だけを実施するのではなく、そのインプットとアウトプットもしっかりと行うことで、成長スピードは圧倒的に早くなる。

「覚えていないといけない」ものの小テスト

賃貸仲介会社であれば、エリアの特徴や路線、駅などの交通網、そして管理会社の特性など、記憶として

覚えていかなければならないということが沢山ある。

億劫な作業かもしれないが、多少我慢しても「詰め込まない」といけない時期がある。

勿論、その時期は新人の時期が最適だ。

簡易的なものでもいいので定期的に小テストを実施し、知識レベルの確認をしていくことも非常に効果的だ。

効果的なロープレを実施する

営業ロープレも、基礎的な育成方法のひとつだ。

ロープレを実施していない仲介会社は無いのではないかというぐらい一般的な方法である。

しかしこのロープレの方法も各社によってバラバラだ。

私が見てきたなかで効果的なロープレ方法は、

1.複数の上司が評価者になる
ひとりの上司が付きっきりになって、ロープレをするよりも複数の上司がロープレの評価者をしたほうが圧倒的に効果が高い。
どうしても1人の上司だけで実施してしまうと、評価者の主観的な部分が出てしまい営業の悪い癖が付きがちになる。
また複数評価をすることで、新人自身も指摘事項に対して納得がしやすくなる。
ベストなのは店舗内だけでなく、他の店舗の店長なども巻き込んでいくとより効果的だろう。

2.自撮りをして振り返りをさせる
ロープレは必ず「記録」にとっておくことだ。
自分の喋っている癖や雰囲気などは、自分の目で客観的に見ると一番理解できる。
自分自身の姿を見続けるというのは、慣れるまでかなり抵抗感がある。
それほど人間というのは、自分を客観視することが苦手なのである。

しかし、こうした自分の話し方を客観的に見ることで飛躍的に接客技術は向上する。
是非、これも試してみてほしい。

以上のように、仲介会社で一般的、かつ当たり前のように実施している育成方法でも、少しの工夫や改善で大きく新人の成長スピードを変えることができる。

是非、参考にしてみてほしい。

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