すっかり人手も戻り世の中も賑やかさが戻ってきた。
仲介会社様に話を聞いてみると、やはり一昨年、昨年と比べてかなり市況的に回復したようだ。
一般的に不動産会社の繁忙期は3月頃までと言われている。
4月中旬になると反響はかなり落ち着くイメージだが、今年に限ってはそうではなさそうだ。
繁忙期がズルズルと引き伸ばされているような印象だ。
また、それに併せて都心の物件もかなり空室が減ってきている。
一時期は、都心のワンルームが埋まらずかなり市場の変化を感じていたが、現在は市況は少しずつ回復している印象だ。
さて、この数年でコロナ禍になり社会が大きく変化し、そして2022年の春の段階で少しずつ世の中が通常に戻りつつある。
こうした社会変化のなかで賃貸物件のトレンドはどのように変化したのだろうか。
今回はこの変化を「物件の成約率」という軸で考えてみたい。
反響成約率という指標がある。
反響に対してどれぐらいの物件を成約できるのか、という指標だ。
この率は不動産会社によって、そして掲載している媒体によって大きく異なる。
またここがポイントなのだが「物件によっても」反響成約率が異なったりする。
反響を多く獲得してもなかなか成約に至らない物件がある。
また逆に反響が少ないながらも確実に成約が取れる物件もある。
今回はこの「反響が少なくとも確実に成約が取れる物件」の変化を紹介したい。
コロナ禍の1年、2年前までは都心から離れても駅から離れても、それなりに広い物件の反響成約率がとても高かった印象がある。
たとえば、都心のワンルームとほぼ同じ賃料帯の郊外の1DKの物件などがそうだ。
今までこうした物件は反響獲得もリーシングも苦労していたが、コロナ禍になり良い意味で光明が見えたような気がする。
しかし、ここ最近は明らかに市況の変化を感じている。
ユーザーの都心回帰が始まっている印象だ。
都心の単身者向け物件の需要が回復していることは間違いない。
ちなみに、以下が、直近で反響成約率が高いと感じる物件である。
単身者物件
・居室が広い都心の単身物件(柱がない部屋、使いやすい部屋)
・鉄筋コンクリート
・初期費用の安い物件
・駅からは10分程度
・BT別
・ガスキッチン
・調理スペースのあるキッチン
・室内洗濯機置場
・浴室乾燥機
ファミリー物件
・リビングが広い物件
・使いやすい間取り(全部屋洋室)
・2階以上
・南向き
・キッチンスペースが独立
・エアコン設置可能
こんなイメージだ。
以前までと異なるところは、先程の述べたような「都心回帰」的な要素がまずあげられる。
そして「部屋数」よりも「部屋の広さ」に偏重していることも特徴的だ。
おそらく作業スペースの確保やテレワークの対策などもあり、コロナ禍では部屋数の多い部屋の需要が一時的に高まった。
しかしあくまで推測だが、外で仕事をする機会が増えたのとテレワークが減少していることで、部屋数の確保よりも部屋の広さのほうに好みが移ったのかもしれない。
また、そもそも「家で仕事をする」よりも「外で仕事をしたい」というニーズにシフトチェンジしているような気もする。
こうした微妙な変化が需要に影響を与えているのではないだろうか。
またこうした成約率の高い物件の掲載方法にも現在ならではの特徴がある。
特徴的なのは「初期費用のクレカ対応のプッシュ」だ。
よくSUUMOの掲載ページを見ても、軒並み反響獲得ができている不動産会社が掲載する物件詳細ページには、「初期費用クレカ払い」などをPR動画として打ち出されている。
今までも当然、クレカ払いは大きなセールスポイントだったが、最近のキャッシュレス化の促進により賃貸物件でも一般化していく可能性が高い。
実際に「初期費用クレカ払い」をポータルサイト上でPRしている不動産会社が、反響獲得ができていることもひとつの理由だ。
このようにコロナ禍を経て、反響成約率のトレンドや掲載でのアピールポイントも大きく変わりつつある。
こうした細かいニーズの変化をキャッチしながら、掲載物件の選定、アピール方法をアレンジしていくのが得策だろう。
では、こうしたニーズの変化をどのようにキャッチすれば良いのだろうか?答えは簡単である。
自社の成約者からしっかりとヒアリングしたり、またアンケートを実施することでニーズの変化を捉えることができる。
「現場に答えが落ちている」という言葉はあながち嘘ではないのだ。
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