不動産会社の新入社員研修、営業研修において、かなりの割合でオーダーされるもののひとつとして「ロープレ研修」があった。
なぜ「あった」という表現をしたかといえば、コロナ禍になりオンライン研修が主流になったためだ。
オンライン研修だとどうしてもロープレ研修の実施が難しい。
しかし、これまで仲介業で高い売上を叩き出している仲介会社はすべからくこのロープレを徹底している。
たしかに優秀な各社の営業メンバーは、新人時代にこのロープレ研修で営業力を鍛えられているかたが多い印象だ。
逆にこうしたロープレ研修を疎かにしているメンバーはどこか売上数字が安定していない印象がある。
今年になり、各社少しずつ新人に向けたロープレ研修が再開され始めているようだ。
そこで今回は、仲介業におけるベストなロープレ研修方法を紹介したいと思う。
ロープレ研修といっても各社によってロープレの方法は異なる。
非常に機能的に実施している企業もあれば場当たり的に対応している企業もある。
今まで見た仲介会社で私自身が効果的だと感じたロープレイ研修の最適な取り組みをいくつか紹介したい。
3人1組での実施
ロープレは一般的に2人1組で行われる。
お客様側、そして営業側だ。
しかしいくつかの会社では3人1組で行われる。
3人制にした場合、お客様側、営業側以外の1人は何をするかと言えば「営業側のレビューを行う」。
「こうしたほうが良かった」「この言い回しは良かった」「この提案方法だとわかりにくい」など良い点と悪い点をロープレ後に3人目の参加者がレビューする。
これにより、それぞれの参加者は第三者視点で自分自身の営業力を把握できる。
動画を撮り、振り返りを行う
ロープレの様子を録画しておき、後程営業メンバー自身が見返す時間を設ける。
これも大変効果的な方法だ。
自分自身の営業や口調のクセや表情の変化などは、自分自身では気づきにくい。
これを可視化することで自分自身を客観視することができる。
自分では上手く営業をしているつもりでも、いざ映像を見るとそのギャップに驚くケースはかなり多い。
是非、これも実践してみてほしい。
顧客側の詳細な設定
ロープレを実施する場合、もちろん顧客側になる役のメンバーは顧客の設定をしなければならない。
たとえば年齢は30代前半、引っ越し理由は転勤、希望賃料は10万円などがそうである。
この設定が曖昧であればあるほどロープレの質は落ちてしまう。
逆に、この詳細設定が細かければ細かいほどロープレもリアリティが増していく。
また、このような詳細設定をしっかりと行なうために設定リストなどを準備しておいた方が良い。
この設定リストで顧客を作り込まなければロープレをしない、ぐらいでも丁度良いかもしれない。
それほど顧客側の詳細設定は大事なのだ。
メンバーを固定しない
これもロープレの基本だが、とにかくいろいろなメンバーや上司とロープレを実施することだ。
どうしても同じメンバーだとロープレに慣れが生まれてしまい、成長が止まってしまうことがある。
とある企業だと、新人が複数店舗を回ってさまざまな店長とロープレを行うような施策を行っていた。
また仲の良い仲介会社同士で、複数社でロープレを実施している取り組みなどもある。
これにより、他社の営業方法なども知ることができ新人の刺激にもなる。
とにかく多くの人とロープレを行うことを意識し実行したほうが、営業スキルを上げるためには効果的だろう。
問い合わせ時からロープレを行う
全てのロープレ研修に取り入れる必要はないが、なかには物件問い合わせ時のチャット対応やメール対応などからロープレを行っている企業もある。
チャットやメール返信内容如何によってはアポ獲得チャンスを失い、機会損失になっていることもある。
チャットの対応や文言、言い回しなどを確認し、その段階でユーザーと信頼関係を築くことも重要な営業スキル向上施策である。
こうした対応からそのまま同条件で接客ロープまで実施すると、かなり現実に近い形での営業研修になるだろう。
オンライン商談用のロープレを行う
オンラインでの顧客面談は、この数年で大きく増加している。
通常のリアルな接客現場を想定したロープレは実行しているものの、こうしたオンライン用のロープレはあまり実施されていないようである。
とある企業では、リアルな接客ロープレとオンライン商談のロープレを並行して実施していた。
この企業はコロナ禍の際、かなりこのオンライン商談のロープレの効果があったようだ。
画面共有や物件提案の迅速さ、そして話し方のトーンなど、オンライン特有の接客術はなかなかすぐには身につかない。
今後もオンライン商談の機会は増えてくるだろう。
それを見越してこうした取り組みを行っても良いかもしれない。
以上のようにロープレひとつ取っても、そのやり方や方法は様々である。
当然のことながら、営業力を簡単に向上することは難しい。
しかしこうしたロープレ研修をしっかりと準備をし実施することで、営業力は多少なりとも向上させることができる。
是非、試してみてほしい。
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