賃貸仲介業の広告コスト分析方法とは?

賃貸仲介業の広告費用の運用に関して、以前までは多くの企業がどんぶり勘定であった。

「ポータルサイトに○○円支払う。それに対して反響が〇件獲得できた。」

実に単純明快だが、割と大きな仲介会社でも実際はかなりおおざっぱな広告運用をしていたように思う。

しかし、現在ではこうした緩めの管理をしている仲介会社はほとんど存在し得ない。

しっかりと広告予算を分析し、そしてしっかりとした打ち手を打つことで、費用対効果を検証する仲介会社が増加してきている。

よく言われるように、賃貸仲介業のみで事業を成り立たせることはなかなか至難の業である。

売上は季節的な要因によって固定化しないし、何よりも「そこで働く営業メンバーのスキル」によって事業の成長率も変わってくる。

だからといって、投じた「広告予算」に無頓着で良いわけではない。

しっかりと広告費をコントロールし最大限の効果を図ることで、利益率が改善できる可能性は大いにある。

今回は賃貸仲介におけるポータルサイト、そしてウェブサイト、SNSの広告費用の分析方法についてまとめてみようと思う。

反響単価

まず広告効果を算出するうえで重要な指標が「反響単価」である。

マーケティング的な言い方だとCVRである。

反響単価=各サイト(ポータルサイト)の広告予算÷反響数

当然のことだが、反響をいくら獲得しても、コストがそれに比例して増大してしまうと広告効果は良くないと判断せざるを得ない。

基本中の基本だが、まず反響単価を把握することが賃貸仲介の広告コストのスタートである。

成約単価

次に成約単価も重要な指標だ。

成約単価=各サイト(ポータルサイト)の広告予算÷成約数

反響単価に比べて、成約単価は当然のことながら金額的に高い状態になる。

「1件成約するために必要な広告予算」。反響単価が安く、効果的に見えても実際には成約単価が高いケースもある。

これは、「反響はたくさん獲得できているが、決まりにくい物件に多く反響が集まっている」ということを表している。

ちなみに上記の反響単価、成約単価を低くおさえるための対策は以下のようなものがある。

反響単価をおさえる対策
・そもそも画像やコメントなどはきちんとセットされているかの基本掲載情報の確認
・1日に定期的に新着物件を掲載されているか
・無駄なオプション機能などを利用していないか
・店舗案内等の会社ページはしっかりと登録されているか

成約単価をおさえる対策
・自社(店舗)の商圏エリア、得意価格帯が掲載されているかの見直し
・掲載数のなかで、ユニーク物件や新着物件などの割合が下がっていないか
・反響返信のスピードやアポイント獲得の体制構築は問題ないか

勿論上記だけではないが、月毎に反響単価や成約単価を数値化し続けることで、多くの傾向がつかめてくる。

よくあることだが、気が付けば広告予算は上昇していくものだ。

常に数値を取ることでコストの推移を観測し、そして対策を打つことが重要になる。

工数の算出

ミニチュアハウス ,チェック

また、上記とは別に広告予算を検証するうえで他にも重要なポイントがある。

それは「工数の算出」である。

物件のピックアップ、入稿、写真撮影は、仲介業務のキモとなる部分である。

実際のところ、多くの仲介会社がここでかなりの工数を使っている。

しかしながら、これを上手く把握しコントロールしている仲介会社は少ない。

可能なら日報などで、1日の業務を分析できるように細かく業務報告を実施するようにしても良いだろう。

たとえば、2時間で写真撮影を4件完了した日もあれば、2時間で1件しか写真撮影できなかったケースもあるだろう。

こうした業務工数を算出することで、かなり精緻な業務分析ができるようになるだろう。

またSNSなどの掲載ではこの工数がある意味広告コストに近い状態になる。

「弊社ではSNSを使って、すべて無料で集客できています」と言われる不動産会社様もいらっしゃるが、現実的に自社のスタッフの人件費で相当金額が発生しているケースも多い。

反響単価、成約単価を把握し、人的な工数の把握を細かく実施したうえでより精緻な広告分析を実施する。

掲載物件分析

エリア割合・賃料価格割合・築年数割合・間取りタイプ割合。

掲載している物件全体からエリアの割合や賃料の価格割合を見る。

反響に偏りが出たり、急に成約率が下がってしまったり、成約単価が減少している場合は、掲載物件に変化が出てしまっているケースが多い。

こうした場合は、全体の掲載数に応じてどのような割合で上記を掲載しているかを分析することが重要だ。

今はCSVなどでデータを落とし、分析ができる。

定期的にこうした分析を行うことも重要だ。

サイト分析

また自社サイトの運営になると、上記に加え、サイト自体の分析が必要になる。

これはマーケティング領域なので詳しくは説明しないが、少なくとも自社内で「google search console」は閲覧できる状態にはしておくべきだ。

どのような単語で自社サイトに流入したのか、直帰率、滞在時間の把握なども、最低限はしておいたほうが良い。

あくまで外注の運用で事足りるかもしれないが、物件名などの検索上位や検索ワードを理解すると、これが結局ポータルサイトなどの広告運用に活かせることができる。

まとめ

こうした基本的な分析方法のみならず、様々な広告コスト分析が存在する。

不動産は単一の商品ではなく、非常に多種類の商品があり、そのマーケティング方法も非常に独特だ。

そのなかでも実際に成功している仲介会社様は、自社独自の分析方法を作り出し、しっかり広告運用ができている。

改めて、自社の広告コストをしっかりと精査してみても良いかもしれない。

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