年が明け、いよいよ繁忙期の季節になった。
今年は例年と比べても、多くのエリアでユーザーの数が増加しているようだ。
やはりコロナの影響もだんだん薄れてきている印象を受ける。
これまでやや鈍かった単身者の動きが戻りつつあるのが大きな理由なのかもしれない。
仲介会社にとっては、繁忙期で年間の売上の多くの部分を稼がなければいけない。
当然のことながら各メンバーの業務も増加するし、何より反響も閑散期とは比べ物にならない程多い。
とはいえ、繁忙期でしっかり売上を獲得する仲介会社とそうではない仲介会社が存在している。
予算通り、もしくはそれ以上の成果を出す会社や店舗もあれば、思いのほか売上が伸び悩んでしまった会社、店舗もある。
これまでの経験を基に、その繁忙期業務の「違い」を今回は紹介したいと思う。
結論から話すと、繁忙期の成功の可否は「リアクションの速さ」による。
繁忙期に成功している仲介会社は、どの会社もとてもユーザーに対するリアクションが早い。
反響の初期対応、電話対応。
そしてユーザーの返信後のレスなども滞りなく対応している。
さらにいえば申込〜契約までの手続きの連絡も圧倒的に早く、抜け漏れも少ない。
一方、なかなか売上が上がらない仲介会社は総じてリアクションのスピードが遅い。
反響の返信は溜まりに溜まり、ユーザーの返信も遅いがゆえにアポイントが崩れたりすることが多い印象だ。
繁忙期の時期のユーザーは1社のみ、1物件で問い合わせをするケースは少なく、複数社、複数物件の問い合わせを行う。
特に入居時期が明確に決まっている新入生、新卒生などは短期間に一気に複数社に問い合わせを行い、1〜2日で内見を実施する。
こうしたユーザーの動向に対する施策としては、とてもシンプルだが「スピード」が何よりも大切になってくる。
逆に言えば、繁忙期のこの時期に「ユーザーのリアクションのみ」を徹底的に気を付けるだけで、売上は改善される可能性が高い。
実際のところ、前述したように繁忙期で成功している店舗の共通点はまさにこのスピード対応なのだ。
では、リアクションを早くするためにどのような対策を打てば良いだろうか?
1.反響対応の役割の明確化とマネジメント
場当たり的に反響の対応をするのではなく、店舗内でしっかりと役割を決め対応させることが重要だ。
時間を決めて反響対応するメンバーを固定し、しっかりと運用をする。
勿論、こうした対応に対し、契約手続きや内見などで対応が二の次になることも多い。
そうした場合も想定したうえで、補助担当を付けるなどの対応もしておく必要がある。
そして何より重要なのは、こうした運用を管理、監督する役割のメンバーを置くことだ。
大半はこの役割は店長になると思うが、とにかく「対応が滞留していないか」を定期的に見る。
これにより、店舗全体のリアクションのスピードは圧倒的に向上していくだろう。
2.自動返信ツールの導入と手動対応とのバランス
現在、一次反響などを自動返信する仲介会社が増加している。
こうしたツールは、当然一次的な返信対応には強力な武器となる。
しかし、個別の質問や対応は手動で返さざるを得ないことも多い。
なかなか売上が苦戦している仲介会社は、この「自動」と「手動」を上手く整理することができず、「手動対応が必要な内容」のメッセージに対して返信が滞ってしまうケースが散見される。
逆に繁忙期に成功している仲介会社は、「手動対応」にも素早い対応ができる。
自動ツールを入れて手動対応を仕組み化すると、まさに鬼に金棒だ。
3.契約関係の連絡を当日中に返信しきっているか
契約手続きにおいては、管理会社、ユーザー双方の素早い対応が重要になる。
1日対応が遅くなると、キャンセルの可能性は高まっていくし、さらに業務が雪だるまのように溜まっていく。
こうした契約案件の返信対応に対して1日の終わりに「確認」することが重要になる。
管理会社への返信漏れがないか、ユーザーへの連絡は滞りなくできているか。
これもマネジメント領域になるが、終業間際に責任者が確認することを忘れてはならない。
4.時間外対応
なかなかすべての会社が導入できることは難しいかもしれないが、営業時間外の対応をどのようにするのかも実際に売上に大きな差が生まれる。
とある不動産会社では、シフト制を組み「夜番」を作り、夜間の反響対応を実施していた。
また時間外対応専門の事務員を採用していた不動産会社もあった。
実際に、ユーザーは日中よりも夜のほうが連絡が取りやすい。
夜の間にユーザーとメッセージのやり取りを行い、確度を上げてしまうことは、大きな営業成果を生み出すことになる。
導入することは各社それぞれの事情があり難しいかもしれないが、検討してみても良い対策のひとつだ。
以上のように、「リアクションのスピード」を徹底して上げる対策を打つだけでも大きな繁忙期対策になる。
実際のところ、繁忙期に成果を残している仲介会社の唯一の共通点はここだけかもしれない。
また、ただスピードを上げるこの施策はかなりマネジメント業務と相関性が高い。
そう考えると、やはり現場マネジメントは仲介業務のなかでも最重要な項目なのだろう。