今年の繁忙期は昨年までと異なり反響数なども戻りつつあり、各社忙しくなっているようだ。
とはいえ、都心郊外のワンルームなどは空室も多く苦戦している物件も多い。
エリアや物件種別によって空室数にかなり差が生まれているような印象を受ける。
いっぽう仲介会社にとっては、やはりこの時期は一年のなかでかなり忙しい。
とにかく一つの簡単な業務も数が多くなり、膨大になってしまう。
どの仲介会社の現場のかたと話しても忙しそうだ。
残業もかなり多いだろう。
ちなみに不動産業界の業態のなかで、賃貸仲介業はトップクラスに売上単価が低い。
それ故に、単価が低いからこそ多くの案件数をこなさなければいけない。
さらにいえば、季節商売的な要素も強い業態だ。
そう考えると、この時期はやはり忙しくても「勝負しなければいけない時期」なのは間違いない。
先に述べた様に賃貸仲介業の「業務単体」では、シンプルなものが多いのが特徴だ。
工夫次第でいろいろと削減できたり、無くしたりできる業務が多い。
実際に残業が増えたといっても、「営業活動の増加」ではなく、「作業的な業務」に時間が取られてしまうことが多いのである。
今回は改めて賃貸仲介業において、「時間の取られてしまう業務」をまとめてみた。
掲載確認
業務に慣れてくると、管理会社の物件掲載許可の可否が頭に入ってくる。
しかし、そうはいえども、はじめての管理会社には掲載可否の確認を取らなければいけない。
世の中には不動産会社が多数存在しているために、長く業務を行っている店舗でも初めての管理会社に出会うことが多い。(特に都心部では)
そうなった場合は、当然、管理会社に対し掲載確認をしなければいけない。
意外とこの掲載確認の作業に時間を取られてしまう仲介会社も多いのではないだろうか。
物件入力
なんといっても、ポータルサイトへの物件のデータ入力に相当な時間を要してしまう。
今は、コンバーター機能などで入力補助ができるようになっているが、それでも入力時間を要してしまっていることは否めない。
反響獲得のポイントは情報鮮度の高い物件掲載と、オリジナルであるユニーク物件の掲載と、その掲載物件をいかに高速回転させるかだ。
こうした入力業務をさらに補助させる新しい業務もいろいろとリリースされているので、参考にしてほしい。
空室確認
今は、データ連携などで以前よりも空室確認業務はラクになった。
また、以前は管理会社が作成している紙の空室情報を付け合わせる作業をしていたが、今ではデータを付け合わせていけば良い。
しかし、それでも電話確認などや、データの付け合わせのそもそもの工数に結構な時間がかかってしまう。
掲載数の多い仲介会社がアナログな空室確認業務をしてしまうと、午前中いっぱいまで時間がかかることも多い。
資料送付のためのPDF化作業
紹介する際に元付の資料を客付用の資料に換える。
具体的に言えば図面の連絡先を他社から自社に変えるわけだが、これもスクショ→PDF化などをする作業が意外に時間を要してしまう。
特に追客を強化したい場合、追客用の物件を探す作業時間以上にこうした事務作業時間に多くを割かれてしまうことがある。
内見時の鍵のピックアップ
物件の内見時の際、現地対応などであれば問題ないが、鍵を近隣業者に取りに行く場合はこれもかなり時間を取られる。
実際に物件現地と鍵を預かっている不動産会社の距離が近ければ問題ないが、なかには物件現地とは別の駅が最寄りの不動産会社に指定されることもある。
鍵を取りに行くために、想定の内見時間を大幅に増加してしまうこともよくある話だ。
契約書のスキャン、発送業務
この一年でかなり電子契約は浸透してきたが、それでもこの書類の保管業務はなかなか時間がかかってしまう。
仲介会社は台帳作成のため、押印した契約書類関係をスキャンする。
これが思いのほか時間を要するのだ。
本来はコピーをしてファイリングしておいても良いだろうが、今はデータ保管する会社が大半だ。
いずれにしてもスキャンであれ紙のコピーであれ、かなり時間を取られてしまうことは間違いない。
また契約書類の発送作業も作業時間を要してしまう。
レターパックなどでの発送作業も、案件数が多くなると、バカにできない作業量になるのだ。
以上のように些細かもしれないが、意外に時間を取られてしまう業務を並べてみた。
繰り返すがひとつひとつの作業は難しくはない。
しかし、それらも量が膨大になると多くの時間をロスしてしまう。
とはいえ、現在ではこうした業務を軽減させるためのサービスもいくつかリリースされている。
特に掲載作業や物件確認などは、こうしたサービスを駆使するとかなり業務は軽減できるのではないだろうか。
仲介業務は、ユーザーの部屋探しを支援する業務である。
極端に言えば、なるべくこの本質的な業務に集中できるような仕組みを構築することが、仲介会社のマネジメントにおいては重要になるかもしれない。
「売上を上げる=無駄な作業を減らし仕組み化する」ということも一理あるだろう。
是非、マネジメント面、ツール面含めて諸々検討してみてほしい。