よくあることだが、売上達成を継続していた仲介店舗が、とある時から売上が鈍化してしまうことがある。
店舗というものは、ナマモノなので調子の良い時も悪い時もある。
しかし、調子の良い時は、このまま永遠に店舗が良い状態だと錯覚してしまうことが多い。
現在の営業体制、運営方法で問題はない。
やり方を変える必要はない。
しかしながら、気がつくと、売上が落ちてきてしまう。
さらに、店舗の空気も悪くなってきている。
こうした事象を見てきた不動産会社の幹部のかたは、かなり多数いらっしゃるのではないかと思う。
実際に自分自身も、自分が運営していた店舗、そして支援させて頂いた店舗でこうした事象に直面したことが何度もある。
あまりにも同様のことが起こるので、その原因を検証してみたことがある。
そうすると、売上が減少していく店舗には、いくつかの共通点があることに気づいた。
よく店舗の売上が落ち始める際に幹部が確認するものは、KPIだ。
反響返信率、接客成約率などを確認し、減少している指標に打ち手を講じる。
これは、これで決して間違った方法ではないのだが、「ひと足遅い」ことが多い。
売上が落ち始めた後に行う対策と、落ち始める前に行う際に行う対策だと、後者のほうを先んじて行ったほうが良いだろう。
そしてその落ちる段階のサインをいち早くキャッチしておいたほうが得策だ。
是非、以下の内容を参考にして欲しい。
1.返信時間が遅くなる
反響が来てからの初動対応、そしてユーザーからの返信対応に対して、急激に対応時間が長くなる。
これは、本当に売上が落ちる店舗に共通しているところだ。
勿論、人員の減少やその他の要因で対応時間が遅れることは、店舗運営ではよくあることだ。
しかし、この対応時間の遅れを早期に改善するのか、それともズルズルと間延びしてしまうのかで、大きく結果は異なってしまう。
もし現在、返信時間などが遅くなってきたと自覚されている店舗責任者のかたは、改めて注意してみてほしい。
2.掲載物件の質の低下
反響は増加しているのに、売上がなかなか上がらない。
さらに、反響の返信率も悪くないが、成約率がなかなか上がらない。
このような場合、営業方法の見直しと同時に「掲載物件の内容」を見直してみてほしい。
反響が獲得できる物件のなかには、「反響を多数獲得できるが、成約に至らない」掲載物件と、「反響はそこまで獲得できないが、成約に至る可能性が高い」掲載物件がある。
よくある事例としては、相場より極端に安い物件を掲載する。
しかしその掲載物件は、日当たりや立地などに何らかの大きなマイナスポイントがある。
そうした場合、反響は獲得できるが、なかなか成約には至らない。
反響数や返信率、来店率という数値は悪くないが、接客成約率が極端に落ち込んでしまう。
一見すると、「営業力の大幅な低下」が原因のように見えてしまうが、実際は、掲載物件の質が原因なのだ。
店舗の売上を維持、向上するためには、掲載物件の質なども定期的に見直したほうが良いだろう。
3.検討ユーザー見極めが早くなる
もう少し追客すれば申し込みが取れていたが、追客を行わない。
現場でクロージングをしっかりしていれば、ユーザーが前向きになりそうだったのに、クロージングを行わない。
店舗の売上が減少傾向に陥る可能性が高い店舗は、このようにユーザーの見極めが早い印象がある。
実際にユーザーの事情によって、致し方なく他物件を検討してしまうユーザーも多いが、あまりにも営業メンバーからの営業報告に、その報告内容が多いと、自店のメンバーの営業方法を再度確認したほうが良いだろう。
面白いもので、売上が上がっている店舗は、成約の原因を「自店」を基本に考える。
成約に至った原因も、そうならなかった原因も自分たちの営業によるものだ、と考える。
しかし、売上が上がらない店舗、もしくは売上が落ち始めている店舗は、原因は「ユーザー」が基本にあると考える。
ユーザーが掲載物件を気に入ったから申し込みが取れた。
ユーザーが迷っていたので、申し込みが取れなかった。このように考える。
全てが改善できるわけではないが、営業方法の見直しも定期的に行っても良いだろう。
4.日常ルーティンが崩れる
毎朝、朝会を実施して数字の確認や業務内容の確認をしていたが、諸々の事情でそれをやらなくなった。
以前は、毎日店舗の清掃を当番制で行なっていたが、今は気づいたメンバーが清掃をしている。
店舗の日常のルーティンが崩れてしまった場合、かなり高確率で店舗の売上も崩れていく。
よくご支援させて頂いてる店舗の責任者のかたに、店舗のルーティン業務をヒアリングする。
定期的にヒアリングをしていくと、そのルーティンが崩れてから数ヶ月で売上が落ちてしまうことが本当に多い。
必要ではない業務ルーティンは無くしても問題ないが、店舗運営に必要な「情報共有」「報告体制」「清掃などを含めた店舗運営」などのルーティンは、崩さないほうが良いだろう。
以上のように、数値だけではわからない店舗の黄色信号というものがある。
もし今回紹介した項目に当てはまる場合は、早急に諸々見直してみて欲しい。
逆に言えば、今回紹介した4つの項目にかなり気をつけていれば、店舗の売上は安定的になる可能性が高い。
是非、参考にしてほしい。
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