仲介売上向上施策が打てる!あまり知られていないデータ分析方法とは?

職業柄、「不動産仲介業の売上を上げる方法」について10年以上考えている。

自社集客方法や店舗展開方法などの企業としての取り組みから、返信率アップの施策、接客術の向上など営業メンバー個人のスキル向上方法に至るまで、考える範囲はそれなりに広い。

そのなかでも自社集客方法や店舗展開方法、ブランディングやマーケティング施策など会社全体で対策を考えていかないものは、時代と共にその対策も日々変化していく印象だ。

しかし、個人の売上向上施策はそうではない。

時代が変わって細かい対応方法は変われども、根幹の「営業力アップ方法」というものはあまり変わっていない印象だ。

また、不動産会社様から「所属メンバーの売上向上のご相談」を頂く際に必ず先方に依頼することがある。

それは、「データ分析」だ。

データ分析を行うことで、かなり具体的な個人の営業売上向上施策を考えることができる。

これもほぼ不変の法則のような気がする。

おそらくこれから10年以上経っても、「データ分析→営業向上施策立案→実行」というステップは変わらないだろう。

今回は、実際あまり知られていない「個人営業メンバーが売上向上施策を打てるためのデータ分析方法」を紹介したいと思う。

かなり、実践的な内容なので是非参考にしてほしい。

これまで成約した物件のエリア、賃料の分析

まず大前提として、多くの仲介会社ではあまり過去の成約データを分析はしない。

「過去は過去、未来を見据えることが重要だ」と言われればその通りだが、実際にこうした過去の成約データを細かく分析するだけで様々なものが見えてくる。

そのなかのひとつとして、これまで営業メンバーが成約してきた物件のエリアや賃料を分析していくことがあげられる。

このデータを細かく取っていくと、営業メンバーの「平均成約賃料」「成約物件のエリアの傾向」「成約物件の特性」が把握できるようになる。

たとえばとある営業メンバーは、都心部エリアの高額物件が非常に成約率が高く、その割合が高いことを把握することができる。

また、とある営業メンバーはその逆で、賃料が安い、単身向けの物件を得意だと理解することができる。

このような場合に、「得意なエリア、物件」でいかに数字を組み立てていくのか、そしてこれまでなかなか成約していないエリアや物件をプラスアルファの売上の上積みとしてどのように成約していくのかを検討することができる。

実際にこうした詳細なデータを営業メンバーに提示すると、かなり驚かれるケースが多い。

自分が想定していたよりも成約賃料がとても高かったり、また逆に低かったりした場合、いろいろな気づきが生まれるだろう。

掲載した物件を直接成約した割合と営業メンバー自身で提案した物件で成約した割合

また成約した物件自体が、「ポータルサイト等に掲載した物件をそのまま成約したケース」と「自身で提案した物件で成約したケース」の割合をだしてみることで、営業メンバーの営業提案力の分析ができたりもする。

たとえば、前者の割合が他メンバーと比べて、非常に高い場合は「提案力」をしっかりと身につけなければいけないだろう。

ちなみにこの前者の割合が多い営業メンバーは、売上数字が不安定なケースが多い印象だ。

いっぽうで、後者の割合が他メンバーよりも高い場合は提案能力が高いことがわかる。

しかし、ユーザーの希望条件をあまりヒアリングせず強引に提案することもあるので、しっかりとヒアリングできているかを確認する必要がある。

一概に営業メンバーの売上数字の結果を見るのではなく、その成約物件の特性(掲載物件か提案物件か)を分析することで、いろいろな気づきが生まれるだろう。

成約ユーザーの属性分析

最後に重要な分析ポイントとして、「顧客属性の分析」がある。

成約したユーザーの年齢、年収、性別、入居人数などを集計し、「見える化」する。

これにより営業メンバーの得意な年齢層やユーザーの職種などが把握でき、得意、不得意がはっきりわかるようになる。

これも成約物件の分析と同様に実際に分析してみると、かなり営業メンバー自身の得意、不得意な顧客属性がわかるようになる。

ある営業メンバーは、単身向け物件が対象の年齢層の若い男性が得意だったり、またある営業メンバーはファミリー層が得意だったり、かなり明確にその営業メンバーの特性が把握できるようになるだろう。

またこの分析により、自身が「成約しなければいけない得意な顧客を接客する際に、確実に申し込みを取るための営業意識」だったり、「苦手だからこそ、しっかりとその苦手分野を打ち消す営業対応の準備」を意識するようになる。

どのプロスポーツでもそうだが選手には得意なところと苦手なところというものがあり、それをベースに練習内容や次の試合に向けての対策を行う。

このような対応はスポーツだけに当てはまることではなく、営業の面でも大いに役立てることができるだろう。

今回のこの成約物件の分析や成約ユーザーの分析は、まさにこれに該当する。

実際にこのような分析を実施し、各営業メンバーの売上数字を大幅に改善した不動産会社も存在している。

是非、今後の営業メンバーの売上向上施策のためにも、まずは「過去の分析」をしてみてほしい。

いろいろな対策方法が見出せるはずだ。

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