源泉営業の第2弾をお届けしましょう。
前回号ではいわゆる飛び込み訪問の話をしましたが、今回は少し工夫を凝らした源泉営業の手法をお話しします。
アパートや古い戸建てを狙って、一軒一軒地道に歩き回るという手法は、これからも廃れることはないと思います。
しかしながら、効率があまりにも悪いし、心が折れることなくこれを継続して数字を上げ続ける営業マンを確保することも極めて難しいでしょう。
効率の悪い原始的な飛び込み営業方法は、一つの手法として残しつつ、新規客開拓となる別の手法も探すべきだと思います。
そこで今回取り上げるのは、法人開拓というテーマ。
街中には大企業から零細企業まで、事務所や工場がたくさん存在しているでしょう。
このような所をターゲットにして住宅を売り込むという方法が存在します。
上場企業S社にアプローチをしてみた
社名を聞けば誰もが知っている大企業であるS社。
私が現役時代に行った営業手法で実績を出した事例ですが、このやり方は今でもコンサル先では伝授して実行してもらっています。
実行してもらっている、ということは成果が出るということに他なりません。
S社のある工場長に手紙を出した
当時は手紙という手法を取りましたが、現在であればメールでも実行可能でしょう。
実際に私が書いた文章をご紹介します。
S社〇〇工場長様
・・・・・定型の挨拶・・・・・
(長くなるので要約した文章を書きます)
S 社様の社員の方々の中にもマイホームを検討されてる方が多数いらっしゃると存じます。
一般的には住宅展示場に足を運んでいただいたり、もしくは直接地元の工務店などに足を運んで住宅会社を決定するかと思うのですが、住宅展示場などに足を運ぶと住宅会社としてはアンケートで住所やお名前などをお書きいただくようお願いするのが一般的です。
しかし、アンケートにお名前などを書くことに抵抗がある方が多いのも事実です。
そのような方たちのために、弊社のカタログやパンフレットを御社の工場に置かせていただけないかというお願いの手紙です。
(この後も諸々の文章を書きました)
実際には色々な内容を書いたのですが、要約したものをご紹介いたしました。
私が狙ったことはこれでお分かりだと思います。
たまたまこの時は、工場長を宛先にしましたが、会社の規模によっては社長になるかもしれませんし、福利厚生担当である総務部長や総務課長にしてもいいかもしれません。
別のある会社では、このように総務課長宛に手紙を出したことがありますが、総務課長というのは社員の福利厚生の責任者でもあります。
つまり、本来行うべき仕事のアシストを部外者である住宅会社がお手伝いしましょう、との提案でもあるのです。
話をS社に戻します。
このような手紙を書いて、責任者とのアポに成功。
その結果、S社の食堂に大量のパンフレットや 私の手製資料を一定数置かせていただきました。
窓口となってくれたのは総務部長だったのですが、こんな会話をしたことをはっきりと覚えています。
私 「家を建てようという社員さんから、総務部門への相談とか問い合わせとかあるのですか?」
部 長「もちろんです。 社内融資の関係もありますが、やはりその他の書類を求めてきたりとかですよね。 また社員寮に入ってる社員にとっては退去する手続きや時期の問題などもありますので、必ずそうした相談があります」
私 「その際におすすめの住宅会社を紹介したりということはあるのですか?」
部 長「いやいや、さすがにそんな話にはならないですよ。でも、今回のように住宅会社の情報を提供すること自体は、ある意味総務部の仕事でもありますからね。今まで考えたこともなかったですが、今回は森さんからの提案を聞いて、こういうのもありだなと思いました」
私はこれを機にパイプを作って、時折電話をしては「カタログはまだありますか?」などとコミュニケーションをとっていました。
現在指導している内容はこんな感じ
今ご紹介した内容は、インターネットやメールがない時代です。
もちろんホームページなど存在しないので、S社の社員の方にとっては私が届けたカタログは貴重な情報源だったということも功を奏したのでしょう。
しかし、簡単に様々な情報が取れる現代では、カタログを置かせてください、という話は通用しません。
そこで、私が住宅会社で指導してる内容は「ホームページには載っていない情報をお届けします」「新しい土地情報を入手したらホームページに掲載する前に御社にお届けします」となります。
特に土地情報の話は刺さるケースが多いですね。
ターゲットとする相手は、大きい会社であれば中間管理職の方になりますし、小規模の中小企業であれば社長になります。
どちらでも構わないのですけども、対象となる方が自らのマイホームを建てるときに、土地探しで苦労した経験があると話が大変盛り上がることが多いです。
問題点はもちろんあります
ここまで書くと簡単に話が進みそうですが、トントン拍子で簡単にはいきません。
①大手が有利
これは否めません。
やはり知名度がある全国の企業は安心感と信頼感につながるので、大手企業になればなるほど地元の小さい会社が入り込むのは困難を極めます。
後は営業力になるでしょう。
相手の社員さんは全てが大手で建てるわけではありません。
大手企業や地元の有名企業に加えて、地元で頑張る工務店などで建築する方も沢山います。
そのことを強くアピールするとともに、小規模住宅会社の方は、補償や実績や安心などについてしっかりと説明をしてください。
②大手が不利に働く場合もある
先ほどと真逆のことを話します。
相手が大企業だとしましょうか。
ここに対して、積水ハウスや三井ホームといった全国企業がアプローチをすると「面白い話なんだけども、そうすると他の大手メーカーもしっかり扱わないと問題になるんだよね」と切り返されるケースも発生するのです。
これは中間管理職の立場の相手であれば、ある程度想像がつくことです。
仮に積水ハウスがこのような行動をして、土地情報等の提供をしたとしましょう。
しかし、この話を上司が聞きつけて「どうして積水ハウスだけと付き合っているのか。これはあまりいい話じゃないな」と叱責される可能性があるからです。
私がコンサル現場で実際にぶち当たった障害はこの二つです。
また、そもそも会ってくれないケースというのももちろんありますし、比率からいえばこちらの方が多いです。
しかし、今お話をしているのはいわゆる飛び込み訪問に近い内容です。
10社、15社と当たって1社会ってくれれば、それは大成功だと私は認識しています。
新規のお客さんがいなくて困っているという状態なのです。
こうしたピンチを招いてる時の行動ですから、数を回ってそのうち1社でも当たればOKと考えるべきです。
本記事執筆講師が動画にてわかりやすく解説
工務店営業社員の育て方 「24年にわたって現場で営業育成をしてきたノウハウの一部をご紹介」
積水ハウスと 零細工務店で営業を経験したのち独立した私は、以後24年間に渡って現場で営業指導を行ってきました。
コンサルティング現場ではさまざまなことを行ないますが、今回の50分のビデオではコンサル現場で実際に行っていることも交えながら、3点にポイントをまとめて解説しています。机上の空論ではなく、すべてが 現場で実践してきた内容ですので、是非とも最後までご視聴ください。
今年度はひとり親方の 大工さんから、上は年間2000棟以上こなしているパワービルダーの社員研修まで幅広く行っていますが、規模の大小に関係なく、ある事を徹底的に忠実に実行すれば 受注が伸びていくのです。