新規のお客さんを開拓する源泉営業を実施する場合、過去の名簿を改めて発掘する行為も、その範疇に含めるべきだと私は思います。
新規開拓と聞くと、どうしてもまっさらな新規客のことが頭に浮かびますが、過去に接点のあったお客さん、とりわけここ数年全く接点のないようなお客さんは、事実上の新規と判断して問題はないでしょう。
営業マン心理としては、古い過去名簿を回るのは苦痛で、新規のお客さんを一本釣りしたいという気持ちがあるのは当然です。
しかし、その発想は是非変えて欲しいと思います。
1年以上にわたって何のアプローチも行っていない案件は、新規客だと思ってアプローチするのです。
展示場で接客して次アポが取れる確率は?
住宅展示場に勤務してる営業の方に質問ですが、展示場で10人のお客さんを接客して、そのうち半分にあたる5組の方と次回のアポをしっかり取りきるという人は日本に何人いるでしょうか。
この次元を保ちながら奈良県内で営業をしている女性の方と、私は会ったことがあります。
ただ、彼女が勤務する展示場は、住宅街の中にある単独展示場ということもあり、完全に遊びに来たとか、ふらっと来たという方はほぼいない環境でした。
また、総合展示場ではないので、アポイント取得を拒否されるときの決まり文句である「他の会社も色々見たいので」 との断りトークを受けにくい環境でもありました。
しかし、2組接客して1組をアポイントまで持っていくという営業はそうそういません。
一般論ですが、総合住宅展示場で、10組接客をして3組のお客さんとアポを取れれば私は十分に優秀だと判断します。
残りのお客さんへのアプローチは・・・
10組中3組と次回のアポイントを取れたとしましょう。
この場合残りの7組はどうなるのでしょうか。
「定期的にしっかり追客をしています」
多くの営業マンが、おそらくはこう答えるのでしょうが、実際にしっかり追っている営業マンはほとんどいないと私は推測しています。
定期的に DM を送るのがメインで、あとはたまに手紙を出したり電話をかけたりというところでしょう。
お客さんを追っているとは言いながら、声を聞いたのは初回の展示場接客のみ。
その後は複数回にわたって電話や訪問などはしているものの、結局はそのままフェードアウトになってしまうのです。
そもそもこのようなお客さんの顔は、営業マンも覚えていませんし、お客さんだって営業マンの顔や声など覚えてるわけがありません。
つまり、このような案件は完全な新規案件と同じなわけです。
だから、しばらく接点のないお客さんというのは、新規のお客さんと同じようなものといえるのです。
私がコンサル先で指導する内容
私コンサル先である住宅会社に出向いて実際に行なっている指導内容をお話しましょう。
営業マンがたくさんいればいるほどやりやすい手法なのですが、 3年生以上の営業マンに次のような指示を出します。
私「あなたが保有しているお客さんのリストの中で脈がないと思われるものを下から10枚選んで出してください」
こうすると、営業マンはパソコンの画面を開き「この人は言っても無駄だろうな」と呟きながら、ダメっぽいものを10枚吐き出すわけです。
そして、この10枚を新卒社員やそれに準じた中途社員の営業マンへ担当替えをします。
すると彼らは、この案件に対してアプローチするのですが、担当が代わっているので新鮮な気持ちでアプローチするのです。
過去のやり取りをひとまず調べると、初回の展示場で30分あっただけ、その3年間やり取りは全くなし、という案件ばかりなので、営業はもちろんお客さんも新鮮な気持ちです。
営業はまっさらな気持ちで臨みますので、タイミングさえ合えば話がトントン拍子で進むことが往々にしてあるのです。
これは決して盛った話ではありません。
タイミングさえ合えば、即契約につながるケースがあることを覚えておいてください。
その反面、とっくに家を建ててしまった人も出てきますし、転居などでそもそも連絡がつかないような方も一定数発生します。
既に存在しないお客さんを契約客リストとして持っていること自体が馬鹿な話ですから、 このような動きをすることによりコンピューターから弾くこともできるのです。
自動追加メールが台頭してきた
名簿を取得して顧客リストに掲載したお客さんを追客するわけですが、最近は自動でメールを送信するシステムが人気となっています。
この手のメールシステムは、リスト化されたお客さんを的確に追っていく機能を有しています。
例えば3年前に住宅展示場に来たお客さんが、いたとしましょうか。
しかし、その後2~3回電話をしたものの繋がらず、以降はほったらかしだったとします。
営業マンにこのまま任せていても、おそらくは放置状態は続いて事実上のアウトカードになります。
ところが、こうしたメールシステムを導入すると、3年ほったらかしのお客さんに対しても、それなりの文言でアプローチをしてくれるのです。
私は何件も事例を知っていますが、このような自動追加メールで1年も2年もほったらかしにしてあった案件にアプローチして契約した、との事例はたくさんあります。
私も先輩の過去名簿を回って受注を取った経験が
私が在籍していた積水ハウスのやり方なのですが、新卒として入社した時に先輩である店長からこう指示されました。
「ここに400件の名簿がある。先輩たちが回ったものだが、必ずここから契約できるから先輩たちの鼻を明かしてやれ」と言われたのです。
当時はパソコン時代ではありませんでしたので、紙ベースの名簿を400枚とサッと目の前に置かれました。
その時の私には接客能力はありませんので、展示場で新規担当はできません。
従って、来る日も来る日もそれらの古い名簿をまわっていたのですが、回り始めて3日目でいきなりヒットしました。
「その後どうなりましたか?」
なんのひねりもないベタベタなトークで突然訪問したところ、出てきたご主人がこう言ったのです。
「いいタイミングで君来たね」
そこでアポイントを取って、2回目からは店長がびっちり私についてくれて具体的な折衝はすべてお任せでした。
しかし、この案件は私の第一件目の契約となったのです。
この時契約していただいたK様は、7つ上の先輩が担当していたものですが、担当とは名ばかりでほったらかしにしてあった状態だったのです。
つまり、私が訪問しなくても、この先輩が定期的にしっかりフォローをしていれば、K様とは契約できた可能性が極めて高いと推測できます。
「このお客さんはアプローチても無駄だろう」
先輩は間違いなくこう思っていたはず。
この気持ちに鞭打ってしっかりとフォローしていれば契約をできたわけですよね。
本記事執筆講師が動画にてわかりやすく解説
工務店営業社員の育て方 「24年にわたって現場で営業育成をしてきたノウハウの一部をご紹介」
積水ハウスと 零細工務店で営業を経験したのち独立した私は、以後24年間に渡って現場で営業指導を行ってきました。
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