失注客取材で聞いた競合負け理由に思わず頷く

工務店のホームページを見ると、契約をしたお客さんのお宅を紹介するコーナーをよく見かけます。

【名古屋市 昭和区 K様邸】

こんな感じで紹介されたお客様のお宅の写真が並び、おしゃれな外観や内装を見ることができます。

実際のご家族が写真の中に登場するケースも多く、見ていて飽きないのですが、契約をした上にホームページに登場するわけですから、基本的にはすべてのことに満足をしているお客さんなのでしょう。

しかし、その反対にその会社と契約をしなかったお客さんは、当たり前ですがホームページに載ることはないですし、どうして他の会社と契約したのかという理由は、分からないままというケースが圧倒的に多いでしょう。

数は少ないものの、こうして失注したお客さんの取材も私はこれまで行なっています。

直近の取材は1年前になりますが、Zoomで小一時間ほど色々な話を伺いました。

今回のコラムはこの取材でお客さんが話をした「〇〇工務店を断った理由」について話を進めていきましょう。

久々にできた失注客の取材

東海地方に本社を構えるC工務店。

いわゆる零細工務店ではなく一定の規模があるのですが、C工務店が半年ほど前に同規模のBホームに競合負けした案件を取材しました。

私はこの会社の契約客の取材をこの時点で5件終えていたのですが、社長はもちろんのこと私からも「何とかして失注客の取材のアポを取れないものですかね」と担当の営業マンに要望を出していました。

すると、担当営業マンがお客さんの了承を取り付けたのです。

久々の失注客の取材だったので、当日は通信環境をしっかり確認してZoom取材に臨んだのです。

全部で2時間に及んで取材だったのですが、このお客さんはC工務店をやめた理由を事細かに、そして理路整然と話してくれたのです。

①社長の顔がよく見えなかった

取材の冒頭ですが意表を突く答えが返ってきました。

つまり、競合相手のBホームの社長の顔はよく見えたということになるのですが、ホームページを見るとC工務店もBホームも、トップページにしっかりと顔写真入りの社長が登場して挨拶をしているのです。

ところがよく見ると、C工務店社長の挨拶はいわゆる紋切り型の全く無味乾燥の挨拶文となっているのに対して、Bホームの社長は定型文から始まるものの、創業に対する思いや自分の趣味なども踏まえ、ちょっとした楽しい読み物になっているのです。

皆さんの会社はどうですか。

社長が顔写真入りでホームページに登場してる会社は無数にありますが、そのどれもこれもが似たり寄ったりのつまんない文になっているはずです。

このお客さんはしっかりと両者の違いを見比べていたのですね。

②全てに関するスピードが遅い

これはよくある話ですが、C工務店の営業マンの動きがBホームの営業マンと比べるとなんとなく遅かったというのです。

具体的に何がどのくらい遅かったのかということをお客さんに聞いたのですが、返ってくる答えは「全体的に何となく・・・」というもので結果的には判然としませんでした。

会社に帰ってから担当営業マンにこの真相を聞いたのですが、そのあたりの落ち度はなかったはずだと言うばかりで、自分でも納得してない様子がありありと見て取れました。

何がどう遅かったのかは結果的にわからずじまいだったのですが、 お客さんがこう感じたのであれば致し方ありません。

③収納提案に関しては段違いの差があった

この話は興味深かったですね。

Bホームのことをよくよく調べてみたのですが、収納提案に関しては自信がある旨がホームページに書かれていたのです。

取材時に奥さんからこの言葉が出てきたので、私は大きな関心を持って徹底的に聴き込んでいきました。

ヒアリングが徹底していた

やはりこれが重要です。

皆さんの会社ではどうでしょうか。

「収納不足が今困ってるんですよね」
「そうですか、では収納をたくさん取りましょう」

こんなありきたりな会話で終わっていませんか。

収納不足が悩みなのは聞くまでもありません。

その上で具体的にどんな物の収納で困ってるかを、順番に聞いていくのです。

Bホームのヒアリング方法を奥さんに聞いてみました。

私「Bホームさんは事細かに収納の事を聞いてくれたのですか」
奥様「各部屋ごとと言いますかとにかく細かく聞いてくれるんですよね」
私「例えばどんな感じでしょうか」
奥様「口だけではなく写真を使って説明されたのですが、その写真のおかげでものすごく答えやすいんですよね」

ここからは私が要約します。

Bホームの営業マンが取り出したのは、2LDKのアパートに住む30代の若夫婦の家の中を写したパネルだったのです。

その写真は生活感が非常に出たもので、一見して物が散らかっており収納に窮していることがわかる状態のものです。

その中の一枚に玄関の写真があったそうですが、その玄関の写真には靴箱から溢れ出した靴がそのまま脱ぎ捨ててあり、すみっこにある傘立てにはぎゅうぎゅうづめで傘が立っているというものだったそうです。

それを見た時に奥さんは営業にこう言ったとのこと。

「この傘立ては我が家と全く同じ状態です(笑)そうそう、うちもこんな感じなのよね。なんだかぎゅうぎゅうづめになっちゃってるし、ちょっとでも濡れていると、いつまでたっても乾かないんですよ」

この言葉を受けた営業マンは

「傘の置き場に困ってるのですね。ちなみに何本ぐらい傘を持つ何ですか?」

いかがでしょうか。

皆さんはこんな会話をお客さんとしたことがありますか。

傘の置き場に困ってるなどという話は、おそらくほとんどの営業マンがしない会話だと思います。

しかし、このご夫婦の家庭では、実際に傘の置き場に困っていたのです。

この会社の秀逸なところは、口頭だけで聞き取るのではなく写真を見せてお客さんの記憶を蘇らせたところにあります。

しかも綺麗な写真は使いません。

生活感の滲み出たもので、明らかに色々な点で困っているだろうという家庭の写真を使ったからこそ、話が盛り上がったのです。

私が現役の時にはこんな手法は取っていなかったのですが、現在のコンサルティングをする過程で「こういうやり方をすればいいかもしれない」と自分なりに気づいて、セミナーなどではこの話をしています。

とにかく収納のヒアリングが凄かった

細かい点は他にも色々あったのですが、私が印象に残っているのはヒアリング能力における、C工務店とBホームの圧倒的な差です。

この内容なら皆さんも真似ができるのではないでしょうか。

生活感のある写真を揃えるのが一番難しいのですが、ネットをひたすら検索すれば使える素材は出てくると私は思います。

綺麗な写真を使うのではありません。

現在の困ってる状況を聞き取るには、同じように困っているであろう、生活感のある写真を見せるとヒアリング力が段違いに増加すると覚えておきましょう。

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