この原稿を書いてるのは8月14日。
明日は終戦記念日ですが、お盆の最中ということもあって街中はひっそりとしています。
ニュースを見ていると帰省ラッシュのピークらしいものの、いずれにしても世の中はまだ動いていません。
世の中がひっそりと静まりかえっているこの時期ですが、住宅展示場を保有する会社の経営者はあることに悩む時期ともいえます。
「お盆期間中に展示場を開けるか否か」
大昔からある永遠のテーマなのですが、私としてはお盆ぐらいはしっかりお店を閉めて社員みんなで休養した方が良いと思います。
しかし、この期間中だからこそのお客さんを拾えるチャンスを放棄するのも、経営者としては忸怩たる思いでしょう。
経営判断としては休業すべきだと思いますが、営業社員が展示場に出勤したいという強い希望を持っているのならば、その意思を尊重してお店を開ければ良いのではないでしょうか。
お盆や正月に特有の客層が存在する
東京から長野に帰省したHさん一家の動き
出身地である長野県松本市から東京に出て15年のHさん。
今では結婚もして子供も2人いて幸せな生活を送っているのですが、勤務している会社で在宅ワークが認められることになり、それを契機に田舎の松本市に帰って家を建てようと考えています。
そのHさんがこの1年前のお盆に松本市に帰省した際、松本市中心部にある総合住宅展示場に足を運びました。
大手メーカーを中心に見学をしたのですが、当時の住所はあくまで東京ですし、松本市内で土地探しもしなくてはいけないので、具体的な折衝に入るとリアルでの商談はなかなかできない状況でした。
コロナ禍になってZOOMなどのWeb商談が一般化したので事情は激変したわけですが、担当する営業社員にとって一般的には、建築エリアに住んでるお客さんと折衝するのが当たり前のところ、お客さんは遠く離れた東京に住んでいたのです。
いくらズームが発達したとはいえリアルで会って話をするのとは空気感がまるで違います。
お客さんが大きなモニターを持っていればこちらが提案する図面などを詳細に見ることも可能ですが、実際にはなかなか難しいことが予想されます。
WEB商談のロープレを徹底的に行う
ポイントはこれです。
会社によってはWeb商談を当たり前のように実施して営業社員も慣れ親しんでいるかもしれませんが、これだけZoomなどのシステムが進化しても、住宅営業現場における活用頻度を調査すると、広まっていないという実情があります。
「うちはガンガン使っているんだけども全体的にそんなもんなの?」
このような声が聞こえてきそうですが、私の肌感覚と情報から間違いないと思ってください。
ある規模の大きな会社があるのですが、こちらの会社ではホームページにWEB商談を積極的に勧めるページを設けて、明らかにお客さんに対してこのシステムを勧めています。
ところが現実の営業現場では、全く真逆の事が起こっています。
WEB商談を営業マンが積極的に勧めていないのです。
その実態を把握した私は、社長にこの話を報告したのですが、社長も経営幹部も「なんでみんな使わないんだろうね?」と首をひねるばかり。
これはひとえにWEB面談システムでの訓練が足りていないから、と断言できます。
下手にWEB面談システムを勧めて折衝を開始したものの、操作に不慣れであれば商談はうまくいきません。
また、これまで長い間親しんできたリアル面談の感覚が身についているので、WEB面談にすると調子が狂ってしまうわけです。
これを解消するポイントは以下の二つ。
②営業社員の意識改革を徹底させる
これしかないでしょう。
特にWEB商談のロープレはすぐにでも行うべきです。
誰かが言いだしっぺにならないとなかなか行われないのですが、実際に行なってみると幹部社員が驚くほどに操作に不慣れであったり、不備が頻発することに驚くはずです。
田舎に住む親を徹底的にマーク
帰省先の親の存在が大きいことを認識
松本市に住んでいて松本市内の住宅展示場に行ってきたお客さんと、東京に住んでいてUターンして松本市内に家を建てるお客さんを接客する場合では、注意するポイントが違ってきます。
帰省した場合は田舎に住む(このケースでは松本市)親の存在が殊更重要になるのです。
Uターンして家を建てる場合は、地元の状況を親に確認する確率が極めて高くなると思ってください。
全国区のハウスメーカーで建てるとしても事情は同じです。
ですから、帰省したお客さんを接客する場合は、親がどのような人かをしっかりと確認することが大事なのです。
親はハウスメーカー派?地場工務店派?
Hさんはなんとなく全国型のハウスメーカーで建てようと考えたとします。
しかし、親との会話の中で「ハウスメーカーもいいけども松本市内には〇〇工務店というものすごく良い会社があるぞ」という意見が出てくれば考えがぐらついてもおかしくありません。
あなたが全国型ハウスメーカーの営業マンだとしましょう。
そうすれば、この考え方は早い段階で潰しておかないと、お客さんが〇〇工務店に流れる可能性が出てきます。
親が土地を出すかどうか
これも重要ですよね。
東京などの大都市圏では難しいですが、松本のような地方都市に行くと実家の敷地内に余裕があって、そこに家を建てるというケースもあるでしょう。
また、土地を新たに買うとしても、その資金を親が援助することもよくあるパターンです。
こうなると、なおのこと親の考え方を確認する必要が生じます。
土地を出すわけですから、自分たちの意見を通そうとするかもしれませんし、それが実家の敷地内となれば要求がもっと強くなる可能性があるからです。
親が考える建築希望時期
東京に住むHさん夫婦はやる気満々だとしても、松本市に住む実家の両親に「まだ早いからやめとけ」と言われてしまうと計画そのものが消滅してしまいます。
早い段階で親が考える建築希望時期を聞き出し、消極的だということが判明した場合は、直接会って話をするか、もしくは資料などを作って説得する機会を早急に作るべきです。
そして、このような時こそ、ZOOMなどのWEB面談システムを活用してみましょう。
親の存在は初回面談時に必ず確認
盆暮れ正月に限った話ではないのですが、住宅展示場でお客さんを接客するときには必ず背後に隠れてる親の存在を確認してください。
特に親が土地を出したりお金を出したりする場合は要注意です。
盆暮れは特に気をつけてほしいのですが、通常時でもこの理屈は忘れないようにしましょう。
住宅営業を長くやっていれば、親の突然の登場により商談が一瞬にしてぶち壊れた経験が一度や二度はあるのではないでしょうか。
「親の反対がありまして・・・」と上司に報告した経験は皆さんあるかと思いますが、厳しい言い方をすれば、これは親の責任ではなく折衝初期段階にその存在や影響度合いを確認しなかった営業社員の責任です。
本記事執筆講師が動画にてわかりやすく解説
工務店営業社員の育て方 「24年にわたって現場で営業育成をしてきたノウハウの一部をご紹介」
積水ハウスと 零細工務店で営業を経験したのち独立した私は、以後24年間に渡って現場で営業指導を行ってきました。
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