コロナによって様々な状況が変わりました。
もともと減少傾向にあった住宅展示場や現場見学会への来場者数は、コロナによってさらに減ったのです。
これはデータからも明らかなのですが、大手ハウスメーカーが大慌てになるのも頷けます。
中にはアイ工務店のように、逆張りの戦略で展示場にどんどん出店して成功を収めている会社もありますが、基本的には市場が縮小しているのが現状です。
このような話に触れながらコラムを書き進めますが、メインテーマは契約率の話になります。
住宅展示場に10組のお客様がやってきたら、そのうち何組と契約をしないと会社は立ち行かなくなるのでしょうか。
大手ハウスメーカーが住宅展示場から撤退している現状
まずは現状を把握してもらいましょう。
栄枯盛衰を繰り返してきた総合住宅展示場ですが、今はまさに“枯れて衰えて”いる状態だといってよいでしょう。
大手ハウスメーカーも展示場からの撤退を加速していますし、営業社員の採用も厳選している傾向が顕著です。
かつてのように、営業の頭数を増やして一気に営業をかければある程度の受注が見込める時代ではなくなりました。
顕著に減った来場者数
原因はこの一言に尽きるでしょう。
総合住宅展示場への来場者数は、4~5年前と比べても20%減から30%減という数字です。
これはコロナが大きく影響しているのは事実ですが、お客さん自体が 展示場にふらっと訪れて6社も7社も見学するスタイルが下火になったことも大きな原因です。
インターネットを使って見たい住宅会社を厳選するのです。
2社もしくは3社に絞って、その会社だけをターゲットにして、住宅総合展示場にやってきます。
20棟、30棟と建物が建っている大型総合展示場であっても、お客さんは決して欲張りません。
これと決めたところだけ見学して、そこでじっくりと話をして帰っていくのです。
このような傾向が顕著になると、今までのように あちらこちらに住宅展示場を建てていては採算性が低くなるわけです。
逆張りをして勢力を伸ばすアイ工務店
しかし、破竹の勢いで快進撃を続ける、アイ工務店のような稀有な住宅会社があるのもまた事実です。
アイ工務店は本社が大阪ですが、西日本はほぼ全域に出店を完了し、 上は北関東にまで勢力を伸ばしています。
北海道に出るのも時間の問題だと私は思っていますが、アイ工務店の戦略は、大手ハウスメーカーが撤退した跡地を狙って進出して行く逆張りのやり方です。
少し前までは10件の来場で1件取ればなんとかなった
つまり10%ということになります。
10組の展示場来場があった場合、そのうち1件と契約できれば、褒められた数字ではないものの「まぁ、最低限なんとかなったか」との認識でした。
しかし、今はこの数字が10%では話になりません。
私の計算では、20%から25%が採算が取れる目安となります。
つまり、4件接客をしたら、そのうち1件は絶対に決めなくてはいけないのです。
「それは大変なことになった!」
こう感じる方が多いかと思いますが、来場するお客さんの内容は濃くなっているので、折衝そのものは昔よりもやりやすい時代になったと私は考えています。
無駄な追客をする必要もありませんので、来場したお客さんに対して全力投球し、そして競合先とがっぷりの四つ相撲を取れるのです。
営業としてもやりがいがありますし、質の高い提案をすれば、それだけ契約率は上がります。
来場客が多い時代は無駄な追客も数多く発生したので、若い営業マンの数が多いハウスメーカーのパワーには、地場の工務店ではなかなか勝てない状況があったのが事実でしょう。
しかし、前述したように、お客さんの数が減ったものの、濃いお客さんが増えたともいえるので、さほど悲観する必要はないと思います。
私が経営者ならこう考える
来場者数の20%から25%と契約しなくてはいけないわけですから、私が工務店の経営者であれば、10件の来場のうち3件を是が非でも契約することを目標にして営業社員に指示を出すでしょう。
つまり目標を30%に置くわけです。
10件のうち3件の契約を目指すわけですから、10件の来場があればその半分である5件とは具体的な折衝に入らないと話になりません。
そして、この5件のうち最悪でも2件の契約を死守し、もう1件を何とか上乗せできれば3件の契約となりますので目標達成です。
すべてはこの数字を念頭において営業社員が動けばいいのです。
あなたの会社が展示場を1棟所有していると仮定しましょうか。
単独展示場で営業社員が3人いるとします。
毎月3棟受注できれば合格ですが、最悪2棟の受注ペースで行けば、年間受注棟数が24棟となり、1営業マン当たりの受注数も年間8棟となります。
最低でもこのペースを守る目標を立てて行動すれば、ここから若干落ち込んでも経営がおかしくなることはありません。
毎月の来場数は〇〇組が必要となる
次に考えなくていけないのは、展示場への新規来場客数の確保です。
毎月2棟受注するわけですから、最低でも10組の来場を確保しないと枕を高くしては寝られません。
10組の来場があったとしても、そのすべてが濃いお客さんとはいきません。
半分の5組が真剣に考えているか、もしくはそれに準ずるようなお客さんでなければ、毎月2棟の受注はおぼつかないのです。
「集客は会社の仕事」は間違い
会社の体制や事情にもよるかと思いますが、集客は会社の仕事であって 営業社員は契約を取ることに専念する、との考えはかなり危険だと私は思います。
私が経営者であれば、このような体制に絶対しません。
会社は会社で集客の努力はもちろんするものの、営業社員も自らが知恵を絞り、汗を流して、お客さんをどうやって呼び込むかという企画を考えて欲しいと通達を出します。
会社の風土として「俺は営業だから集客は関係ないよ」といった空気感が出来上がってしまうと、これを覆すのは至難の業です。
今年度、私が請け負っている大きな会社の新入社員研修でもこの方針を徹底
相当な規模がある住宅会社の新入社員研修を4月から通年で任されていますが、カリキュラムの中の一つに「自分でお客さんを探してくるように」と明快に指示を出しています。
今がちょうどその時期なのですが、予算をある程度つけた上で、自分たちの責任でお客さんを探してくる企画を立てろと指令をだしています。
もちろん、それによって集客ができれば、それは担当者として大手をふって追客する権利が発生します。
新卒のうちにこの発想を植え付けると、彼らの成長にも大きく貢献するのと同時に、会社の足腰がものすごく強くなるのです。
まとめ
②契約率目標は30%強
この数字を目指しましょう。
そして、全ての行動はこの数字から逆算して計算をしてください。
毎月の来場数が足りなければ、即座に策を打って、具体的な対応策を 捻り出すのです。
そして、最後に書きました、業社員自らがお客さんを探してくる癖をつけさせることが重要とお考え下さい。
会社の規模は関係ありません。
是非とも、この発想を元にして、来場客減少の厳しい時代を乗り切ってください。
本記事執筆講師が動画にてわかりやすく解説
工務店営業社員の育て方 「24年にわたって現場で営業育成をしてきたノウハウの一部をご紹介」
積水ハウスと 零細工務店で営業を経験したのち独立した私は、以後24年間に渡って現場で営業指導を行ってきました。
コンサルティング現場ではさまざまなことを行ないますが、今回の50分のビデオではコンサル現場で実際に行っていることも交えながら、3点にポイントをまとめて解説しています。机上の空論ではなく、すべてが 現場で実践してきた内容ですので、是非とも最後までご視聴ください。
今年度はひとり親方の 大工さんから、上は年間2000棟以上こなしているパワービルダーの社員研修まで幅広く行っていますが、規模の大小に関係なく、ある事を徹底的に忠実に実行すれば 受注が伸びていくのです。