「わが工務店はC値が〇〇 になっております!(どうだ、すごいだろう~)」➡ 少し偏り過ぎている気がしませんか?

無理やりケチをつける気はありませんし、C値やQ値などの性能を競い合うこと自体も、一つのアピール合戦でありお客さんへの訴求力を高めます。

しかし、あまりにも性能的な数値にこだわりすぎて、ほかの訴求ポイントのアピールが疎かになっているケースが多い気がしてなりません。

今日のコラムは、日頃から住宅業界の皆さんと接しながら感じる疑問を感じるままに書いていきます。

家は性能の一条工務店は確かにすごい

<家は性能>を謳い文句にして猪突猛進で営業をかけてくるのが一条工務店です。

悪い意味ではありません。

良い意味で猪突猛進と表現と言わせていただきます。

ぐちゃぐちゃと余分なことを言わずに、家づくりで最も大事なのはQ値、C値、Ua値などを含めた性能だと主張するわけです。

あまり関心を示さないお客さんはそのまま逃げてしまいますが、一条工務店のすごいところは、こういったことにさほど関心ないお客さんも引きつけてしまう営業力にあります。

総合展示場でよく見る光景

総合展示場は様々なメーカーの建物が入り乱れた集合体ですが、コンサルティング先の住宅展示場に行くと、このような現象によく出くわします。

営業「いらっしゃいませ」
客 「見学させてください。うちは妻がとにかく寒がりなので暖かい家が欲しいんですよ」
営業「 我々の家に住んでいる方は皆さん暖かいとおっしゃってくれますよ」
客 「C値はいくつですか?年間にかかる電気代の実例などはありませんか?」

話を要約していますが、細かい数値を訊ねてきたり、電気代の事例などを聞こうとしたりしてくるのです。

直接的にこう聞いてくることもありますが、いろんな変化球を投げてくることもあります。

ただ、会話を少しでもかわせば「この人は一条工務店行ってきたな」 と何となくわかるものです。

その流れの中で「ひょっとして一条工務店さんに行かれましたか?」 と聞くと、高い確率で的中するのです。

徹底する迫力

数値は確かに日本一で、これを上回るのはほかの会社では無理でしょう。

しかし、一条工務店のすごいところは、この一番であるというところをこれでもかと徹底してお客さんにアピールするところにあるのです。

一条工務店はこれで大成功しているので、彼らの戦略は間違っていないわけですし、今後も当面はこの路線で行くでしょう。

問題は一条工務店以外のハウスメーカーや住宅会社などです。

数値で対抗しても勝ち目はないわけですから、それ以外の対抗軸を見つけてぶつける必要があるのです。

Q値、C値はあくまで一つの選択基準

グラフ,ミニチュアハウス

住宅の温かさや湿度の保持などはもちろん重要ですので、それらを裏付ける高い数値は、お客さんに対して大きな訴求力があります。

しかし、快適な住まいの基準はそれらの数値だけではありません。

デザイン性、アフターサービス、打ち合わせの満足感、スピーディーな意思疎通など、様々な項目があるでしょう。

機密性などの数値だけにこだわるのではなく、満足度が高いと自負する項目があればそれを積極的にアピールしてほしいのです。

OB客からのリフォーム依頼が多い棟梁

20年来の知り合いである棟梁がいます。

この方はお父さんの代から工務店を営んでいますが、新築だけではなくOBのお客さんからのリフォーム依頼でてんてこ舞いの状態です。

建てた家の満足度が高いことの証左ですが、この棟梁はこれが強烈なアピールポイントだということに気づいていません。

私「お施主さんからのリフォーム依頼が去年もたくさんあったんですか?」
棟梁「そうなんだよね。新築もたくさんやりたいんだけども、お施主さんからの依頼で断れないじゃない。来年もすでに大型リフォームの案件が3件もあるよ」

こんな会話をつい最近したばかりです。

私から見ると、これ自体がものすごく大きなアピールポイントと思えて仕方ないのですが、棟梁はこれをアピールポイントにしようとの発想そのものがありません。

そんなことを前面に出すこと自体がみっともないと考えているようで、その男気自体は私もよく理解できます。

しかし、それは絶対にアピールすべきだと、棟梁に今回だけは強く進言しました。

簡単なホームページを持っているのですが、この内容を盛り込んだ修正を今かけているところです。

お客さんの評判は数値化できる

「弊社の紹介受注率は60%です」

こう謳っている外壁リフォームの会社が関東地方にあるのですが、これなどはまさにお客さんの評価を数値化したものです。

社長は職人出身ですが、奥さんは美容業界出身ということもあり、営業や広報関係は、奥さんがすべて取り仕切っています。

こんなことも影響していると思えるのですが、アピールの仕方は極めて上手で、この60%の紹介率もホームページで目立つところに貼ってあります。

先ほどお話をした棟梁は、1人でやっているので年間の新築数はさほどではありません。

しかしこのような形でホームページに掲載すべきです。

① 建築後 25年  練馬区  S様
娘さんが結婚して家を出たのを契機に減築のご相談を受けました。
工事は来年の2月からスタートですが・・・・

② 建築後12年  板橋区  H様
ご夫婦二人暮らしのご自宅をお建てしましたが、12年経ったところで外壁塗装の依頼を受けました。今回使用する塗装剤は4段階ある中で最も高品質である・・・

こんな感じで説明書きを添えて、ホームページに掲載すればいいのです。

1年間に5軒の新築をする工務店があったとしましょうか。

細かい仕事も入れて、OB顧客からのリフォーム依頼が年間に10件あるとしましょう。

私がお客さんであれば、この数字を見て「ちゃんとした仕事をする人なんだな」「お客さんから信頼されてるんだ」と思います。

飛行を例に考えてみる

航空機のパイロットは、とにかく高度を維持しようと努力します。

空中で不測の事態が起こっても、高度さえ確保してあれば危機をなんとか回避できるからです。

この理屈からいえば、高度10,000mを航行中の飛行機よりも、高度10,100mを航行中の飛行機の方が、安全性が高いといえるでしょう。

しかし、厳密にいえばそうなるとは言え、この100mの差はほぼ誤差ともいえます。

地上100mと地上200mでは安全性にとんでもない差があると思いますが、ここまで高いとさほど大きくない差ということです。

これが家のC値、Q値などにも当てはまるのではないでしょうか。

ある住宅性能に関して100点のメーカーがあるとしましょう。

一方あなたの会社は99点だとします。

数値は確かに後れをとっていますが、これは明らかに誤差です。

つまり、こんなところで争っても体力消費するだけであって、生産的ではありません。

とんでもなく数字が低ければ話になりませんが、高いレベルで争う分には、どちらを選んでも同じだとお客さんにしっかり伝えてください。

ミサワホームの営業がこんな話をしていました。

「ミサワホームといえば南極の昭和基地の話が有名ですよね。昭和基地の建物はミサワホームが作ったのです、と若い頃お客さんに良くアピールしていたのですが、あるとき“ここは南極じゃないから”と言われて言葉に詰まったことがありました(笑)そのお客さん曰く、オーバースペックだというんですよ」

皆さんにもいろんなお考えがあると思いますが、私はこのような発想でコンサルティング先の営業に指導をしています。

まとめ

Q値やC値という数字は、明確に優劣がつくので住宅会社としてはアピールしやすい材料です。

自社がトップの数字をとっているのであればガンガンアピールすればいいのですが、数値が劣るのであれば、ほかの切り口を探して数値化するのです。

ものによっては数値化するのが難しい内容もあるとは思いますが、最後にご紹介したOB顧客からのリフォーム工事の件数などは、明快な数字として前面に出せるでしょう。

皆さんの会社の中にも、このような形で数値化してアピールできるポイントが何かしらある、と私は考えています。

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