住宅フランチャイズに加盟して成功する条件

日本には実に多くの住宅フランチャイズが存在しています。

ローコスト住宅の先駆けとも言えるアイフルホームは全国に加盟店を張り巡らせていますが、20年ほど前は【ローコスト住宅=アイフルホーム】といえるほど市場を席巻していました。

しかし、その後は規模の大小問わず様々なフランチャイズが出現し、群雄割拠という事態になっているのです。

工務店経営者であればフランチャイズ加盟に検討をされた方もいるでしょうし、実際に加盟募集説明会に参加された方もいるでしょう。

私はこの20年間で様々なフランチャイズの営業研修に関わってきました。

本部主催の加盟店研修はもちろんですが、新規加盟の募集説明会にも登壇しましたし、加盟店から声をかけていただき通年のコンサルティングを行ったこともあります。

この経験から、住宅フランチャイズに加盟して成功する条件があることに気付きました。

本部の指示を忠実に実行できるか

(写真:セルコホーム株式会社 加藤氏)

つい最近、セルコホーム本部の方とお会いする機会があって意見交換したのですが、成功の要因の一つがこれであると改めて確信しました。

セルコホームは仙台本社なので、西日本の皆さんには馴染みが薄いかもしれませんが、東北では圧倒的な知名度を誇る輸入住宅系のフランチャイズです。

本部の加藤さんと様々なお話をしました。

森    「セルコホームさんのような輸入住宅は熱狂的なファンがつきやすい住宅ですよね」
加藤氏「輸入住宅系はいろいろありますけども、おそらく皆さん同じだと思います。ただ、それだけで受注をガンガン取ることができませんので、そこまでの信者じゃない方に対してもセルコホームを好きになってもらうノウハウが本部に蓄積されているんですよ」

直営を持っている強み

ほかのフランチャイズも同様だと思いますが、セルコホームは本社地区の宮城県に直営店を持っています。

本部が立案した販売上の仮説を直営店で試すことができ、そこで上手くいったものを加盟店に展開できるわけです。

「本部の指示を忠実に実行できるか」

フランチャイズに加盟して成功する条件の重要なポイントであると私が確信している理由です。

フランチャイズに加盟するときは、当たり前ですが本部を信じて握手をするわけです。

しかし、実際には加盟した後に、本部のやり方に疑問を持ち独自のやり方をしようとするケースが散見されます。

これが全てダメだとも思いませんが、私が見てきた限りでは本部を信じて動いている加盟店ほど圧倒的に利益を出しています。

気象条件の厳しいカナダの住宅

フランチャイズ本部の方から会社の説明を受ける際には、 私は毎回頭を無にして臨みます。

住宅業界の人間としてではなく、一般のお客さんとして説明を聞くと、その会社のアピールポイントが分かるのと同時に「この営業トークは使えるな!」と感じるからです。

セルコホームの加藤さんとお会いしたときも建物説明をお聞きしたのですが、頭にすんなり入ってきたことは、気象条件の厳しいカナダの最高気温と最低気温を数字で見せられた時でした。

加藤氏「このデータをご覧いただきたいのですが、カナダの最低気温は-61℃最高気温は49.6℃なのです」

カナダが寒い国であることはみんな知っていますが、最高気温は正直意外でした。

この説明はお客さんにも前面に出してしていると推測できるわけですが、おそらく全てのお客さんが「こんな厳しい気候で適応する住宅だから、日本でも問題なく快適に過ごせるだろう」と思うはずです。

本部が推奨するデータとトークを使うべき

ホームページにも掲載して前面に押し出していますし、営業トークとしてもこれが有効であると本部が推奨しているわけです。

こうした内容は直営店で試した上で「お客さんへの訴求力がある」 と判断された内容なので、加盟店はこれを信じて現場で忠実に実行すれば成果が上がるのです。

たまたまセルコホームの方とお会いしたので題材にしていますが、 これはほかのフランチャイズでも全く同じだと言えるでしょう。

20年ほど前になりますが、私はアイフルホーム本部とがっちり組んで全国を回って加盟店指導に携わりました。

その過程の中でフランチャイズのオーナーさんに多数お会いする機会があったわけですが、大成功した加盟店の一つの社長がまさに同じことを話していました。

「私は本部の方針を信じてきました。おかげで多数の店舗を持つまでになりましたが、うまくいかない加盟店は本部をあまり信じてないんですよね(笑) そして独自の動きをしてぐちゃぐちゃになるんですよ」

ターゲットを絞ること

ダーツ,的,矢

フランチャイズに加盟して成功する要因をもう一つあげましょう。

工務店経営者として悩むことの一つが、オールラウンダーで行くかスペシャリストで行くかの選択でしょう。

住宅で言えば万人が受けるようなものを作るのか、もしくは好みが分かれるようなものを作るのかということです。

セルコホームやスウェーデンハウスといった輸入住宅系は、スペシャリストの部類に入るでしょう。

加藤氏「輸入住宅は外観も特徴的ですので趣味が合うか合わないか大きく分かれます」

つまり、妥当な住宅を販売するのに比べて、ターゲットの幅は確実に狭くなります。

しかし、一般的な住宅を手掛けると、競合会社もそれだけ増えるので、 フランチャイズとして成功するならば、何かしら圧倒的な特徴を持っているところに入ることが、成功の一つの条件でしょう。

セルコホームやスウェーデンハウスであれば、輸入住宅ならではの外観や内装になるでしょうし、外観の特徴でいえばオーガニックハウスなども、好きな人にはたまらないと思います。

クレバリーホームは外壁のタイルと収納提案に力点を置いているので、この二点に関心があるお客さん、検討の枠に必ず入ってきます。

スーパーバイザーの力量と相性

もう一点加えるならば、こんなことも成功要因の一つでしょう。

フランチャイズに加盟すると加盟店担当の本部社員がつきます。

概ね月に一回程度、会社に訪問してくれて、さまざまなアドバイスや情報提供をしてくれるスーパーバイザーと呼ばれる方々ですが、能力の差はどうしても発生しますし、社長や営業の皆さんとの相性も見逃せないポイントです。

「特に相性に関してはどこのフランチャイズも課題でしょうね(笑)」

加藤さんもこのように苦笑いしていましたが、フランチャイズ加盟にあたってのリスクの一つといえると思います。

新規加盟担当の社員には徹底的に話しを聞く

セルコホームで言えば加藤さんに当たる方ですが、新規加盟担当の本部社員の話を徹底的に聞くのはもちろん重要です。

そして冒頭にも書いたように、住宅会社のプロではなく一般のお客さんの視点で説明をぜひ聞いてください。

カナダの最高気温と最低気温の話が私の頭に一番印象に残ったと書きましたが、私が工務店経営者であれば「このアピールは頭にすんなり入って来やすいよな」とまずは考えるでしょう。

こうしたポイントをたくさん話してくれるはずですが、どの程度の話が自分の心に刺さるかどうかが重要です。

まとめ

住宅フランチャイズは昔と比べて数が増えるのと同時に、その質は格段に上がりました。

さらに細分化も進み、輸入住宅のような好き嫌いの好みがはっきり出るようなフランチャイズの複数でできています。

しかし、工務店が数多く淘汰されるのはほぼ確実と言われる予測が出る中で、フランチャイズに加入するという選択は生き残り戦略の一つとして厳然と存在することを認識してください。

食わず嫌いはやめて、検討に値すると思ったフランチャイズ本部の話を複数社聞いてみることをお勧めします。

加盟するかは別問題として、営業のポイントやマーケティングの考え方などを入手できる裏のメリットもあるからです。

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