私はこうして競合に勝った③・・・鉄板ネタの収納提案で奥さんの心をつかんだ

収納提案が奥さんの心をつかむのは住宅営業の鉄板ネタと言ってもいいでしょう。

あれこれと理由を説明する必要はありません。

現在住んでいる家で収納に満足している人が、いったいどれだけいるでしょうかと考えれば容易にわかることです。

基本的には住宅展示場に足を運んだり、工務店のドアを叩いたりしてやってくる人のすべてが、収納に困って悩んでいると考えればいいのです。

ですから、それに対する素晴らしい解決案を提示すれば、お客さんの強い信頼を得られて契約につながる可能性が高くなるわけです。

前回に続いて今回も女性営業に話を聞きました。

奥さんと収納の話で盛り上がり、結果的にはそれが受注の最も大きな成功要因になったと彼女は話します。

一般的にはどんな収納に皆さん困っているのか

本題に入る前に、家を建てる方が収納に関してどのような点で困っているかを押さえていきましょう。

これらのデータを頭に入れているかどうかが、収納提案をする際の大きなポイントになってきます。

【長谷工2019年調査より(2,780名が回答)】

収納の不満

長谷工さんの資料をお借りしました。

まずはこの資料ですが、皆さんに着目して欲しいのは上から4番目に多かった出し入れがしにくいです。

住宅会社の提案でよく見られるのは、ただ単純に「収納をたくさんとりましょうね」「この建売案件は収納が非常にたくさんあるのですよ」とアピールしていることです。

誰しもが経験あるはずですが、押し入れなどにあるものをしまったことは間違いないのですが、それを探し出すのに難儀して時間がかかってしまうどころか、手前にあるものを崩しながらぐちゃぐちゃにしてしまうことがあります。

ここへの提案がしっかりできると、ほぼ間違いなく奥様の心をガッチリ掴むことができるでしょう。

具体的なトークをご紹介します

営業「今の生活で収納にはお困りでしょう」
奥様「そうですよ。そもそも絶対量が足りないですし、家の中がどうしてもちらかっちゃうのですよね」
営業「収納量不足ももちろんですが、しまったものがどこにいったか わからなくなったり、奥にしまってあるものを取り出そうとして、前に積んであるものがぐちゃぐちゃに崩壊してしまうなどということはありませんか?」

最後の質問が肝です。

収納に困っていると話すのは当たり前ですので、そこからいかに具体的にツッコミを入れられるかが勝負です。

最後に書いた営業の問いかけが、お客さんの信頼を得る決め台詞なのです。

「収納の検索機能」

私はこう名付けていますが、収納量はもちろんのこと、収納したものを的確に検索して探し出せるかが大きな問題で、せっかく新築をするのに収納量だけに焦点を当てて単なる箱をたくさん作るだけでは話にならないのです。

長谷工さんの資料では「出し入れがしにくい」となっていますが、 私の指摘と意味は全く同じです。

皆さんもぜひお客さんに対して前述した投稿そのままぶつけてみてください。

この質問に対して「いや・・・そんなことはありません」との回答はまずありえないと、私が自信を持って断言しましょう。

この会話を実行すれば、奥さんはこう思ってくれるのです。

【この人はわかってくれている】
【収納に関する私の悩みを解決する術をこの人は持っているかもしれない】

これが答えです。

収納場所がなくて困っているもの

別のデータを検証してみる

同じく先ほどの長谷工さんのデータをご覧ください。

収納場所がなくて困っているものはどれですか?との問いに対して、衣類が58%とダントツ1位であることがわかります。

これは我が家でも同じで、毎年のように行う衣替えの季節になると 、仕舞い込む衣類をどこにどのように収納しようかと、妻は頭を抱えています。

また、衣類は気を許すと、どんどん増えていきます。

ユニクロなどに足を運んで2,980円などと書かれたフリースなどを手に取ると「とりあえず買っとこうかな」とカゴに入れてしまいます。

こうしたものに加えて、下着なども必要以上につい買ってしまうものの、購入時にはそれらの収納場所などは考えていません。

これが、衣類が溢れかえって収納場所がなくなる原因の一つでしょう。

衣類のスッキリ提案をできれば勝率が高くなる

工務店の生き残り策の一つとして具体的営業手法を挙げるならば、 衣類のスッキリ提案をしっかりすることが生き残りに寄与することは明白だと思います。

私は工務店に対するコンサルティングを生業としていますが、その一つの手法に取り入れているのが、このようなデータを精査した上で、お客さんが困っていることの上位案件を潰しにいくことです。

筋のとおった話だと思いますが、皆さんはどう感じでしょうか。

収納提案で競合に勝った営業のT子さん

今回は前フリが長くなってしまいましたが、テーマの本題に戻りましょう。

ここまでご説明したように、収納提案をしっかりできれば他社との差別化になり、奥さんの心をガッチリ掴むことが出来る事がおわかりになったと思います。

東北地方で比較的大きな住宅会社に勤務する女性営業のT子さんに一年ほど前聞いた話をご紹介しましょう。

幼稚園の子供が居るT子さん

「私には幼稚園の息子がいるのですが、ほぼ同年代のお子さんをお持ちのお客さんが来た場合には奥さんと意気投合しやすいのですよ」

よくある話ですが、このパターンは確かに最強でしょう。

20代半ばの独身男性営業マンでは、こうはなりません。

ところが、女性同士でもあるし、お互い小さな子供を抱えていると 育児と家事でいかに大変かという気持ちを共有できるメリットは大きいのです。

T子さんはこう続けます。

「子育てで大変なことはたくさんあるのですが、収納に限って話をすると、まずは下着を含めた子供の服ですよね。簡単に汚すので毎日のように洗濯機を回してそれを乾かしどこかに置くわけです。大人であればクローゼットにしまった服を自分でとって着るわけですが、 子供の場合は自分でできないので、私が探し出してそれを着せなくてはいけません」

小さな子供がいると、問題になるのは服の収納スペースの問題だけではないのです。

服を着るのは子供ですが、子供がクローゼットやタンスから服を取り出すわけではないので、お母さんである奥さんが取りやすい場所にあるのと同時に、それを子供に着させる場所の確保が必要なのです。

① 脱がせる
② 洗う
③ 乾かす
④ しまう
⑤ 子供に着させる

子供が居る場合これらの工程が必要になるので、しまう場所だけではなく一連の動線提案が必要になります。

T子さんがこれらの動線をお客さんにしっかりと説明すると、奥さんは「うんうん!そうそう!」と共感してくれるとのこと。

T子さんにはこの他様々な営業トークがあるのですが、営業の核心となる部分は至って簡単で「奥さんがいかに共感してくれるか」この一点だと言い切ります。

まとめ

収納不足で皆さんが困っていることは誰もが知っています。

住宅会社として収納提案をしっかりした方が指示されることも、これまた皆さんはよくわかっているでしょう。

ところが、これを中途半端な提案で済ますと「この会社の収納提案は中身がない」とバッサリ切り捨てられるわけです。

このことに目をつけた某住宅会社は、収納専門の先生をアドバイザーとして仲間に入れ、契約後の打ち合わせに立ち会わせるなどして差別化を図っています。

他にも私が20年前からよく知っている住宅会社も、この手法を前面に出してお客さんにアピールしていますが、お客さんのウケはすこぶる好評で、受注に成功する大きな要因の一つにもなっているほどです。

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