私はこうして競合に勝った④・・・新人が熱意だけで受注する典型的なパターン

数千万円もする住宅を担当営業の熱意を大きな評価ポイントとして注文を出すお客さんがいるのでしょうか?

答えはイエスです。

もちろん、価格や性能やデザインなども考慮するのは当たり前ですけども、それらも踏まえた上で「営業さんが頑張っているからね」との理由は、受注成功理由の上位に必ず入ってきます。

今日は古い事例と最新の事例をご紹介します。

住宅営業や不動産営業を経験した方ならわかるはずですが、 最初の頃は経験も知識もないので、間取りの提案力などで受注をとるのはかなり難しいことです。

ところが不思議なもので、営業マンの熱意を示すとそれを評価してくれるお客さんが必ずいるのと同時に、その結果として数千万円もの住宅を託してくれるのです。

筆者の初契約は左官屋さん

営業の熱意が功を奏して契約に至るのは、今も昔も全く変わりません。

昔の事例として、筆者である私の初契約案件の話を最初にしましょう。

県の住宅供給公社の抽選で土地購入の権利が当たった

現在この組織はなくなっていますが私が積水ハウスに新卒で入った 年の5月に、県の住宅供給工社が開発した40区画ほどの分譲地での話です。

上司の指示どおりに、朝9時から夕方5時まで分譲地に張り付いて、車で土地を下見にやってくるお客さんを追いかけまわしていました。

他のハウスメーカーも含めて、7人から8人の営業マンが入り乱れている状態だったのですが、夕方5時ぐらいに団地内に入ってきた車が目に入った私は、一目散に走り寄って運転していた男性に声をかけたのです。

私  「こんばんは・・・この分譲地を・・・私が・・・ご案内させていただきます・・・はぁ、はぁ(と息を切らしながら)」
ご主人「うん?いや、ちょっと見に来ただけだから。自分たちで見るから大丈夫だよ」
私  「ただ、この分譲について私は詳しく勉強しておりますので、有益な情報やどの土地が抽選で当たりやすいかなどそんなことも持っておりますよ」
ご主人「そうなの・・・まぁいいか、じゃあ、話を聞こうかな」

確かこんなやり取りでしたね。

ご夫婦二人に車を降りていただき、私がその分譲地をあれやこれやと説明したのちに、他社営業マンに食いつかれないよう気を付けながらお客様は無事にお見送りをしました。

本題とは逸れるので詳しく書きませんが、団地を下見に来たお客さんに一番早く話しかけた営業が優先権を得る、という暗黙の了解があったので、すべての営業マンが猛ダッシュでお客さんの車にかけよっていく光景がその時に繰り広げられました。

お客さんも怖かったと思いますよ(笑)

分譲地を下見に行ったら、7人~8人の住宅会社の営業マンが自分めがけて全速力でわらわらと集まってくるわけですからね(笑)

中には、下見に来たものの、営業マンが寄ってくるのを目にしたとたんにアクセルを吹かし、そのまま帰った車も何台も目にしました。

アポを取ってお客さんに会いに行った

お客さんの住所や電話番号は私しか知りません。

その電話番号に電話をして「分譲地に関するもう少し詳しいお話を私からさせていただきたいのですがお時間を取ってもらえませんか?」とアポイントを取りにいったところ、すんなり了解を得られてその翌日にご自宅に伺いました。

そこでいろいろな話をしたのですが、当時60代だったご夫婦の奥さんが私に対して「あなた新入社員でしょ?一生懸命汗流しながらやっているわね。頑張りなさいよ」と声をかけてくれたのです。

この後いろいろあったのですが、結果的には競合は全く入らずに私が23坪の平屋を受注することに成功しました。

折衝の後半と契約当日には上司が立ち会ったのですが、その時上司がご主人と奥さんに対して、こんな質問を投げかけました。

上司「今回はありがとうございました。ところで、営業の森はいかがですか。頑張ってやっていますかね」

このようなニュアンスの質問したのですが、ご主人奥さんともにのことを、一生懸命熱意を持ってやっているとの主旨でベタ褒めしてくれたのです。

新卒で入社後すぐの5月の話ですから、経験も皆無ですし住宅の知識などあるわけがありません。

ましてやご主人は左官屋さん。

住宅の細かい知識はない、と話していたものの、左官屋さんですから一般の方と比べれば圧倒的な知見があるわけです。

それなのに私を選んでくれた理由としてトップにあげたのが、汗をかいて熱意を持ってやってくれた、だったのです。

ひとつ質問すると10倍で返ってくる

ビジネスマン,人差し指

筆者が新卒であった古い時分の話をしましたので、2つ目は超最新の 情報をご提供します。

某住宅会社と契約したお客さんの取材内容からなのですが、取材日は2022年11月下旬です。

小一時間ほどズームを使った取材をしたのですが、質問項目の中で 営業マンへの感想や評価を聞いてみました。

「営業担当者に感動しました!」

ここまで評価される言葉をいただくのはめったにないでしょう。

担当営業がよくやってくれた、信頼を持てた、との評価は耳にしますが、ストレートに「感動しました!」は私も滅多に聞いたことがありません。

次に私が関心をもったのは、このお客さんが担当営業に対してどんな点に感動したのかです。

その質問に対してこんな答えが奥様から返ってきました。

奥様「レスポンスが非常に早かったこともあったのですが 1つ何らかの質問をすると、異常なスピードで返事が返ってくるどころか、 10倍になって情報が戻ってくるのですよ」

他社の営業を出し抜くにはどうしたらいいかと悩む方も多いでしょうが、これなどは具体的な対応事例といえます。

こんな例で話せば分かりやすいでしょう。

例えばお客さんが、リフォームをするにあたっての市の補助金について質問したとしましょう。

これに対する対応は、以下でOKです。

① 最低でも翌日までに返信する
② 市の補助金だけではなく県の補助金やその他も調べて教える

いかがでしょうか。

翌日までに返信することはレスポンスが早いということで評価されます。

そして、お客さんは市の補助金のことを聞いたのですが、営業であるあなたは県の補助金も調べてお客さんに返すのです。

こうすれば、一つのことに対して二つの返事を返したことになるでしょう。

さらには県だけでなく、国やその他の機関の補助金を調べれば、3倍4倍の答えを出したことになります。

市の補助金に対する答えはお客さんも想定していますので、ごく一般的な満足度で終わるはずですが、県の補助金についての返事はお客さんが予期していなかったことでしょう。

予期していなかったことが感動につながるのです。

まとめ

新旧二つの営業マン対応を今日はご紹介しました。

この二つには30年ほどのギャップが存在するのですが、汗を流す営業への評価の高さは、全く変わらないことに気づいてください。

また、私が今気にかかっているのはSNSの偏重です。

「インスタグラムで発信しろ」
「Youtubeをどんどん上げろ」
「 Facebookでつながりを増やせ」

誤解なきよう申し添えますが、これらを否定しているのではありません。

否定しているどころか、私もこうしたSNSの動きは積極的に取り組むよう、コンサル先でうるさく言っているほどです。

ただ気にかかるのは、このような傾向に振り回されて、担当営業の熱意やレスポンスの速さなどといった、古典的だが圧倒的な支持を得られる行動を忘れていないかということです。

社長がこのコラムをご覧になっていたら、ぜひとも私が今回指摘したことを、会社の営業社員が励行できているかどうかを確認してください。

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