大手ハウスメーカーに対抗するための武器

大手ハウスメーカーは圧倒的な知名度と資金力を誇っていますが、小さな住宅会社でも五分に渡り合えるのが、この住宅業界の魅力あるところでしょう。

これが自動車業界ではそうはいきません。

あなたが何とか資金を調達して、自動車会社を今から作り、トヨタ自動車に対抗するのはほぼ不可能です。

実際にも国内の十社にも満たない自動車メーカーが、市場のほぼすべてを独占しています。

ところが住宅業界はどうでしょうか。

積水ハウスですら、業界全体の3%のシェアも取れないのです。

つまり、積水ハウスに対して従業員五人の住宅会社が勝つことも十分可能だということを意味します。

もちろん普通にやっていてはダメですが、少しだけ頭を働かせれば そのポイントが見えてくるのです。

住宅展示場を作るならば〇〇に目をつける

庭やアプローチをしっかり作る

総合住宅展示場に行かれた方なら気づくお話をします。

この写真は兵庫県にある大蔵海岸住宅総合展示場です。

所用でここを訪れたときに私が撮影したものですが、どこの総合展示場に行っても、玄関に入るためのアプローチや庭は全く整備されていないことにお気づきになるでしょう。

この写真では分かりづらいと思いますが、どの展示場をとっても建物をめいっぱい立てることに主眼が置かれているので、工夫されたアプローチを考えたり、ましてや庭のスペースまでは取りたくても取れないのです。

来場者は建物を見に来るわけですから、これでいいと言えば問題ないともいえるのですが、家を建てる場合はアプローチはもちろんのこと、庭や門扉などのエクステリア部分も本来なら見学したいのです。

ところが、スペースの関係でこのようなつくりになってしまうので、 大手ハウスメーカーが所狭しと並ぶ住宅総合展示場では、これらのエクステリアを見学することがお客さんはできないのです。

実際の営業現場で接客をする営業の様子を見ても、庭の話やアプローチの話には100%と言ってもいいぐらいに話題にはなりません。

ここまで書くとお分かりになると思いますが、もし私が今から工務店を興して単独住宅展示場を作るとすれば、可能な限り庭やアプローチ部分も整備した計画を立てるでしょう。

これらを整備した展示場に来場したお客さんは、必ずといっていいほど庭やアプローチの話を営業マンとするのですが、これが何よりもの証拠と言っていいでしょう。

某工務店の単独住宅展示場

私は大手のハウスメーカーと関わることもありますが、基本的には小規模もしくは中規模の住宅会社と関わる事が圧倒的に多いです。

そんな状況の中、1月21日にグランドオープンする某工務店の住宅展示場があります。

少し落ち着いたらこのコラムでも経過報告をする予定ですが、この展示場は駐車場から展示場玄関までのアプローチもしっかりとり、庭の整備もきちんと行っています。

また、南側に小川があるのですが、リビングを出たところにはかなり広いウッドデッキを作って、小川や庭を眺められるような仕組みにしています。

私もオープン時には泊まり込みで立ち会うのですが、建物だけでなく庭やエクステリアの話にお客さんとはなるはずですし、営業担当者にもそんな話をするようにアドバイスをしています。

お客さんにとっては、この話が実に新鮮に映るのと同時に、トータルで家づくりを考えている工務店の姿勢に賛同してくれるでしょう。

大手が使う莫大な広告宣伝費

電卓,コイン,ミニチュアハウス

「ハウスメーカーが高いのは広告宣伝費が高いからです」

ハウスメーカーと競合した中小住宅会社の営業が必ずお客さんに話すカウンタートークの一つがこれ。

私は積水ハウスにいたので経験済みなのですが、地元の住宅会社と競合すると、お客さんから「“積水ハウスさんは多額な広告費を払っているからその分高い”と〇〇ホームの営業さんが話していましたよ」と言われるのは日常茶飯時でした。

これに対する大手メーカーの反論トーク

もちろん、このシチュエーションは予期していたので、反論トークを当てていきました。

「そのようによく言われるのですが、確かに積水ハウスは相当な広告宣伝費を使っているのは事実です。しかし、年間に契約すると棟数は膨大ですので、一棟あたりの広告宣伝費で考えると実はそんなに大きく無いのですよ」

ただし、具体的に計算したことは一度もありませんが(笑)

ですから、厳密に計算をしたら実は莫大な金額を使っているかもしれませんが、一瞬聞いただけだと案外納得してしまうものです。

他にもよく言われたのが、営業マンの歩合給でしょうね。

積水ハウスは他社と比べて営業マンの給料が高かったのは事実でしたので、そのあたりを知っていた地場工務店営業マンだと「積水ハウスさんは一棟売ると相当のお金が営業者担当につくんですよ」と直接的に攻撃する営業も確かにいました。

お客さんにこう言われたときは「うーん、充分な給料は頂いてますが 、そんなに高いとも思いませんけどもね(笑)」と笑いながら誤魔化していたのを今でも思い出します。

意外な盲点が営業担当の転勤

積水ハウスは違いますが、他の大手ハウスメーカー では、営業社員が転勤したり他の部門に変わることがまま発生します。

このトークはお客さんの気持ちをそれなりに動かすので、営業時代には注意をしていました。

高い買い物をするお客さんにとって唯一の味方とも言える営業担当者がいなくなることは、やはり大きな不安要因となるのです。

今回のコラムは中小工務店の皆さんに向けて書いているので、大手ハウスメーカーを競合相手と位置づけていますが、実際大手と競合した場合には、このようなトークを使うと一定の効果があるでしょう。

積水ハウスはこのような転勤がなかったので、お客さんにこのように突っ込まれても即座に否定することができましたが、大和ハウスで営業をやっていた知り合いは「うちは結構転勤があるんだよね」と困っていたのを覚えています。

土地情報に強い

地元の工務店はこれをぜひとも使ってほしいです。

住宅展示場などを含めお客さんの属性をデータ化すると、七割程度は土地と建物を一緒に取得する層になります。

建物を決める前に土地を探して決済しなくてはなりません。

ところが小規模工務店では、土地なしのお客さんがやってくると「土地が見つかったらまたご連絡ください」と突き放すケースが散見されます。

突き放すというと言葉が正しくないかもしれませんが、少人数でやっていると、土地の紹介まで手が回らないという気持ちはよくわかります。

しかし、こんなことをやっていては契約が落ち込むばかりで、将来は真っ暗だと思ってください。

理想的なお客さんとの会話を再現します。

営 業「土地探しはもうかなりやられているのですか」

お客様「この一年間徹底的に探しているのですが、希望する要件にあった土地はなかなか出ないですね」

営 業「弊社はこの地で50年にわたって工務店を営んでいるので、 地元の不動産会社とはものすごく強いパイプがあります。場合によっては表に出ないような土地情報も耳に入りますし、中には地主さんが直接不動産会社を指名して預けるような土地もあります。そうした情報は、大手ハウスメーカーさんと比べて我々地元が強い点だと言えます」

もちろん嘘はいけません。

50年間やっていても、大したパイプがないようでは、このように断言することはできないでしょう。

ですから、これは全ての地場工務店に通用するやり方ではありませんが、自分の会社を再チェックして、私が今指摘したようなことに当てはまるのであれば、土地を探しているお客さんにこのように強くアピールしてください。

このトークがお客さんの心をガッチリ掴むことをわたくしが保証したいと思います。

まとめ

私の仕事は一人親方から大手ハウスメーカーまで、すべてが対象になるので、どちらかに偏ったコラムを書くときは気を使うのですが、今回はあえて小規模工務店の側に完全に立ち、大手ハウスメーカーとの競合時のコツをお話ししました。

私の現役時代も含めて大きな会社の営業マンが、折衝で小規模工務店に負けるケースはたくさん見てきているので、その勝因や敗因はよく分っています。

今回はその一部をご紹介しましたが「小が大を食う」事例について今後もこのコラムでは、機会があるごとにご紹介していきます。

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積水ハウスと 零細工務店で営業を経験したのち独立した私は、以後24年間に渡って現場で営業指導を行ってきました。

コンサルティング現場ではさまざまなことを行ないますが、今回の50分のビデオではコンサル現場で実際に行っていることも交えながら、3点にポイントをまとめて解説しています。机上の空論ではなく、すべてが 現場で実践してきた内容ですので、是非とも最後までご視聴ください。

今年度はひとり親方の 大工さんから、上は年間2000棟以上こなしているパワービルダーの社員研修まで幅広く行っていますが、規模の大小に関係なく、ある事を徹底的に忠実に実行すれば 受注が伸びていくのです。

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