「研究していた」はちょっとオーバーかもしれませんが、お笑いタレントの喋りに関しては、学生時代から私は強い関心を持って観察していました。
学生時代ですから将来どんな仕事に就くかも未定です。
しかし、将来的に何かしらの仕事をするからには、巧みな話術を身につけるに越したことはありません。
私の学生時代はビートたけしや島田紳助をはじめとする漫才ブームの真っ只中でした。
インターネットのない時代ですから、これらの情報は主にテレビだけから入手することになります。
漫才ブームが終わりかけの頃ですが、ある芸人がビートたけしの能力を的確に指摘したテレビ番組を目にしました。
ビートたけしの楽屋での姿
今の若い方にとっては、ビートたけしではなく北野武の方がなじみがあるでしょう。
ただ、私にとってはビートたけしのインパクトが遥かに強いので、ここではそれで通します。
誰が話していたか記憶にありませんが、とにかくビートたけしが楽屋にいる様子をある芸人がこんな感じで語っていました。
「本番ではあの人よくしゃべるけども、楽屋に居るときは結構静かなんだよね。ある時俺達に背中を向けて壁に向かって何やらメモをしてたんだけども、覗いてみたら本番でウケたギャグや思いついたネタをびっちりメモしてるんだよ」
この話をテレビで見たとき、私は衝撃を受けました。
あれだけの話芸の持ち主なので、何をどう言われても咄嗟に切り替えしたり、当意即妙な面白いことを返せる能力があるのだろうと思っていたのですが、実はこうした地道な努力をしてネタをため込んでいた事に驚いたのです。
もちろん才能があったのは間違いないでしょうけども、あれだけの話芸を持っていても、勉強をしっかりしていたということです。
相方のビートきよしについてたけしが語っていた
これは結構最近の話ですが、相方のきよしについてある番組で話をしていました。
「漫才ブームの時は寝る暇もなかったけども、バカみたいにお金が入ってきたので札束を紙袋に入れて遊び回っていたよ。きよしもめちゃくちゃ稼いでたんだけども、あいつは全然勉強しなくて遊んでるだけだった。だからダメなんだよな。常日頃からネタを仕入れたり感性を研ぎ澄まさないと、ブームなんかすぐに終わるぞって俺は口を酸っぱくして言ったんだけどさ」
なるほどという感じです。
私は現役時代営業トークをメモっていた
住宅営業はお客さんを笑わせるのは仕事ではありませんが、これだと思った営業トークやお客さんの気持ちを惹きつけた会話は、その都度しっかりメモをする癖をつける癖を付けましょう。
私は新卒で積水ハウスに入社した翌月の5月には、新築の受注を四棟取ることに成功しました。
注文住宅を四棟契約するとその翌日はパニック状態。
新規の注文を取る暇もなく、ひたすらフォローに追われる毎日だったのですが、仕様打ち合わせや色決めを行う過程で、設計士が打ち合わせに入ってくることが頻繁に発生しました。
当時の私はただただ熱意で受注したにすぎないので、家に関する高度な提案や的確なアドバイスをした記憶は全くありません。
ですから、打ち合わせになっても私の出る幕はなく、ひたすら設計士やインテリアコーディネーターが提案する内容を横で聞いていました。
しかし、そこで聞いた設計士やインテリアコーディネーターのアドバイス内容は、まさに目からウロコといいますか、心の中でひたすら感心することばかりだったのです。
気がついた点を横でメモをする書記に徹していた私ですが、次回の営業トークに使えそうな内容があるとすかさずメモし、自分の糧にしていたのです。
今思うとこうした積み重ねが、同期社員には真似できないような深い提案を可能としたのでしょう。
コラムをお読みの方にも若手営業マンがいらっしゃると思いますが、 若手の方は是非ともこのような行動を取ってください。
自分より明らかに知識がある設計士などが打ち合わせに同席した場合には、みなさんが知らないようなことを必ず彼らがお客さんに話しているはずです。
この中で繰り広げられる会話やトークのポイントを、素早く見極めてメモをしましょう。
これを一年繰り返せば怖いものなしの営業トークが頭の中に叩き込まれるでしょう。
島田紳助から勉強したこと
10年以上前に引退しましたが、ビートたけしの次は島田紳助の話です。
言うまでもなく彼の話芸も他の芸人の追随を許さないものがあることは皆さんもご承知の通りです。
「話芸のキレ方が他とは全然違う」
常日頃からこう思っていたのですが、コンサルティングの仕事をやるようになった今でも、彼が出てくるユーチューブを丹念にチェックして、その話術の分析を行っています。
比喩を巧みに使うテクニック
確実に言えることはこれでしょう。
島田紳助に限らず話の面白い人は、必ず比喩を効果的に会話に取り入れています。
14、 5年前に放送されたテレビ内容をユーチューブで見たのですが、 その時彼は、浮気に関する話をして場を盛り上げていました。
「月に小遣い3万円のおじさんがどうやって浮気なんかすんねん。 そんなもん細い棒をもって戦争に行くようなもんや」
① 毎月3万円のお小遣い➡細い棒
② 浮気➡戦争
このように言葉を置き換えているわけです。
彼がこれをとっさに口にしたのか、もしくは準備されたネタかわかりませんが、明らかにウケる話をこのように他の事象に巧に置き換えるわけです。
皆さんは芸人ではないのでお客さんを笑わせることが目的ではありませんが、アイスブレークの重要性を考えると、これらのテクニックは大いに参考になるでしょう。
アイスブレークの重要性
アイスブレークとは、その場の空気を和ませるという意味ですから 雑談のテクニックとでも言えばいいでしょう。
こう考えると、若干の笑いを誘うというか、その場の空気を掴みにかかるテクニックは、住宅営業マンにとって必要かと思われます。
訪日したオバマ元大統領はアイスブレーク一切なし
安倍元首相の回顧録が出版されましたが、その中で日本にやってきたオバマ元大統領との様子も描かれています。
銀座の有名すし店である久兵衛で会食したときの話です。
普通であれば若干の雑談をしながら本題に入ると思われるのですが、 オバマ元大統領は椅子に座るとすぐにアメリカ車の輸入について安倍元首相に詰め寄ったとのこと。
これに対して咄嗟にうまい反論をするあたりがさすがだなと思いましたが、オバマ元大統領のアイスブレイクのなさは、世界各国の首脳間でも有名なことだったようです。
これが原因だと思うのですが、オバマ元大統領は気難しくてとっつきにくいと、さまざまな人に思われていました。
ユーチューブを活用しよう
本題に戻りますが、私が言いたいことは、住宅営業のしゃべりのコツをお笑い芸人から得るのもありだということです。
勉強の仕方は簡単。
テレビで探すのは骨が折れますが、ユーチューブを使えば何の問題もなくこれらのノウハウに到達できます。
島田紳助を例にとりましょう。
今でも放映されていますが、行列のできる法律相談所なる番組がありますね。
これらのキーワードをユーチューブで検索すれば、島田紳助が司会をやっていた頃の映像がたくさん出てきます。
内容も面白いところだけをピックアップされたりしているので、効率的に彼の真髄を見ることができるのです。
お笑い芸人の好き嫌いは皆さんもあると思いますが、私は島田紳助の比喩テクニックは他の追随を許さないと思っているので、よろしければ参考にしてください。
まとめ
雑談のテクニックや話術と聞くと、何か天性のものと思い込みがちですが、そんなことは決してないと私が断言します。
私も人の前でいろいろと話す仕事をしているので、慣れてない方と比べると話は饒舌にできる方です。
ただ、これも自分に本来備わったもので勝負しているわけではなく、どのように話したら面白いか、あるいは面白くないかを研究しながら、23年間にわたってこの仕事を続けています。
自分は口下手だと思ってマイナス思考に陥っている方もいるかと思いますが、それを解消する方法は色々存在するのです。
皆さんも工夫をしてみましょう。
本記事執筆講師が動画にてわかりやすく解説
工務店営業社員の育て方 「24年にわたって現場で営業育成をしてきたノウハウの一部をご紹介」
積水ハウスと 零細工務店で営業を経験したのち独立した私は、以後24年間に渡って現場で営業指導を行ってきました。
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