ライバルより多くの新築受注を私ができた理由をお話しします⑭・・・建て替え案件では現宅を徹底調査した

数は少ないですが建て替え案件は工務店としても取りたいところですし、住宅営業個人としてもやりがいがあります。

なんといっても、土地なしのお客さんとは違うので土地紹介という手間が省けるからです。

不動産業の方は土地を紹介するのがメインの仕事ですが、住宅業者は違います。

建物に関する建築請負契約をしてナンボの世界ですから、建て替え案件は直球勝負の商談ができます。

私は建て替えを最も得意としていましたが、その理由はしっかり存在します。

一般の新築と同じように対応する営業が多いですが、その考え方では受注おぼつかないと私は断言します。

建て替え受注のポイントは至極簡単

今住んでいる住宅環境よりレベルを上げればいい

簡単に言うとこれが結論となります。

現状の家が狭くて困っていると仮定します。

30坪二階建てで、部屋数も足りなく物で溢れかえっている方が、 建て替えによって40坪に生まれ変われば、広さという面に関しては満足度は激烈に上がるということが言えます。

今住んでいる住宅環境よりレベルをあげるとは、こういうことになるでしょう。

基本を忠実に守って商談を進行すれば、必ず良い結果が待っていると信じて前に進みましょう。

具体的に細かく聞いていく

「玄関でお困りのことは何ですか?」

どんな質問であってもざっくりと大きく聞かれてしまうと、なんとも答えようがないというケースがありますよね。

次の二つのトークを比較してください。

A「今の住まいで困っていることは何ですか?」
B「今お住まいの玄関で困っていることは何ですか?」

いかがでしょうか。

A、B 共に聞いていることは同じなのですが、Bのように聞かれたほうが、的を絞っているので具体的に頭に思い浮かべやすいですし、 答えもすぐにでると思います。

会話もこんな感じで進むのではないでしょうか。

営業「今お住まいの玄関で困っていることは何ですか?」
奥様「北側に面していることもあるんだけど、もう、とにかく暗いんですよ。昼でも電気をつけないと足元がよくわからないんです」

玄関と限定しているので、お客さんもこのように具体的に返してくれます。

私が建て替え住宅案件を得意とした理由は様々あったかと思いますが、その一つがこのようなピンポイントの聞き方にあったのです。

これは玄関について聞いていますが、同じような形で寝室・子供部屋・キッチン・ ダイニングなどと分けて聞いていくと、現状の住まいに対する不満が次から次へと出てくるのです。

こんな質問も投げかけた

細かくゾーンを絞って質問したと私は書きましたが、もう一つヒアリングテクニックを駆使していました。

前述の玄関の話の続きを再現してみましょう。

営業「今お住まいの玄関で困っていることは何ですか?」

奥様「北側に面していることもあるんだけども、とにかく暗いんですよ。昼でも電気をつけないと足元がよくわからないんです」

営業「暗い玄関は確かに気が滅入りますからね。よくあるのは、靴が多すぎて玄関に置きっぱなしになってしまうというケースです。これはいかがですか?」

奥様「確かに今は飽和状態ですよ。サンダルとかそういうものは横に置きっぱなしだし、あとは私のブーツなんかの置き場がなくて雑然とした状態になってるんです」

これは私が営業時代に実際交わした会話ですが、先ほどの会話と比べると、さらに突っ込んでいることがお分かりでしょうか。

玄関で困っていることはないかという会話の後に、困っている確率が高そうな内容である「靴の収納は足りていますか?」と聞き込んでいきました。

この時奥様は見事に私の読みどおりの反応してくれたのですが、さらに私はこのようにたたみかけたのです。

営業「それと、傘置き場に困っている方もすごく多いんですよ。玄関の片隅に買ってきた傘立て置くのですが、周りがべちょべちょになったり、玄関に水があふれ出たりなんてことがあるんですよね」

奥様「それはうちの話ですよ(笑) 梅雨時なんて言うのはもうぐちゃぐちゃよね」

ここまでくれば話は盛り上がる一方です。

玄関だけで最低限こんな話ができるわけですから、同じ理屈で話を進めれば、ヒアリングするだけでとんでもない時間がかかってしまう事がおわかりでしょう。

だらだらと聞くのは良くないのですが、自分の困っていることを担当営業がズバリと言い当てたり、うまく聞き出してくれるわけですから、お客さんのフラストレーションは解消される一方です。

聞いてもらった満足感

これでしょうね。

今抱える不満な点を腹の底から洗いざらい目の前の営業にぶちまけた爽快感とでも言いましょうか。

これが満足につながるわけです。

このようなヒアリングをする営業マンに対し、いきなり「どんな間取りご要望でしょうか?」と更地から建てるケースと全く同じ聞き方をするのでは雲泥の差が生じるのは明白です。

営業は聞き上手になれと大昔から言われますが、この格言は今でも脈々と生きているということでしょう。

人間は誰しも自分が腹にためていることを洗いざらい話すと気持ちよくなるものです。

仕事だろうが私生活だろうがまったくこれは同じこと。

お客さんにこう感じてもらえるように、営業がうまく話を運べばよいのです。

とどめの質問はこれ

質問,答え,吹き出し

今の家でも満足しているところはあるはず

これがポイントになります。

家を建て替えるわけですから、基本的には不満点だらけなわけです。

しかし、いくら築50年の家であっても、何かしら気に入ってるところが少なからずあるとあたりをつけましょう。

先ほど玄関の話をしましたので、同じく玄関での会話事例をご紹介します。

営業「建て替えをご計画なわけですが、先ほどお話ですと玄関は暗いのが難点で、靴をしまう下駄箱も小さく傘を収納する傘立ても不満な点だとおっしゃっていましたよね」

奥様「そうです。とにかくもう困ったところばかりですよ」

営業「50年前ですからどうしてもそういうことになりますが、その逆に玄関で気に入っているところなどもあるのではないですか?」

奥様「気に入っているところねえ・・・」

営業「先ほどお邪魔した時にふと思ったのですが、玄関の正面だけでなく左右にも窓がある作りなので日中はかなり明るいのではと思ったんです」

奥様「あっ、そうそう、それは言えるわ。確かにこの家の玄関はものすごく明るくて、お友達が来た時にも同じようなことを言われたことがあります。自分はこの家に住んでるから気が付かないんですが、言われてみれば明るいかもしれませんね」

営業「それならば新居でもこの明るさはなんとか確保した玄関に設計できるといいですよね。そのことはちょっとメモしておきますよ・・・」

このように、古い家であっても満足している点がある可能性は充分にあります。

これも私の営業時代の実際の会話ですが、やはり具体的にいいところを上げてお客さんに質問するのがコツです。

「何かいいところありませんか?」と聞かれても、お客さんとしては答えようがないでしょう。

窓が玄関にたくさんついてるのを見た私は、それをネタに奥さんに話を振ったところ、ドンピシャだったということです。

こんなことまで私はした

最後にちょっとしたお話をしましょう。

建て替え案件の場合、私は可能な限りお客様のお宅を一階はもちろん二階の隅々までチェックしました。

チェックという言葉は妥当ではないかもしれませんね。

正しいニュアンスはこのような感じです。

「できればお客さんと一緒に部屋を色々見て回りたいんですけどもいかがです?ご自身でも改めて見ると問題点がいろいろ発見されるでしょうし、私もプロの第三者として問題点や改善すべき点をご提案できると思います」

とにかく一緒に部屋を見学するのです。

するとしないでは、その結果は大きくなるでしょう。

一緒に自宅見学をすると、ちょっとした細かい不満などがどんどんと出てきます。

不満がたくさん出るということは、それだけ提案ポイントが全く同じ数発生するということですので、プレゼンテーションの内容が他社とは全く違う異次元のレベルに達するのです。

まとめ

建て替え案件はとにかく得意でした。

得意というか、好きというか、楽しいというか、とにかく展示場で接客をしてお客さんが建て替え案件だと分かった瞬間に、心の中はわくわくしていましたね。

全体に占める物件数としては少ないですが、このように建て替え住宅の商談をする場合には、私が今ここに書いたことを念頭に置きながら話を進めてみてください。

今までとは全く違った世界が見えてくるはずです。

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