コンサル現場で見た小規模工務店の抱える問題点②・・・“工務店”の響きが誤解を与えている

つい先日、2月27日にウェブセミナーを弊社主催で開催しました。

その時のテーマは「小規模工務店をお客さんが避ける理由・・・」

こんなタイトルでしたが、今日のコラムはこの時私がお話しした内容の一部をご紹介します。

当日は多数の小規模工務店の皆さんにお集まりいただきましたが、予想外だったのが建材会社や住宅設備機器会社の方々にもご参加いただいたことでした。

これらの業種は、小規模工務店の皆さんを多数お客さんとして抱えているので、ある意味運命共同体と言えるわけです。

小規模工務店ですので、一社当たりの取引高は非常に少ないのですが、数が多いのでそうした皆さんがじり貧状態になると、会社自体が傾く危険性をはらんでいるからです。

某大手住宅会社が展示場で掲げているパネルとは?

「工務店に対して〇〇なイメージを持っていませんか?」

積水ハウスや三井ホームといった大手ハウスメーカーではありませんが、かなりの勢力を誇る住宅グループが存在します。

ここは社名を〇〇工務店というのですが、住宅展示場の中に入ると 一般のお客さんが工務店に持っているイメージを問う文章がパネルに書いてあります。

「工務店に対して・・・」のフレーズで始まるのですが、これがすべてを物語っていると言ってもいいでしょう。

彼らはよくわかっているのです。

一般のお客さんが「〇〇工務店」と耳にすると、ある種のマイナスイメージを抱くことを、しっかりマーケティングしている証左でしょう。

① デザイン性が低いと誤解してないか
② 会社に対する安全性に不安を持っている
③ 依頼したお客さんは 満足してないのではないか

このような文言が書いてあります。

小規模工務店の皆さんは、これを真正面から受け止めていただきたいと思います。

デザイン性に対する不安

あなたの会社がハウスメーカーに引けを取らないぐらい独創的なデザイン性があり、お客さんも非常に満足しているとしましょう。

しかし、それを前面にアピールしていかないと、お客さんに誤解される可能性があるのです。

特に会社名が「〇〇工務店」の場合は要注意です。

あなたの会社を深く調べない状態で「工務店じゃおしゃれな家はできそうにないわよね」などと、特に女性である奥さんに先入観を持たれる危険性があります。

SNSとホームページでの発信を

しかし、今は良い時代になりました。

20年ほど前であれば、いくらデザイン性自信がある工務店であっても、それをアピールする場合がなかったのです。

SNSは存在しませんし、ホームページもまだごく一部の工務店が持っているような状態だったので、お客さんへアプローチが届きませんでした。

ですから、ホームページはもちろんのこと、インスタグラムやその他のSNSを使って目いっぱいの発信をしてください。

そのセミナーでも話したのですが、SNSを使っていないのは致命的といっていいほどに危険だと私は思います。

もちろん、現状で全く心配ない受注をしている工務店さんはそれなりの信頼を得ているわけですから焦る必要はないと思いますが、それでもインスタグラムなどのSNS分野には、早急に進出べきだと思います。

ただ、注意して欲しいのは、インスタグラムに傾注する余りホームページをおろそかにしてしまうケースです。

インスタグラムにはオシャレな写真がたくさん載っているのに、肝心の会社ホームページを見るとがっくりしてしまうような工務店が目に付くのです。

インスタグラムは一旦始めてしまうと手軽なのでどんどん投稿できるようになり、その上そのスキルも上がってくるので、見る人に対するアピール度は上がっていきます。

ただ、インスタグラムを見たお客さんは、ホームページも最終的にはチェックしに来るので、そこで足を掬われないように注意しましょう。

会社に対する安全性に不安を持っている

これは皆さんも同感でしょう。

いくら財務体質が強固で安心できる工務店だとしても、一般のお客さんは単純に企業規模でその辺りを判断してしまいます。

実際に大手ハウスメーカーは、会社の強固な財務体質をしっかりとプレゼンテーションするほどです。

ある大手メーカーのプレゼンテーションを受けたことがあるのですが、グループ全体の説明をした後に、資本金や取引実績など様々な数値を用いて会社の基盤が強固であることをアピールしてきました。

社名は極めて有名なので、そのようなアピールをされなくても、一般消費者にとっては会社の倒産などの通常は心配しないのにも関わらずです。

小規模工務店が資本金や売上高で対抗することなど出来るはずもありません。

そこで私がお勧めなのは、アフターサービスのアピールとなります。

大手ハウスメーカーは、必ずアフターサービスの具体的点検スケジュールなどをホームページで謳っています。

翻って皆さんはどうでしょうか。

アフターサービスに微塵も触れていない工務店が圧倒的大多数だと私は見ています。

触れているとしてもごく簡単に書いてあるだけで、具体的なアフターサービススケジュールはないケースが圧倒的です。

「何かありましたらお気軽にお電話ください」

こんな感じでしょう。

大手のように一ヶ月後点検、三ヶ月後点検、六か月後点検など具体的な日にちを切ってアフターサービスをアピールするのは危険だと思います。

もちろん可能な工務店をやって欲しいのですが、本当に小規模な工務店になると、このように日程を区切ったことによって自分の動きを縛られてしまい、最悪なケースではお客さんに不信感を買ってしまうことになりかねません。

私も明快な答えを出せませんが、最低限やっていただきたいのは、アフターサービスをしっかりするとホームページで宣言するとともに、2~3行で終わらせるのではなく、アフターサービスを重要視している旨が伝わる程度の分量でホームページに掲載することです。

依頼したお客さんは満足してないのではないか

いわゆるお客様の声です。

これもあなたの工務店のホームページを再チェックしましょう。

そもそもお客様の声自体がない工務店のホームページが、半数以上を占めるのが実情です。

お客様の声の欄を設けていても、申し訳程度に掲載しているものや、 内容が極めて薄くて下手をすると架空ではないかと思われるような貧弱なものがその多くを占めています。

理想は動画だが

理想を言うと、これまで建築してもらったお客さんのインタビューを動画でしっかり押さえ、それをホームページに掲載することです。

そこまでできないのであれば、お客さんの写真を一枚掲載した上で、 コメントを文章でそれなりの分量を掲載してください。

これが最低のラインです。

お客さんご一家が笑顔で集合したリビングの写真が一枚あり、その下にお客さんを仕事したコメントがしっかり掲載されていれば架空のお客さんでないことは伝わりますし、この工務店で 家を建てて満足したことが伝わることでしょう。

ただし一件だけでは話になりません。

可能な限りたくさんのお施主さん事例を掲載するのがポイントです。

新築で引き渡したお客さんの数が少ない工務店であれば、小さなリフォームでも構わないのでお客さんの声を拾っていきましょう。

許可をとったうえで、それもホームページに一件としてカウントして掲載しているのです。

大手はこの辺りを徹底して行っています。

プロのカメラクルーを手配して、お客さんの自宅に複数で首取材に伺いインタビューを行ないます。

それを編集し、効果音をつけ、字幕を付けてホームページに掲載するわけですが、小規模工務店ではここまでする必要は全くありません。

内容が勝負です。

カメラについては、当座スマホで充分でしょう。

スマホを固定してお客さんのインタビューシーンを撮影。

あとは最低限の編集だけしてください。

インタビューをするとどうしても無駄な間が入ってしまうので、そこは編集でカットしてほしいですし、可能な限り字幕をつけると見やすい映像となります。

まとめ

先日のウェブセミナーでは、このようなことを45分にわたって写真を交えながら色々な観点でお話をいたしました。

セミナー終了後に二社の方からメールを頂いたのですが、いずれもお客様の声をホームページに掲載してないし、お客様の声を掲載しようと考えたこともなかったということでした。

ただその一方で、参加された工務店の中の一社は、私がセミナーでお話したことをほぼすべてをしっかりと実行していました。

セミナー前に各社のホームページをチェックしたのですが「この工務店は私の話を聞いても得るものはないだろう(笑)」と思ったほどです。

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積水ハウスと 零細工務店で営業を経験したのち独立した私は、以後24年間に渡って現場で営業指導を行ってきました。

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今年度はひとり親方の 大工さんから、上は年間2000棟以上こなしているパワービルダーの社員研修まで幅広く行っていますが、規模の大小に関係なく、ある事を徹底的に忠実に実行すれば 受注が伸びていくのです。

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