ほとんどの住宅展示場には和室があります。
ごくたまにはないケースもありますが、基本的にはあると思っていいのが和室です。
この和室ですが、せっかく設定されているにもかかわらず、じっくり説明するケースが極めて少ない場所と言ってよいでしょう。
理由として考えられるのは、和室に重きを置かない人の増加や、そもそも和室は要らないという若年層の増大があげられるでしょう。
しかし、住宅営業マンであるからには、最低限の和室の知識を持つのと同時に、和室にこだわりを持つ客であってもそうでなくても、一定のレベルを保った会話ができなければ問題です。
今回のコラムはそんな和室について取り上げていきます。
これまで和室に関して自信がなかったり、深い説明を避けてきた避けてきた営業マンは再度見つめなおして下さい。
まずは最低限の知識を身につけよう
和室の名称をあなたは正確に言えますか?
長押、鴨居、地袋、天袋、床柱・・・そもそもこの読み方は大丈夫ですか?
それぞれ、なげし、かもい、じぶくろ、てんぶくろ、とこばしら、と読みますが、問題はこれらが和室のどこに該当するかを当然知っておかなくてはなりません。
ネットから参考になるような図を拝借したのでここに貼っておきます。
こちらには7つの名称だけで紹介してありますが、実際にはこの3倍程度は覚えておきたい名称がありますので暗記しましょう。
この写真には床柱がありますが、簡単に床柱と一言で片づけるわけにもいきません。
床柱の材質にもいろいろとあります。
紫檀、黒檀などにはじまり吉野杉の一刀彫など様々です。
貴方の勤務する住宅展示場に和室があるならば、それぞれの名称をスラスラと空で言えるくらいにはなってください。
野郎畳、琉球畳などいろいろな種類がある
琉球畳という言葉を聞いたことはありますか?
現場に出ている住宅営業マンであれば既知の情報だと思いますが、一般的な畳とは形状が違います。
これも写真を掲載しておきます。
見ての通りですが、畳のヘリがなく正方形の畳であると理解すれば大丈夫。
おしゃれ感が受けて、畳部屋の復権をけん引しているのがこの琉球畳と言えるでしょう。
また、ここまでの施工をしなくても、床板の上に一部だけ琉球畳を置く形式もおしゃれです。
いわゆる置き畳という代物です。
和室と畳コーナーの違いははっきりさせよう
つい先日あった話です。
若手の営業マンを展示場内のカメラ越しに見ていたのですが、お客さんと営業マンとの間にこんな会話が交わされました。
お客さん「和室はいいですよね。やはりほしいですね」
これだけの内容なのですが。
住宅営業マンはここで気を付けなくてはいけないことがあります。
お客さんへの質問として「和室は欲しいですか?」という定番がありますね。
この時に注意してほしいのですが、これに対するお客さんの答えが「欲しいです」だとした場合、本来の和室なのか単なる畳コーナーなのかヒアリングしてください。
本格的和室と畳コーナーでは全くその中身が異なります。
ところが、ヒアリング不足だと、ここの部分が曖昧になってしまいます。
先の営業マンのやり取りの話ですが、ここをしっかり押さえない会話をしていたので、接客が終わった後に注意をしたのです。
和室があることによるメリットは何か?
和室が欲しいお客さんもいれば、そんなのいらないというお客さんもいます。
住宅営業マンはこの2つのパターンに対応しなくてはならないのですが、お客さんの希望状況に関わらず「和室があるといいですよ」と説明できる根拠はしっかり身につけておきましょう。
洗濯物を直置きして畳める
これは新潟県で営業活動を行うある女性営業から教えてもらったことで、聞いたときはこの私も「なるほどな」と納得しました。
リビングとつながった和室がよくありますが、その和室は庭にも面していることが多いともいます。
イメージしてください。
庭に干してある洗濯物を外して腕いっぱいに乾いた服や下着をあなたは抱えています。
それをひとまずどこに置くか?リビングの掃き出し窓を開けて“どん!”と置くのもありですが、そこに座って畳むのはどうでしょうか?
それよりも畳のある和室に洗濯物を置いた方がしっくりきますよね。
そもそも洗濯物を板の間に置くより、畳の上に置いた方が汚らしい感じもしませんし、畳む作業をするにしても板の間に座るより畳の上の方が作業をしやすいでしょう。
この一連の流れを実際の展示場でこの女性営業にしてもらったのですが、彼女の説明はものすごく自然で納得したのです。
和室の話なのでここまでにしますが、彼女はものの5分で接客した奥さんと仲良くなるという得意技を持っていて、展示場内の至る場所でこのテクニックを使うとのこと。
疲れた時に大の字になれる貴重な場所
私個人の感想ですが、畳の上にゴロンと出来るのは、代えがたい癒し効果だと信じて疑わないのですが、皆さんはどのような感想をお持ちですか?
「そうは思わない」と言われればどうしようもありませんが、展示場接客の現場でこの当たり前の話をすると、多くの人は首を縦に振ってくれるのです。
子供にとって格好の遊び場
リビングに併設した和室を設計した方で、小さな子供がいる家庭の奥さんは「うちのチビは畳の上にいつもお店を広げるんですよ~(笑)」と話す方が多いです。
子供であっても座り心地は良いし、リビングにはダイニングテーブルやら椅子やらがおいてあるので、子供にとっても何となく邪魔で多端の部屋は居心地が良いのかもしれません。
仏壇は和室が似合う
最近は洋風のおしゃれな仏壇も増えています。
色も黒や茶色一辺倒ではなく、クリーム色や真っ白なものまで多彩。
こうした事情はありますが、しっくりくるのが和室であることに異論はないでしょう。
若い人の場合は現状で仏壇を持っていないケースが多いとは思います。
しかし、いつ何時実家から仏壇を譲り受ける事態になるかはわかりません。
そう考えると、和室を作っておくか、最低限でも畳を敷いた洋風の部屋を作っておくべきだと私は考えます。
親が泊りに来るかもしれない
これはけっこうポピュラーなトークですが、親が自宅に泊まりに来たことを想定する考え方です。
いつくるかもわからない親の為に、洋室を作ってベッドを設置するわけにはいきませんよね。
和室であれば、通常は和室として使い布団などは押入れにしまっておけばよいのです。
また、万が一家族が寝たきりになってしまうような事態になったりしても、リビングに併設した和室があれば家族とのだんらんに参加することもできます。
とにかく和室は何かと使い勝手のいい部屋。
もし絶対に必要ないと判断すれば、10年後にリフォームをして洋室に変えてしまえばいいだけの話。
くどいようですが、私としては展示場に来場したお客さんに対して和室をもっと勧めてほしいのです。
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