住宅営業マンの物件紹介テクニック「物件をたくさん紹介するのはNG」

不動産業界では様々な業務をこなしていかなくてはならないのですが、もっとも重要かつ主要なポジションを占めるのがお客様への物件紹介です。

「〇〇地区で2500万円くらいの建売を探してほしい」という要望を受けると探し始めるのですが、これにはレインズという業界独自のシステムを使います。

ここでは、このレインズとは何か?に始まり、物件紹介のコツやノウハウを細かく説明していきます。

レインズから情報を取得

レインズとは「Real Estate Information Network System」の略称であって、不動産情報が蓄積し会員が自由に検索をできるシステムです。

宅地建物取引業法の改正が1988年にあったのですが、このとき国土交通大臣から指定を受けた東日本、中部圏、近畿圏、西日本の4つの「指定流通機構」によってスタートしました。

①物件の検索

一般の人はアクセスできないので、あなたが勤務する不動産会社のパソコン端末から検索をします。

お客様から得た希望情報を入力すると、それに見合った情報が出てきます。

100%合致したものはなかなかないので、なるべくそれに近いものをピックアップしましょう。

②物件確認

次に重要なのは物件確認。データベースではお客様の要望に合致した案件だとしても、実際に現地へ行ってみないと私なら怖くてお勧めできません。

とくに周辺の状況は現場で確認しないと、把握するのはほぼ不可能ではないかと私は思います。

私の経験ですが、物件の近くに養豚場があってその匂いがそこはかとなく・・・ということがありましたが、事前にこのことをお客様に伝えました。

結果的にその土地はダメになりましたが、信頼を得て他の紹介物件でしっかり決めてもらった経験があります。

③紹介

物件が決まったらご紹介です。

場所が遠方であるとかその他どうしようもならない場合は仕方がありせんが、通常の場合はあなたがしっかりと現場で立ち会うなりして下さい。

その際にいろいろと質問が出るかもしれませんが、事前の物件確認が済んでいれば安心して答えられます。

物件紹介時の心得(1)

①紹介する物件数は多すぎないこと

お客様に喜んでもらおうと物件を7件も8件も紹介するのは控えましょう。

その気持ちというか心意気は理解できますが、これではお客様は混乱してしまい、正常な判断をすることができなくなると思って間違いありません。

②優先順位を決める

「小学校まで徒歩3分だけど大型スーパーまでは徒歩15分」
「小学校まで徒歩15分だけど大型スーパーまでは徒歩3分」

このような2つの建売物件があった場合、どちらを優先させるかということを事前に確認しましょう。

このほかにも、間取り関連でいえば対面キッチン、リビングは25畳以上、5LDK、リビング内階段など様々な要望がお客様にはありますが、優先順位を聞かずに物件を探すと絞り込むことができなくなってしまいます。

③対立軸を提示する

「物件Aは車を3台置けるが前面道路が4mです。しかし、物件Bは前面道路が6mあって広いです。ただし、車は2台しか置けませんが」

このように複数の物件を提示する場合は、それぞれの特徴をわかりやすく提示しましょう。

④メリット・デメリットを説明

予算が青天井であっても100%の物件はほぼありません。

ましてや、予算の上限がある場合、要望を100%満たすような物件を探し出すのは不可能と考えるべきでしょう。

だからこそ、お客様に対しては物件のメリットの説明は当然としても、デメリットの説明も臆することなくしてほしいのです。

予算が決まっているのですから、デメリットを我慢してもらう部分が出てくるのは当然でしょう。

⑤専門用語の乱発を避けわかりやすく説明する

「この建物は木軸(もくじく)ですね」

これでは意味が分かりません。建物を紹介するときには、その建物の工法をお客様に説明する必要がありますが、この例のように木軸と略してはわかるわけがありません。

「この建物は木造軸組み工法と言って、いわゆる一般的な木造住宅とお考えください。日本において木造住宅を建てるときの基本的な工法になります」

このように説明すればわかるはずです。

不動産業界に身を置くとついつい専門用語が出てしまうのですが、それは社内だけにしておきましょう。

販売図面(マイソク)とは

マイソクという言葉は完全な業界用語ですね。

もともとは物件検索システムを作った会社の名前に由来するようなのですが、今では物件情報そのものをマイソクと呼ぶようになりました。

①敷地図や間取り図など

建売住宅などの場合は、間取りはもちろんですが敷地の形状などの情報が掲載されています。

ただ、間取りに関してはイラスト的に簡略化されたものもあるので、図面だけで広さを判断するのは危険です。

また、場所もとても重要な情報です。

一般的にはゼンリンなどの地図を貼って場所を掲示しています。

②物件概要

販売価格、土地の広さ、住所、権利関係、交通などの基本情報に加えて、都市計画法や建築基準法などによる利用制限に関しても記載があります。

分譲地内などの物件では、その分譲地で決められた覚書のようなものも存在するケースがあります。

たとえば、1m以上の塀を作ってはならない、というような取り決めです。

③宅建業者の表示

販売図面の一番下には当該の物件を提供した宅建業者の会社名などが印刷されています。

ここには社名はもちろんですが、住所や電話番号、免許番号や取引形態(売主、代理、媒介)なども記載されているのでしっかり確認しましょう。

この販売図面をお客様に渡すときは少し注意が必要です。

社名などが書かれている一番下の部分を帯というのですが、渡すときには帯部分をマスキングしてコピーをして下さい。

物件情報がフルオープンなものであれば、社名を出そうが全く問題はないのですが、あくまでも宅建業者の間で情報共有をするために作成されたものなので、不動産の表示に関する宅建規約等で使用が禁止されているような文言が入っているケースもあるからです。

物件紹介時の心得(2)

お客様の心情としては【なるべくたくさん】の物件を紹介してもらい、そこから選びたいという気持ちが強く働きます。

しかし、実際にはあまりにたくさんの選択肢があると、正常な判断ができなくなり、結果として誤った選択をする可能性が非常に大きくなるのです。

こう考えると、適正な紹介物件数は3件が上限だろうと私は考えます。

2件でも十分だと感じるのですが、3件でもそれらを冷静に比較分析しようとするには随分と根を詰めなくてはいけないでしょう。

仮に3つの物件を紹介したとします。

もちろんお客様に選択権があるのですが、プロであるあなたはお客様の要望を念頭に置きながら、第3者として客観的なアドバイスをするべきです。

お客様が物件を選択する際には、その選択が正しいと自分自身を納得させる理由を探します。

つまり「この物件は私と家族にとって〇〇という点で理想にピッタリだよな!」と自分自身を説得する材料を探しているのです。

これは購入にあたっての【都合のいい理由を探す】とも言い換えられますが、あなたはこの都合のいい理由を探してフォローする役目を負っているのです。

この都合いい理由なくして物件を決めると、お客様としては内心は少し納得できず、契約したとしても満足度は下がると言えるでしょう。

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