住宅展示場に来場した新規客を接客し始めること5分。
たった5分なのに「これは当たりかも!」と小躍りする経験は、住宅営業マンであれば必ずあるでしょう。
もちろん私も同じです。
5分はさすがに早すぎるにしても、30分ほど話をして内容が煮詰まってくれば「予算を聞いてプランニングをして・・・!」と考えます。
ところがこの肝心な資金計画において要となる自己資金をはじめとする懐具合をうまく聞き出せない、という話をよく耳にします。
デリケートな話ではありますが、家を買うには資金は最も重要なものですし正々堂々と聞けばいいのです。
ところが、なぜかもじもじとしたり、遠回しに聞いていく営業マンが多いのが気になっています。
アンケート欄に自己資金と年収を聞く欄がない
私にとっては意外な話だったのですが、全国のいろいろな住宅会社に行って展示場の来場者アンケート用紙を拝見すると、年収と自己資金を書いてもらう欄がないことが多いのです。
これは私にとって驚き以外のものではありません。
「ご年収は?」
と接客中にヒアリングすればいいわけですが、そんなことに注意を払うより、アンケートに記入してもらった方がはるかに楽であることは説明するまでもないでしょう。
こんな質問や疑問があると思いますが、結論から言うと大丈夫。
ただし、10人が10人とも書くことはありません。私のコンサル経験から言うと、10人来場したら2~3人は書いてくれます。
半分の5人を超えることはないですが、誰も書かないということはないといえますね。
ですから、お客さんの懐具合を探る第一歩は、来場者アンケートに自己資金と年収を記入する欄を設けること。
実はこれが基本的なポイントであると覚えておきましょう。
自己資金や年収の欄を設けていないアンケートを使っている住宅会社は、かなり大きな会社でも見受けられる七不思議のひとつです。
事前審査をすでにしたかどうかの確認をする
住宅営業マンとしてこの質問は必須。
他社かもしくは自力でもいいのですが、事前審査をしたかどうかの確認をしましょう。
事前審査をしていれば、比較的ハードルは低いといっていいでしょう。
とくに他社メーカーを通じてやったのであれば、話は早く比較的突っ込んできていけば問題はないと思います。
「600万円の年収で自己資金が300万円であれば問題ないと思いますけどね」
これは基準を示すやり方です。
たとえば3500万円の建売住宅あったとしましょう。
お客さんはとくに知識がないので、自分に購入できるのかどうかということに加えて、その計画に無理がないかどうかを知りたいのです。
主人「あっ、そうなんだ・・・まぁ、そんなとこかな」
営業「いかがですかこの数字だとほぼ安心なのですが」
主人「そうね・・・あの・・・例えばだけど自己資金を100万円くらいにすることも可能なのかな?」
営業「借り入れが200万円増えますがご年収が600万円程度あれば大きな問題はないですね」
主人「なるほどね。それならいけるわけだ・・・」
営業「ちなみにご年収は600くらいですか?」
こんな感じでしょうか。
この最後の質問に対する答えは次のように予想されます。
②「600はちょっと届かないかな」
③「いや、年収はもっとあるので」
大方このような返事が予想されます。
①、②,③のいずれかの回答があれば、年収ゾーンはだいたい見当がつきます。
あとは自己資金でしょうね。
できれば100万円前後かもしくはフルローンで考えているならば、自己資金300万円の事例を出されれば「それはちょっと無理だよな~」となるのです。
20枚程度の資金計画パターンを用意して選んでもらう
これは私が積水ハウスの現役時代に行っていたテクニックです。
準備は大変ですが、一度作ってしまえばあとの運用は楽になるのでぜひ真似をしてみてください。
まずは仮の物件を設定します。
なんでもいいのですが、比較的平均値的な物件がよいのでそれを使用します。
東京と島根県を一緒にはできませんが3500万円の建売住宅を購入すると仮定して、資金計画書を20パターンほど作成してください。
②年収400万円 自己資金200万円
③年収550万円 自己資金150万円
④年収660万円 自己資金100万円
⑤・・・・・・
こんな感じで様々な組み合わせを想定して20パターン程度、もしできるのであれば50パターン程度あると理想です。
とにかく具体的な数字を埋めた資金計画表を作成してください。
「どれが近いですかね?」
ここまでおぜん立てすればあとは簡単。
これら20枚の資金計画表を目の前で見せてください。
これでいいのです。
私はこの手法を取っていましたが、これを拒否した方はたったの一人。
ほかの方はすべて選んでくれました。
「その手には乗らねえよ(笑)」
そのたった一人の方はこういいました(笑)その時は私も苦笑いでしたが、なかなか感性の鋭い人でしたね。
ところが後日談があります。「その手には乗らねえよ」の方と契約となったのです。
アンケートに住所を書いてくれなかったので、営業としてはまったく追客ができない状態。
しかも、その手には乗らねえよとかまされてしまったら追客する気も失せます。
しかし、初回面談から2か月後に電話があり「もう一度話をしたい」となってあとはスイスイ。
何が気に入られたかはわかりませんが、とにかくこういうめでたい結末となったのです。
様々な仕事の年収情報をストックしておくと便利
あなたが青森県内で住宅営業をしているとしましょう。
同じ展示場にはあなた以外に4名の営業マンがいます。
そして、年間の受注数はお店全体で40棟。
40棟の契約数ですから、競合負けした案件も入れれば3倍程度のお客さんと具体的な折衝をしたと考えられます。
そうなると年間におおよそ120人分の職種と年収情報を得たことになりますよね。
この情報を会社の財産として保管するのです。
もうお分かりだと思います。
たとえばA社勤務の40歳のお客さんと契約したとしましょう。
年収は600万円でした。
もし、同じ会社の方が来れば年齢からだいたいの年収を推測できます。
ただ同じ会社というのはなかなかないこと。
そうなれば同業種ならどうでしょうか?
会社規模もほぼ同じであれば同程度の年収ではないかとの仮説を立てられます。
10~20の事例では弱いですが、これが100、200、300人となればかなりの有力材料となります。
また、社内融資の有無や福利厚生の情報も得られます。
これをパソコン管理しておけば、営業マンが必要な時に必要な情報を取り出すことができるのです。
本記事執筆講師が動画にてわかりやすく解説
工務店営業社員の育て方 「24年にわたって現場で営業育成をしてきたノウハウの一部をご紹介」
積水ハウスと 零細工務店で営業を経験したのち独立した私は、以後24年間に渡って現場で営業指導を行ってきました。
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