ロールプレイングなる言葉があります。
実戦を想定して営業役と客役を設定。
様々な折衝場面を設定して実際の営業現場を再現して訓練していきます。
私の仕事は営業コンサルですから、このロープレをする機会が年間に何回もあります。
ただ、1時間程度のロープレなら緊張感を保てますが、場合によっては1日中実施するロープレもあり仕込みが大変。
この場合ですが、よほど上司の側が入念な準備をしないとじつに白けたというか、間の抜けた時間を費やすことになっていますので要注意。
今回のコラムはこのロープレの実施テクニックについて書いていきたいと思います。
新卒者向けのロープレは少し工夫をしてほしい
まずは基本的なことを実際に口に出させてみる
毎年4月、5月は新卒者の研修を複数社から依頼されます。
今年も3社から依頼があり、一般的なレクチャーはもちろんのことロープレもしっかり行いました。
このような新卒向けロープレでは、基本的なことを徹敵的にやらせることからスタートします。
【A社でやったこと】
営業「えーっと・・・50か所くらいは・・・」
まずは自分の会社を知っているかを確認するロープレ。
社長の名前でも資本金でもいいです。
あるとあらゆる情報をロープレの形式で聞いていくのです。
新卒がここまでの知識がないのは仕方がないのですが、知らないという事実が分かればロープレの目的は達成です。
実施した甲斐があったと考えましょう。
このような自社に関することをしっかりチェックしてください。
そのうえで答えられなかったことを覚えさせるのです。
この確認は極めて重要。
たとえミサワホームや三井ホームであっても同じこと。
三井ホームという社名はお客さんも知っているわけですが、展示場が何か所あるかなど会社の中身までは知る由もありません。
ましてや社員が知らないのはナンセンスということ。
【B社でやったこと】
営業「はい! このくらいあるととても気持ちがいいですよ」
客約「でも、こんなには必要ないな、もったいない気もする」
営業「そうですね・・・」
これはお客さんの否定に対してどう対抗するかのロープレです。
2年生にもなればどうとでも反論しますが、新卒時では相当難解で頭を抱えるはずです。
このような形で、いったん褒めて営業が同調した瞬間に否定するネタをたくさん準備してください。
いわゆる応酬話法と言いますか、そのような反論トークを習熟させるのです。
【C社でやったこと】
客役「クラシックが大好き!特にブラームスは最高だよ!」
営業「クラシック・・・ブラームス・・・ですか」
営業側から質問させるのですが、客役は様々な趣味を繰り出して営業に話を振っていきます。
その趣味内容に合わせて営業は話をつないでいくわけですが、最終的には家の話にもっていくのです。
営業「ご主人の趣味は何ですか?」
客役「私は大のゴルフ好きでしてね」
営業「ゴルフバッグなんかも複数お持ちでは?」
客役「3つも持っているんだよ」
営業「3つもあると置き場所に困りますよね」
話を猛烈に短縮していますが、こんな感じで収納にもっていければ合格ということ。
新卒者ロープレで大事なこと
とにかく基本的なことも含めて口に出させて話をさせる。
これを愚直なまでに繰り返してほしいのです。
知識は別の研修で教えるわけですが、座学で覚えた知識を実際の会話にしてみるのです。
そうすると、これがいかに難しいかがよくわかるのです。
展示場接客ロープレ
ここで書くまでもありませんが、展示場を実際に使ってのロープレは最も重要と言えます。
お客さんの設定はもちろんですが、どの部屋を使うのかなどもしっかりと準備をしましょう。
準備で必要なのはアンケート。
展示場に入店する際に書いてもらう顧客アンケートですが、ここに架空の設定でいろいろな情報を書いてください。
自己資金0円もあれば500万円もあり。
平屋希望があれば3世帯同居も面白いですね。
とにかく様々な設定のお客さん情報をアンケートに記入し、どんどんロープレを行います。
こうしてどんなパターンでも対応できるような力をつけさせるのです。
参加人数が多い場合の展示場ロープレ
4月にある大きな有力住宅会社の新卒研修を行いました。
50人以上の新卒者を相手の研修なので、展示場を使ってのロープレは不可能です。
こんな時はどうするのか?
展示場内をあらかじめ撮影しておき、それを研修室で流せばOK。
所々で映像を止めて、営業と客役がロープレをすればよいのです。
土地ロープレ
分譲地を所有する会社は必須の研修。
当該の分譲地へ全員集まってロープレ。
建物がないただの更地です。
でも、その場所がいかに良い場所で、素晴らしい暮らしが待っているかを具体的に話すのです。
こんな感じで土地を勧めるロープレも私は絶対に必須だと考えていますので、分譲会社などでは必ず実施するコンサルメニューですね。
店長ロープレ
最後は少し変わった観点のロープレをご紹介しましょう。
展示場を構えている会社も多いと思いますが、その展示場のトップである店長がいるはずです。
社長の方針もありますが、通常はこの店長が新人を含めて若手営業のヒアリングをする責務を負っています。
部下が接客したお客さんを店長は直接知らない
この見出しの真意をわかってもらえますか?
新人であるG君が展示場であるお客さんを接客したと仮定しましょうか。
新人君なので上司がアドバイスをするなどしてフォローしなくては、商談は進むべくもありません。
しかし、店長はそのお客さんとの折衝を見ても聞いていません。
ですから、実際に接客をしたG君から聞き取るしかないのです。
いわゆる又聞き。
伝言ゲームと言ってもいいでしょう。
まずは実際に客役と営業マンで接客をさせてから店長がヒアリング
最初に実行するのはこれ。
客役と営業マン役に分かれて30分程度の接客を実際にさせます。
そして、その直後に店長がこの営業からヒアリングをするのです。
店長はこの接客の様子を見ていません。
つまりこうなるのです。
営業「はい」
店長「土地を持っていると書いてあるけど場所はどこなの?」
営業「〇〇町と言うところまでは聞いたのですが・・・」
こんな感じでお客さんの情報をヒアリングしていくのです。
接客の様子はビデオで押さえてあるので、それを見ながらどの程度正確にヒアリングができたかをみるのです。
営業の報告ロープレにもなる
説明はいらないと思いますが、こんな効用もあるわけです。
部下からのヒアリング能力を確認するロープレでありながら、その部下が上司に報告するロープレにもなります。
この一石二鳥のロープレを店長ロープレとして私はコンサル先で行っています。
本記事執筆講師が動画にてわかりやすく解説
工務店営業社員の育て方 「24年にわたって現場で営業育成をしてきたノウハウの一部をご紹介」
積水ハウスと 零細工務店で営業を経験したのち独立した私は、以後24年間に渡って現場で営業指導を行ってきました。
コンサルティング現場ではさまざまなことを行ないますが、今回の50分のビデオではコンサル現場で実際に行っていることも交えながら、3点にポイントをまとめて解説しています。机上の空論ではなく、すべてが 現場で実践してきた内容ですので、是非とも最後までご視聴ください。
今年度はひとり親方の 大工さんから、上は年間2000棟以上こなしているパワービルダーの社員研修まで幅広く行っていますが、規模の大小に関係なく、ある事を徹底的に忠実に実行すれば 受注が伸びていくのです。