建売は簡単と言えば簡単に販売できます。
場所も決まっているし、建物もすでに建っているわけですから、そのあたりで妙な交渉の余地はありません。
しかし、いくら条件が良い物件であっても、決めるときにはそれなりの理由があるわけですし、ましてや条件の厳しい場所であれば、売れるには理由がしっかりと存在します。
今回のコラムは2021年6月にある県で実際に売れた建売案件(売り建てもありました)のお話を題材として取り上げていきます。
条件が若干厳しかった〇〇分譲地
全部で8区画
8区画の分譲地ですべて60坪程度を確保していましたので、広さはとくに問題ありません。
南隣には100坪程度の公園があり、昔ながらの滑り台にちょっとした遊具が少々。
各区画の形も悪くなく、もちろん擁壁もばっちりです。
小学校のネット評判が悪かった
定番のテーマですね。
小学校や中学校が荒れていると、それを理由に敬遠するのはよく理解できます。
ただ、この時は“荒れている小学校”との評判が実態と異なっていたのです。
異なっているといいますか、嘘のうわさ話がネット上に広まってしまい、それを払しょくするのに苦労したという状況でした。
実際には何の問題もないどころか、校長先生をはじめ教育にも熱心な学校というのが実態(その昔は本当に悪かったというケース)
でも、噂というのは恐ろしく、分譲地を見学するお客さんのほとんどがこの噂を知っているほどだったのです。
校長に取材を敢行
苦労しましたがここまでやりました。
学校の校長先生に掛け合って10分程度の短い取材に応じてもらいました。
もちろんビデオを回したのですが、その時の条件は次の3つ。
②映像を校長に渡して他業者でも希望があれば使用してもらう
③ホームページには掲載せずその都度お客さんに見せる
取材でお話ししていただいた内容を簡単にお話しすると、ネット上に出回っている噂はすべて悪質なもので嘘であること。
これを、しっかりと語ってもらいました。
それともう一つは、校長自ら音頭をとって勉学、友人、情操、健康などといった大事な項目ついて積極的に取り組んでいること。
これらについてビデオで語ってもらいましたが、校長先生の個性なのでしょうが実に熱く話してもらいました。
このビデオをお客さんに見せると・・・
もちろん大好評でした。
ビデオの内容は当然ですが、校長のところまで行って取材をしたことに驚いていました。
そして、学校長自身が小学校のことを語っているわけですから、みんな惹きつけられるように話を聞いていたのも印象的でしたね。
〇〇分譲地から小学校までは1500mほどあったのですが、普通であればひっかかる距離問題は極小化されたのです。
と私の目の前で購入意思を示したケースもあったほどです。
「隣の公園に若者がたむろしないか?」
この問題を投げかけたお客さんが数人いました。
その中の一人が購入してくれたのですが、あることをしたら納得してくれて契約にむずびついたのです。
営業「実は警察に行ってそのあたりをしっかり聞いてきました」
その公園に関する苦情の具体的な数字とかは教えてくれなかったのですが、大きな問題なるような事案が発生していなかったことは事実だったので、それをお話ししたのです。
それに加えて、ネットには載っていないちょっとした情報も入手してお客さんに見せたのでした。
“ちょっとした情報”とはその地域の空き巣や痴漢といった刑法犯の発生状況の数字です。
警察に行ったら「公に教えるわけにはいかないので今から独り言を話しますから。いいですか、それをあなたが勝手に聞いてしまったんですからね」という嘘のようなホントの話があったそうです。
「警察に聞いてきた」だけでは眉唾ものだと思われそうですが、この話ががぜん信ぴょう性の裏打ちしたのです。
隣家が接近している
仕方がない話であるのですが、一部の区画は隣家が接近していて視線の問題と日照の問題が懸念されました。
もちろんお客さんもそこに気づいて営業マンに指摘するわけです。
まず視線問題ですが、これについては解消できずに「気になるといえば気になりますかね・・・」で話は終わり。
ただ、日照に関しては、日影図を設計に書いてもらい提示したことに加えて、晴天を選んで陽の入り方がわかるようにビデオを12時間にわたって固定で撮影しました。
それを早回しにしたものを編集し作成。
そしてお客さんに見せたのです。
これは一目瞭然で、嘘偽りもありません。
お客さんは入たく納得した様子を示したようで、視線問題は大きな障害にならずに契約となりました。
「娘がいるので通学路が心配です」
当たり前です。
親にとっては小学校の通学路の問題は重要。
とくに女の子がいる家庭は、交通問題だけではなく防犯問題も考えなくてはなりません。
ところが、〇〇分譲地は小学校までの距離は1500mとあったものの、通学路は比較的良好な状況で街灯もしっかりついていたのです。
ですから、昼間ではありましたが、通学路をしっかり撮影してお客さんに提示をしたのです。
小学生の女の子を持つお客さんがいたのですが、この方は通学路ビデオに納得したという話を営業マンから聞きました。
まとめ
今回の分譲地完売報告はいかがでしたか?
100%完璧な分譲地はもちろんですが、そんな流通の土地もあるわけがありません。
ところがお客さんとしては一生に一度の家ですから、簡単に妥協できないのも当然です。
だから営業マンがいるのです。
100%の土地がないことをしっかり話をして納得してもらうのが営業マンの仕事。
しかし、それを口頭でペラペラと話すだけではだめ。
コラム内で書いたように、それなりの動きを惜しまずに実行するのです。
そうすれば結果は必ずついてきます。
手抜きをせずに汗をかきましょう。
本記事執筆講師が動画にてわかりやすく解説
工務店営業社員の育て方 「24年にわたって現場で営業育成をしてきたノウハウの一部をご紹介」
積水ハウスと 零細工務店で営業を経験したのち独立した私は、以後24年間に渡って現場で営業指導を行ってきました。
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