積水ハウスやダイワハウスなどの全国区ハウスメーカーは、全国各地に大型のショウルームを持っています。
また、地域の有力パワービルダーの中にも、非常に立派な施設を持つ会社が全国各地にあります。
こんな住宅会社に籍を置く住宅営業マンはたくさんいるわけですが、その中にはこうしたショウルームをうまく活用して受注につなげる営業マンが少なからずいます。
関東地方にあるパワービルダーも本社がある県内に大型施設を所有していますが、この会社で売っている営業マンはすべてこの施設を徹底的に活用しているのです。
「ショウルームへお客さんを誘致せよ!」
どの会社も同じです。
既述した住宅会社も同じ。
大型施設があるのですが、営業部長はさかんに「とにかくここへ連れ出しを図るように。それが契約率のアップに大きくつながるのだ!」とはっぱをかけ続けています。
実際の数字を見てもその効果は歴然としています。
施設に連れ出して案内したお客さんの契約率は、そうでない案件の契約率と比較すると突出して高いものがあります。
当たり前と言えば当たり前ですがね。
わざわざ時間を取ってショウルームまで足を運んでくれるわけですから、その時点で勝算がそれなりに高いと言えるからです。
しかし、そのような事情は一切考えずに、営業マンであればショ―ルームに連れ出すことを必死で考えてください。
連れ出し数が増えれば契約数もそれに準じて上がってきます。
関東地方の営業マンであるA君はこうして連れ出す
毎月の連れ出し件数は7件
すごいと思いませんか?
コロナでこの数字は若干落ちてはいるものの、コロナ前の平均連れ出し件数です。
毎月7件のお客さんとアポを取ってショールームに連れ出しているA君ですが、平均契約数は毎月2棟プラスα。
このすべてをショールームに連れて入れていくわけですから、その成約率は30%程度になります。
他の営業マンの成約率が70%程度なので、成約率そのものはダントツで低いものがあります。
ただ、A君は分母の数を他営業マンより圧倒的に多く保っているのが特徴。
歩留まりは関係ありません。
分子の絶対数が大きければそれで大成功なのです。
営業所から2時間の場所にショールームは存在
そんなA君ですが驚くべきはこれ。
勤務する展示場からこの会社のショールームまでが車で2時間かかることにあります。
片道時間ですから、往復で4時間の道のり。
営業マンにとっては問題ありませんが、お客さんは1日がかりで行くわけですから、普通ではそうそう簡単に同意を取れるとは思えないのです。
しかも、途中で渋滞などの交通障害があると大変。
A君から直接聞いたのですが「最悪の時は片道4時間かかりましたよ」というほど。
積水ハウスなどの大手メーカーもショールームは各地に所有していますが、営業所の場所によっては同じようにとんでもない時間がかかるので、ショールーム案内を全く念頭に置いていない営業マンが多いのも事実です。
A君はどうしてこんなにアポを取れるのか
結論になってしまいますが、A君の驚くべき連れ出し数の秘密を直接聞いてみました。
①ショールームに行くことによるお客さんのメリットを伝える
これは営業の基本といえること。
何らかのアクションを勧める時、その行動がお客さんにとってどんな利益となるのか?を明快に伝えることです。
20,000円のボールペンをあなたが売るときも同じ。
一般的にはきわめて高価なボールペンなので、自分のために買うにしては高すぎます。
でも、ここで20000円を支払う価値があることをしっかり伝えるのです。
満足感、見栄、気分がいいといったものもあるでしょうし、年収が他人より数倍ある人にとっては相対的に安いものになります。
とにかくその人にとってこの高価なボールペンを購入することに、明確な蹴りっとがあるかどうかを教えてあげるのです。
住宅に話を戻しましょう。
自宅から2時間も離れた場所で開催される現場見学会があったとします。
普通であれば「それは遠いな~」となって当たり前の距離。
しかし、家を求めているそのお客さんにとって、その現場が唯一無比の者であればどうでしょうか。
室内のフロアーを総大理石張りにして、お風呂は純金製がいいという希望があるお客さんがいたとしましょう。
そこへ偶然にも同じような家の現場見学会があったとします。
この場合このお客さんにとって現場見学会に足を運ぶ価値は多大であると言えますね。
営業マンであれば「あなたの希望にピッタリ。お風呂が黄金に輝き床という床はすべて大理石仕様となっております」と誘えばいいのです。
A君はこれを徹底的に実行しているとのこと。
A君が勤務する柳拓会社が保有するショールームはかなりの大箱。
中には地震を体験できる部屋まで備わっています。
ですから、地震を心配する人であれば、これを徹底的に伝えるわけです。
「お子さんには地震が怖いものだということを教育する絶好の機会です」と熱弁するわけですね。
②ショールームの内容を完全に記憶する
A君に言わせるとこれが難しくて、他の営業マンがなかなか真似できないという話。
たしかに完璧に内容を把握するのは難しいと私も思います。
すべての展示物の内容はもちろんですが、手を当てて温かさの違いを体感するサッシの実物大実験では、そのデータなども完全に覚えているとのこと。
併設して建っている住宅展示場の間取りを完全に把握し、お客さんを誘う時には
こんな感じで誘っていくそうです。
実際に誘い出すトークを現場で聞いたわけではありませんが、直属の店長に聞くと「Aはとにかくショールームのことを熟知してますし、お客さんが思わず足を運びたくなるようなトークをガンガン展開して言うから感心しますよ」とべた褒め。
③ショールーム周辺のレジャー施設も完全に押さえる
この会社のショールーム周辺(周辺といってもかなり広範囲ですが)にはレジャー施設も多く、基本的には家族でこのショールームを見学したついでに遊びに行けるコースも提案するとのこと。
実際に見せてもらったのは、そんな遊びのコースをまとめたもの。
タブレットに収めてあったそのコースは全部で6コース。
学習系や自然系などその目的もいろいろ。
2時間の距離を使って1日つぶすのだから、レジャーがてらでどうですか?ということ。
本記事執筆講師が動画にてわかりやすく解説
工務店営業社員の育て方 「24年にわたって現場で営業育成をしてきたノウハウの一部をご紹介」
積水ハウスと 零細工務店で営業を経験したのち独立した私は、以後24年間に渡って現場で営業指導を行ってきました。
コンサルティング現場ではさまざまなことを行ないますが、今回の50分のビデオではコンサル現場で実際に行っていることも交えながら、3点にポイントをまとめて解説しています。机上の空論ではなく、すべてが 現場で実践してきた内容ですので、是非とも最後までご視聴ください。
今年度はひとり親方の 大工さんから、上は年間2000棟以上こなしているパワービルダーの社員研修まで幅広く行っていますが、規模の大小に関係なく、ある事を徹底的に忠実に実行すれば 受注が伸びていくのです。