商談前に想定問答集作成とシミュレーション(1人芝居)をしっかりしていますか?

この写真は私が出版した単行本です。

その中のあるページを撮影して掲載しています。

「イメージトレーニングをさせる」と見出しに書いてありますが、これを言い換えると「シミュレーションをさせる」となります。

幹部向けの単行本ですので「させる」との表現になっています。

住宅会社の社長や幹部の方には部下に実行させてほしいですし、現場の営業マンの方には自ら率先して実行してほしい内容です。

幹部社員にとってはこれを毎回実行する癖をつけるのが役目。

成績はたったこれだけのことで大きく変わってくるのです。

現役時代にしでかした私の大失敗

営業時代の失敗は今でもしっかり覚えています。

上司に叱責を受けたことはもちろんのこと、客前での大失敗や赤面ものの大ピンチなどいろいろありましたが、シミュレーションをしっかりしていなかったことによる大失敗の経験をお話ししましょう。

新卒1年目の6月にあった出来事

はっきり覚えています。

入社後すぐの6月のこと。

この時期は会社の規定で1人での折衝は禁止。

必ず上司を伴っていく事が絶対という決まりでした。

私が展示場で接客をしてうまくアポを取ったHさん。

翌々日に敷地調査をし、その結果を携えてHさんの自宅へ店長と同行しました。

「いろいろと準備をしておけよ。忘れ物厳禁だからな」

こう店長に指示されて、三角スケール、方眼紙、仕様書、見積もり・・・とカバンにこれでもかと詰め込んで出発しました。

新人でしたから社用車もなく店長運転でHさん宅へ。

話の序盤戦はごくごく一般的に進んでいったのですが、話が地盤調査の話になったときにおかしな方向へ転がり始めたのです。

「近所の人で地盤補強なんてした人いないわよ」

事前に行った地盤調査。

おなじみのスウェーデン式貫入法によってデータが出してありました。

その結果ですが、簡単な基礎補強をしたほうがいいとの数字が出ていたのです。

店長からその旨の説明がありHさんとこんなやり取りになりました。

店長「地盤調査をしたのですがこの辺りは少し地盤に問題があるとの数字が出ました」
奥様「そうなの? まぁ、川が近いし、そもそも地名に〇〇川と入っているからね。で、いくら追加になるの?」
店長「その金額ですが、おおよそ〇〇万円くらいはみてほしいのですよね・・・」
奥様「〇〇万円! それはちょっと高すぎない?」
店長「いえ・・・この金額はどうしてもかかってしまうものでして」
奥様「この近所で家を建てた人いるけど、そんな地盤補強をやった人はいないわよ。地盤が少し良くないことは知っているけど」
店長「そうですね・・・(とここで私を見て発言を促す)」

ここまで店長が話してくれたのですが、店長は答えに詰まるや何と新人の私に話をぶん投げたのです。

「えっとですね・・・う~ん」

当たり前です。

答えられるわけありません。

でも、振られた以上なんか話そうと必死になって考えたのですが、出てくる言葉は「そうですね・・・地盤がやはり弱いとうまくないですから」という苦し紛れのものばかり。

もちろん、正確な地盤調査を行い、そのうえで出たこれまた正しい数字です。

金額も極めて妥当なものだったのですが、お客さんにとっては何とも不審に感じたのでしょう。

しばらくやり取りは続いたのですが、最後はしどろもどろで次回のアポイントも取れずじまい。

結果的にHさんとの商談はこれが最後でそれっきりとなってしまったのです。

帰りの車の中で店長は「お前が悪い」

納得できなかったですよ(笑)

でも、店長が言うには、どんな質問にも対応できるようにシミュレーションして準備をしておけということだったのです。

「地盤補強に納得しなかった場合を想定せよ」

つまりはこういうこと。

地盤調査の結果、補強が必要だとなったのですが、それにかかる経費をお客さんがすぐに了承するとは限りません。

それを想定しろということです。

「地盤補強が必要で〇〇万円かかります」との発言に対してこんな回答が考えられます。

①「そうですか仕方がないですね」
②「少し高いですね、値引きできませんか?」
③「このデータは信頼できるのですか?」
④「うちの周辺で地盤補強をやった人など知りません」

4つ挙げましたが、こんな感じで反論事例を考えておけということです。

この時の経験が後々大いに役立つことに

店長のぶん投げには大いに狼狽したのですが、この指導のおかげで私はこの癖が完全に身に付きました。

どんな折衝をするときでも、事務所でいろいろと考えていくのです。

一番多いのはもちろん図面提示の時。

お客さんの名前は憶えていませんが、ある時60坪を超える図面を持参してお客さん宅に乗り込んだことがありました。

ただ、さすがに60坪を超えるお宅なので、営業マンである私としては何が何でも受注したい案件だったのは当然のこと。

入念に想定問答集を作成。

つまり、シミュレーションを綿密に考えていったのです。

Q「こちらがキッチンです」

こう問いかけたときに奥さんから出る言葉は何だろうかと考えます。

①「狭いわね」
②「この壁が邪魔な気がする」
③「暗くないかな?」
④「作業スペースが狭いかな」
⑤「風通しは?」

そして、このすべてについて応酬話法を準備したのです。

もちろんキッチンだけではありません

玄関から始まって家の中すべてですからかなりの分量になった記憶があります。

でも、こうして準備をしておけば、かなりのケースで対応が可能となります。

もっとも実際に繰り出される質問は種類が多いので、想定内にはすべておさまるわけがありません。

しかし、私の経験から言うと、50%程度はこの手法で押さえることができるのです。

半分でも対応できれば上等。

心理的にも随分と楽に折衝ができるのです。

事前シミュレーション(1人芝居)も入念に

これが大事。

しかし、ここまでする営業マンはまずいないでしょう。

こうして書いてきたように、想定される質問を抽出してそれに対しての応酬話法を準備するだけで、その商談は非常に有利に展開します。

でも、頭でわかっていても、実際に言葉にすると全く勝手が違うのが常だと思いませんか?

そこで実行してほしいのが一人芝居です。

シミュレーションをしてそれを声に出して芝居をするのです。

私はこれを徹底してやっていました。

図面ができて見積もりもでき、想定問答集も準備したらほかの営業マンがいない別室に行き一人で営業マンとそれに対応するお客さん役をして、一人でぶつくさやっていましたね。

これも絶対にお勧め。

とにかく黙って実行してください。

この一人芝居は営業マンであればどんな職種でも同じこと。

口に出して話すことが大事なのです。

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