「もっといい土地があるはずだから」 に対抗して土地を決めるには?

これは不動産営業、住宅営業マンを含めたこの業界の人間にとって永遠の課題ですがここでは住宅営業に絞って現場事情をお話していきましょう。

いわゆる住宅展示場にやってくるお客さんの、およそ80%は土地なし客と言われています。

住宅営業マンは本来は家を売るのが仕事ですから、土地をすでに手当てしているお客さんの来場を期待しています。

しかし現実は違います。

来場客の多くが土地を持っていないため、家を売る前に土地を紹介するという営業活動に邁進せざるを得ない現状があるのです。

そして、一生懸命土地を紹介するのですが「もっといい土地があるような気がするんだよね」と言われて延々と

土地を紹介し続ける無限ループに陥ることに。

この事態を何とか打破できないものかと、すべての住宅会社が頭を悩ましているのです。

住宅展示場ではこんなやり取りがされている

住宅展示場にお客さんが来場すると、一般的にはアンケートへの記入を依頼します。

その様子を少し遠めのポジションから営業マンは見ているのですが、その段階で土地なしか土地ありかが判明。

頭の中では「土地なしか・・・なかなかいい土地なんかないんだよな」と多くの営業マンが考えます。

営業「土地探しは進んでいますか?」
客 「ちょろちょろと不動産屋さんを回ったりSUUMOなどチェックしているんですがね。なかなかいい土地が出てこないんですよ」
営業「ご要望をお聞かせください。該当するような土地があればご連絡いたしますので」

ほぼほぼこのような会話が交わされた後、展示場接客を終えて追客のステージに移ります。

ただ、この展示場のやり取りに私は大きな問題をはらんでいるとにらんでいます。

「ご要望に合う土地があったらご連絡します」と多くの営業マンが話すのだが・・・

こんなセリフを営業マンは展示場において日々発しているのですが、多くの営業マンがこの後の追客に失敗しています。

「もっといい土地があるかもしれない」が高い壁に

これでしょうね。

お客さんの立場になれば理解できますが、ぱっと持ってこられた土地を見て「いいね!ここに決めた!」と一撃で決断する人などまずいません。

そして営業マンもそのあたりの気持ちを汲んでいるというか想定しているので「そうですよね、また探してきますね」と妙な予定調和が起こるのです。

そうであるならば、もっと良い土地があるかもしれないと言わせないような準備と提案をすればよいのではないですかね。

簡単ではありませんが、答えはこうなるはずです。

土地要望のヒアリングポイント

私は現役時代にこんなヒアリングをしていました。

①南向きの土地が良いとが限らない
②要望に優先順位をつけてほしい
③良い土地があれば要望に合わなくても紹介する

ヒアリングポイントと書きましたが、正確に言うとヒヤリングをしながら押さえるべき点という意味になります。

以前から常々感じていたのですが、展示場で希望する土地の要望を聞くときに、何の防御線も貼らずに延々と話を一方的に聞かされているだけの営業マンが実に多いことか。

現実的な希望と夢をごちゃまぜに聞かされたうえに、それをそのまま真に受けて土地探しをしたら埒があくわけがないのです。

私の決め台詞はこれ

「お客さんのご要望に若干沿わなくてもプロである私から見てこれはいいと思った土地があればご紹介させていただきます」

これが私決め台詞。

この一言をお客さんに言いました。で、どんな返事が返ってくると思いますか?

「わかりました」

答えはこれです。

記憶にある限りですが、この問いかけに対して「そんな情報は必要ありません」と言われたことは2~3回だけです。

紹介できる土地が倍に増える

単純に言うとこういうことです。

縛りが厳しければ紹介する土地は激減どころかほぼ見つからないというケースも出てくるでしょう。

しかし、このような台詞を付け加えれば、紹介可能な土地はかなりの数に上るはずなのです。

これ以上の土地はエリア内に存在しないことをアピール

もう一つはこれでしょう。

お客さんからすれば「まだ良い他の土地がどこかにあるはずだ」「もう少し待てばどこかで空き家が壊されて住宅地が出るかもしれない」と考えるのが普通です。

つまりこのことをお客さんにわからせることが肝要ということ。

希望エリア内の土地情報を可視化して提示する

お客さんが希望するエリアの地図を準備します。

ゼンリンの地図をコピーすればよいでしょう。

その白地図に現状で出ている土地情報の場所を赤く塗っていくのです。

そしてお客さんにそれをバッと広げてみせてください。

「希望エリア内で出ている情報はこれだけです。もちろん他の出る可能性はありますが、とにかく今現在ではこれだけしかありません」

こうすればどうでしょうか。

「本当にこれ以外にはないわけか。ならば仕方がないな」となるとは思いませんか。

空き地や古屋もチェック

もう一つは空き家と空き地のチェックですね。

土地情報としては表に出ていなくても、見た目には空き地になっている場所は結構ありますよね。

そこをチェックするのです。

できれば謄本もすべて上げていけばOK。

そして古い空き家もチェックしましょう。

空き家問題は今や社会問題です。

かなりの物件がエリア内にあるはずです。

これらの家の所有者を徹底的に調べて整理すれば完璧。

もしお客さんが「この空き家の場所は最高だな」と言えば、その所有者に当たって売却を持ち掛けるのです。

規模の大きな会社ならば十分にできる作戦

いかがでしょうか。

ここまでやれば完ぺきと書きましたが、それなりの規模がある会社でないと簡単にはできないでしょう。

空き家の所有者を調べて交渉するのも、現実的には相当骨の折れる仕事です。

しかし、ここまで読んでもらえばわかると思いますが、これは決して絵空事ではありません。

理論的には筋の通った話であることがお判りになると思います。

規模が大きく体力のある会社であれば、徹底的にやるのもいいでしょう。

とにかくこれで話は大きく前進します。

住宅営業において土地なしのお客さんほど難しいものはありません。

土地なしの人は総じてあたりもよく愛想もいいケースが多い気が私はしています。

それだけに営業としては継続的に追いやすい空気があるのですが、何回土地を提案しても決まらないものは決まりません。

ところが、毎月の営業会議では、同じ名前が出続けるのです。

「継続客として追っています」と報告しやすいという事情があるのですが、これも大きな問題の一つでしょうね。

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