展示場接客では階段も説明すべきポイントであるのは言うまでもありませんが、実際にそれなりの説明をしている住宅営業マンはどの程度いるでしょうか。
おそらくは皆無に近いと思います。
私も同じでしたが、一階の接客を終えると「お二階へどうぞ」と無言で階段を上って「こちらが二階のホールです」という流れでやっていました。
ただ、お客さんから階段のことを聞かれたら、それに応じた返事はしていましたよ。
それは当たり前の話ですが、現役時代にも「階段をもっと積極的に説明してもいいのではないかな?」とは感じていました。
今日のコラムはこの階段をどう接客したらよいのかについて解説をしていきたいと思います。
階段で話すネタをあらかじめインプットしておこう
もちろんこのような対応をあなたの会社ができることが条件です。
また、できるとしてもそれで値段が跳ね上がるようでは意味がありません。
しかし、他社営業マンで階段の段数や勾配について語るケースはほぼ皆無です。
そうであれば、あなたが階段のことを語る意味があるのは当然だとは思いませんか?
とくに接客しているお客さんが高齢者との同居を検討していたり、年を取ったときのことを考慮したうえで2階建てか平屋かで悩んでいるとしたらどうでしょうか。
営業マンであるあなたの「将来的な足腰のご不安があるのならば階段の勾配を緩く作るやり方もありますよ。お考えになってはいかがでしょうか」
このセリフを言えるかどうかなのです。
住宅営業以外の方は「普通にそんなこと話すのでは?」と言われるかもしれませんが、現場をつぶさに見ている人間から言えばこれは明確に否定できます。
こんな何気ない言葉を営業マンが現場で話すケースは稀。
それが現実ですね。
リビング内階段はすでに一般的なので、お客さんも話についてきやすいと思います。
しかし現実の営業現場ではこのリビング内階段をごく簡単に説明するか「リビング内階段かそうでないかどちらをご希望ですか?」と聞くだけ。
この先の会話がないのです。
リビング内階段の利点
子供を含めた家族が玄関から自室に戻るとき、必ず家族のいるリビングを通ることになり、家族間のコミュニケーション維持に役立ちます。
基本的にはこの話をすればOK。
この話をすればお客さんからは「そうですよね」という答えが返ってきます。
リビング内階段の欠点
家族のコミュニケーションといえば聞こえはいいですが、別に無理してそこで接点を作る必要がないと言えばないとも言えます。
また、こんな問題点も。
50代の女性一級建築士がこんな話をしてくれたことがあります。
たしかにおっしゃるとおりです。
結果的にはちょっとしたついたてを購入して階段とリビング部分に目隠しとして置く羽目になったと言っていました。
どうですか?
ひとまず利点欠点としてこの話を最低限頭に入れましょう。
あとはここから話を広げればいいのです。
物事は何でも利点と欠点をまずは頭に入れて整理をしておく
リビング内階段の利点と欠点を簡単に書きましたが、これを接客時に必ず話せと言っているわけではありません。
階段には限りませんが展示場のあらゆる場所において、利点と欠点を覚えておくのです。
そのうえでお客さんの顔色とその場の空気を見ながら切り出してほしいということ。
こう考えてください。
階段で話をしたい鉄板ネタの一つは安全性
高齢者と同居するかどうかは関係ありません。
階段は安全であるべき場所であり、家庭内事故の発生頻度が極めて高い場所であることも事実。
この事実を頭に入れたうえで、階段では安全性の話だけは絶対にしたいものです。
②回り階段
基本はこの2種類。
詳しく解説する必要はないとは思いますので、そのあたりは省略しますが、とにかく階段にはこの2種類あるという話をしてください。
そして、①、②どちらであっても途中に踊り場を設けるかどうかの話もしましょう。
このレベルの話をするのを最低ラインに置いてほしいのですが、おそらくはこの程度の話をするだけで他社営業マンとの差別化になるのです。
前述しましたが、他社営業マンはそれぞれが勤務する展示場内の階段で、階段について具体的に話すことは稀なのです。
とにかく階段に差しかかったら簡単な定番トークでもいいので話を振ってみましょう。
階段の危険性に関するデータ
いい機会ですので階段での事故に関するデータを貼っておきます。
このデータを見れば家庭内事故発生の中でいかに階段が多いかということがわかりますし、死亡事故を含む重大な結果が多いとも推測できることでしょう。
自宅内で起こる家庭内事故のうち、65歳以上の事故が多数発生した場所は居室が45.0%で最も多く、その次の階段が18.7%、台所・食堂などが17.0%、玄関は5.2%、洗面所は2.9%、風呂は2.5%、廊下は2.2%、そしてトイレが1.5%となっています。(健康長寿ネットHPより)
このデータを見れば一目瞭然でしょう。
特に高齢者になると居室に次いで階段での事故が多くなっています。
似たようなデータはネットを調べればいくらでも簡単に入手できるので、自分が使いやすそうなデータを、出典を明示したうえでパソコン内に保管したり、プリントアウトしてすぐに渡せるようにしておきたいものです。
本記事執筆講師が動画にてわかりやすく解説
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