私の主な業務は新築住宅の受注方法やテクニックを営業マン相手に講習したり、 パワービルダーや工務店に出向いて全体的なコンサルティングをすることです。
しかし、この4、5年はリフォーム会社の研修も徐々に増えてきました。
年明け2022年の1月から4月にかけては、大手ハウスメーカー系のリフォーム会社で定期研修も開催します。
また、民間資格であるリフォームスタイリスト検定講師や国交省認定のリフォーム団体においてのセミナーなども引き受けています。
このような経験から断言できることがあります。
地場工務店の皆さんは、新築だけではなく何としてでもリフォーム受注を狙っていくべきなのです。
今日のコラムはこの辺りの理由を書いていきましょう。
新築激減の予測
新築専門住宅会社の経営者や幹部社員の方であれば、皆さん情報として耳に入っていることですが、今か10年も経つと新築の着工数が激減するという予想がなされています。
野村総研をはじめとしてさまざまな研究機関がこのような数字をだしていますので、この話はほとんどの方が聞いたことがあるはずです。
動きの遅い地場工務店
しかし実際の現場はどうでしょう。
リフォームやらなくてはいけないことは重々承知なのだけども、実際にリフォームを取りに行くとなるとそのやり方がわからない。
また、リフォームを受注できるとしても、その利益率や煩雑さを考えると二の足を踏む工務店が圧倒的に多いのが現状だと思います。
私もこの事情は良く分かります。
実際に工務店経営者に私がなった場合、おそらくは同じことを考えて、知り合いの工務店や競合他社の情報が気になり「リフォームはどうしている?」と聞きまくるしょうね。
東北地方の小規模工務店B社の社長
東北地方とだけさせていただきますが、10年以上前から知っている小規模工務店の社長がいます。
年間棟数は10棟未満。
これまでは新築物件を紹介だけでやってきました。
社長も紹介受注には自信があり「紹介受注が多いことだけはうちの強みだし私も非常に自信を持っているんだ」と昔から私に話していたくらいです。
しかし、そんな社長の考えが変わったのが一年前。
まさにコロナがひどくなった時期で、新規の受注が落ち込んだ頃でした。
ズームを使って久しぶりに社長とたわいもない雑談をしていたのですが「最近紹介受注がどういうわけか急減しているんだよね。あなたが前からリフォームを取らなくちゃダメだよということを話していたけども、やはりうちもそのあたりを真剣に考えた方が良いのかな?」
こんな話をしだしたのです。
実は何年も前から「リフォームを並行してやるべきだ」とこの社長には進言してきました。
しかし、前述したように、リフォームを取りに行こうとなるとそのノウハウがないことに加え、受注できたとしても単価が小さく、その割には手間もかかるということもありリフォームには消極的でした。
しかし、一年前からリフォームを積極的に取るようになり、単価の問題や手間の問題はあるものの、全体売上の1割をリフォームが占めるに至りました。
自社のOBからリフォームを受注しよう
私が社長に進言したのはまさにこれ。
新築オンリーでやってきた工務店が、リフォーム専門会社に対抗して新規のリフォームの仕事を取りに行くのは極めて難しいと思ってください。
新規のリフォームを取りに行くのは難しいですが、あなたの会社が新築をお手伝いしたお客さんであれば話はまったく違ってきます。
当たり前ですが昔から知っているわけですし、懐具合もある程度はわかります。
さらには家族構成から、建物の構造も図面も完全に手元にあるわけです。
これだけのアドバンテージがあるわけですから、リフォーム専業業者との競争でも圧倒的に有利になります。
今回のコラムでは細かい受注の方法やプロセスには触れませんが、自社のOB客をターゲットにしてリフォームを取りに行くことが比較的簡単なリフォーム受注術であることだけは頭に入れてほしいと思います。
15棟~20棟前後の工務店やローコストが淘汰されていく
これは私の推測です。
しかし、業界の様々な人間と意見を交換したり、いろいろなデータを見ると私の結論としては比較的早い段階でこのような現象が起こってくるとなります。
その根拠を1つお話ししましょう。
ウッドショックに関しては、私がここでご説明するまでもありません。
日本の建築会社すべてが被害を被っている問題になります。
ウッドショックによる価格高騰はすでに現実のものとなっていますが、今度は住宅設備機器のおびただしい値上げの波が襲ってきます。
5%、10%ならまだしも、それを遥かに上回るような値上げが今後起こってきます。
利幅の薄いローコスト住宅は特に厳しい状況が予想されます。
価格を抑えることによって他社との競合に勝ってきたわけですから、この値上げは致命的だと私は思います。
高い付加価値を付けて強気の価格で勝負している工務店は、例え小規模であっても荒波を乗り切ると思いますが、何の特徴もなく業務を行っている工務店や先に書いたローコストメーカーは当然厳しくなるでしょう。
だからこそリフォームに活路を見出す
繰り返しになりますが、だからこそリフォームに活路を見出して欲しいのです。
もし、それでもリフォームに踏み込みたくないというのであれば、他社とは違ったコンセプトを打ち出した新築の概念を早急に考えましょう。
「うちには腕の良い大工がいる」「親切丁寧な真心を持った施工」「親子代々40年間やっています」などの項目を全面に打ち出している工務店は危険。
お客さんに対して圧倒的にアピールする内容がないと、到底勝てるとは思えません。
リフォームには非常に大きなメリットがたくさんある
まずは資金回収が速いこと。
新築と比べるとそのサイクルは格段に速いので、当然のことですが資金回収も早くなります。
また、利益率も確保しやすいのもリフォームの特徴。
リフォームに慣れていないと最初はミスやトラブルも多く、それが利益を圧迫するようなこともあるでしょう。
しかし、そのハードルさえ超えてしまえば、1軒の新築をとるよりも五件のリフォームを取る方が、リスクヘッジという意味からも極めて経営的にはよいことに気づくはずです。
新築とリフォームのバランスをうまく取った受注体制を
誤解しないでほしいのですが、新築だけをやってきた工務店に対して、リフォーム業に転換しようと言っているのではありません。
あくまでも新築メインでいいと私は思っていますが、新宿と同様にリフォームも重要だと考え、その比率を上げてほしいと言っているのです。
施主のフォローをすればリフォームは比較的簡単に受注できる
答えはこれ。
施主のフォローをすればリフォームは受注できますよ、ということなのです。
ただ、こう書くと「そんなことはわかっているけど手が回らないのだ」という声が聞こえてきます。
しかし、5、6人でやっているような小さな会社でもお施主さんのフォローをしっかりやっている工務店は、安定したリフォームの受注をとっています。
本記事執筆講師が動画にてわかりやすく解説
工務店営業社員の育て方 「24年にわたって現場で営業育成をしてきたノウハウの一部をご紹介」
積水ハウスと 零細工務店で営業を経験したのち独立した私は、以後24年間に渡って現場で営業指導を行ってきました。
コンサルティング現場ではさまざまなことを行ないますが、今回の50分のビデオではコンサル現場で実際に行っていることも交えながら、3点にポイントをまとめて解説しています。机上の空論ではなく、すべてが 現場で実践してきた内容ですので、是非とも最後までご視聴ください。
今年度はひとり親方の 大工さんから、上は年間2000棟以上こなしているパワービルダーの社員研修まで幅広く行っていますが、規模の大小に関係なく、ある事を徹底的に忠実に実行すれば 受注が伸びていくのです。