住職さんから圧倒的な信頼を得た小規模工務店

今から10年前にひょんなことで面識を持った工務店の社長と歴史あるお寺のご住職がいます。

ちょっとしたご縁があってのことだったらしいのですが、それがきっかけになってご住職の自宅はもちろんのこと、本堂の耐震工事、本堂の床暖房、ご夫婦の離れ、さらには庫裡の工事まで一切合切を任されたという話を取り上げます。

私は現在進行形でこちらの工務店さんにYouTubeの動画作成のお手伝いで関わっていますが、動画のネタを話し合っている時にこのご住職の話が出てきたので「ぜひ取材しましょう」となり、私はカメラを抱えて社長と一緒にお寺に伺ったのです。

私は取材に徹していたのですが、その時にご住職と社長との関係性やご住職がどういうところを見て社長に信頼を寄せたのかということを、つぶさに目の当たりにしました。

この辺りの経緯を、取材現場の写真を交えてお話をしていきましょう。

取材をしたのは2月の半ば

これは動画撮影の後に撮ったものです。

真ん中がもちろんご住職で右側が工務店の社長、そして左端が私となります。

「YouTube に出てくれませんか?」

この問いかけに二つ返事でOKを出してくれました。

実際にお会いすると、年齢もあるのでしょうがやはり住職さんというお仕事なので、ちょっとしたお話の全てが「なるほど」「おっしゃる通りでございます」とついつい話に聞き入ってしまうものばかり(笑)

こんな感じで雑談もしましたが、本題は社長との初対面の様子やその後どうして10年間も色々とお付き合いするようになったのかという経緯です。

最初の出会いは市の耐震補強相談会

社長の会社は三重県の四日市市にあるのですが、四日市市が主催する建物の耐震補強相談会で出会ったとのこと。

ご住職がたまたま出かけた時の当番が社長でした。

その場ではいろいろお話をして、社長は特に追客することもなく「お話がまとまったらご連絡下さい」とだけ伝えて別れたのです。

突然の連絡「もう一度お会いしたい」

ここからが本題です。

四日市市が開催した耐震補強相談会では、社長がアポイントを取ることもなくそのまま別れました。

「次回の約束を取ろうとかそういう考え自体がなかったですよね。その気になったら連絡下さいね、という別れ方です」

私のような純粋な営業出身の人間は、このようなシチュエーションであれば無意識のうちに次のアポイントを何とかとろうと動いてしまいます。

営業の基本として私はこれでいいと思いますが、こちらから何もアクションを起こさずにお客さんから声がかかるのであれば、そちらの方がスマートです。
この時はまさにこのような動きがありました。

相談会では具体的な相談をしてそのまま終わったわけですが、一週間ほどしたところでご住職から社長宛に電話があったとのこと。

ご住職「この前色々お話を伺いましたが、具体的に動きたいのでもう一度会うことはできませんか」
社 長「はいもちろん構いませんよ」
ご住職「私の妻が社長に是非お会いして家の相談をしたいと話すものですから」

このような会話が電話であったらしいのですが、ポイントとなるのは奥さんが社長に会いたいという強い要望を出したということです。

ご住職の奥さんは社長のどんなところを気に入ったのか?

「どんなことを聞いてもしっかりと誠実に返事をくれた」

ご住職への取材で出てきた答えはこれでした。

当たり前といえば当たり前なのですが、耐震補強について色々と話を聞く上で社長がありとあらゆることに対して詳しく話をしてくれたことが強く印象に残っていたようです。

また、 誠実であったことが高いポイントを得たようですが、これにつきましては個人の資質もありますので、私からどうのこうのとは言いようがありません(笑)

私は社長を知っていますのでよく分かるのですが、決して早口でまくしたてるのではなく、ゆっくりと噛み砕くような落ち着いた話し方をします。

また、これは私の営業方針とは若干方向性は違うのですが、社長が言うには「ビジネスですからこちらから追客することは大事だと思いますが、可能な限りお客さんのペースでやりたいですからね」

営業としては理想だと思います。

そうですよね。

これは皆さんも異論が無いと思います。

こちらからお客さんを追いかけるという行動をせずに受注が得られるのであれば、それが最高の営業手法と言えるのです。

この他にも色々な話をご住職はされていましたが、これ以上具体的にはお話ししようがありません。

つまり、「なんとなく全体的に良かった」という表現になってしまうからです。

ですから、ここで皆さんにお伝えしたいことは、非常にベタベタな内容にはなってしまいますけども、誠実に話をしてくれたということに加え、営業の匂いが全くしなかったということが功を奏したという結論になるかと思います。

10年間にも渡って次々と工事を発注した理由は何だったのか?

初回面談時の対応を気に入って最初に家を建てたところまでは理解ができます。

しかし、10年間にも渡って次から次へと新たな工事を社長に依頼したということは、やはりその過程でもご住職と奥さんを惹きつける何かがあったということでしょう。

話を徹底的に聞いてくれた

「私の妻はこの社長はとにかく話を徹底的に聞いてくれたと言うんですよね。一回の打ち合わせで3時間も4時間も延々と打ち合わせをするということも頻繁にありました」

結論としてはこれだと思います。

新築の契約をしてその後トラブルを起こすということがよくありますが、これは契約までは何とか取り繕ったとしてもその後にボロが出てしまって信頼を失うからです。

しかし社長は違いました。

最初は人間性に惹かれて契約をしたわけですが、実際に打ち合わせを重ねていくと、奥さんが納得するまで徹底的に話に付き合ってくれる姿勢や、何かお願いするとこれまた徹底的に調べて分厚い資料を持って打ち合わせに臨んできたそうです。

この態度にますます信頼を寄せた奥さんは、家の工事だけではなく、離れの工事、お寺の古い部分のリフォーム、そして庫裡の新築工事まで社長に任せたのです。

【庫裡(くり)とは?】
ここで庫裡について簡単に解説をしておきましょう。
初耳である方も入るでしょうし、聞いたことはあっても具体的に何だと言われると答えるのが難しいという方もいるでしょう。
庫裡とは住職などお寺の関係者が住んだり休んだりする場所であるとともに、食事を作るところと考えていただければ大丈夫です。
庫裡の裡は裏という漢字をあてることもあり、中とか内という意味合いも持っています。

話を戻しましょう。

この写真はビデオ取材時のもので、取材場所はお寺の本堂です。

最新の工事はこの本堂の床暖房でした。

お邪魔したのが2月の厳冬期でしたが、床暖房のおかげで足元はポカポカ。

お寺にやってくる方の年齢層を考えると寒いのは体にかなりこたえるはずなので、檀家の皆さんは当然のことながら大絶賛です。

取材で印象的だったこと

40分程度にわたってご住職からお話を伺い、その後に離れや庫裡などを見させていただきました。

取材で印象的だったのはご住職が何度も何度も「本当にいい人に出会えた」と繰り返したことです。

工務店として受注をとるにはSNS戦略、DX戦略、などといった最先端のものを取り入れることも重要ですが、この社長のように「いい人に出会った」とお客さんから言われるような行動を忘れては受注は成り立ちません。

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