媒介獲得しやすい任意売却案件の探し方 | 全部事項を見てランク分けする方法

任意売却案件を効率よく物上げするコツ|処分の制限に関する登記のランク分け では、最初に不動産登記受付帳(処分の制限に関する登記)の状態でふるいに掛ける方法について、一例を示してみた。

そして今回は、前回の方法でふるいに掛けたものを更に登記情報の全部事項を使って、更にランク分けしていく方法について見ていこう。

すべて全部事項で登記情報を取得していくなんてお金が勿体ないと思うかも知れないが、この絞り込みは効率よく追客するためにとても重要なのだ。

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任意売却は通常の仲介と比較して、確かに難しいです。
ただ、それは他社も同じ。
任意売却を扱えるようになることで、他社と大きく差別化を図ることができます。
本動画では任意売却を手掛ける際の「マーケット知識」「債務者との折衝の仕方」「債権者との交渉の仕方」「陥りがちな失敗」をお伝えさせていただきます。

媒介獲得しやすい任意売却案件の探し方 | 全部事項を見てランク分けする方法

全部事項を見て排除すべきもの

まずは、追客リストに加えずに捨ててしまうものについて。
ここで理解してほしいことは、一般売却のように何でもいいからとにかく物上げすることが目的ではなく、任意売却なので最終的にうまく捌けるものを重点的に狙うということだ。

件数が多いと手間がかかりうんざりするが、先々で無駄な時間を使わない為にも登記情報の内容を吟味し、下記に当てはまるものがあれば迷わずに排除しよう。

  • 排除1 共有者3人以上
  • 排除2 連棟の一部
  • 排除3 昭和築のボロ(築古)
  • 排除4 居宅以外のもの
  • 排除5 築浅の収益物件
  • 排除6 不動産業者が所有している
  • 排除7 差押3本以上
  • 排除8 財務省が差押
  • 排除9 個人が貸付
  • 排除10 相場を超越したフラット案件

排除1 共有者3人以上

任意売却は一般の売却と異なり、所有者(債務者)を最後の決済時まで元気付けながらエスコートする必要がある。夫婦だけならまだしも、相続案件などで多数の共有者がいる場合には、共有者の数だけ他社と天秤にかけられたあげく、同じ方向で合意してもらう為の労力と時間は半端ない。

排除2 連棟の一部

物(モノ)と販売価格にもよるが、今どき高いお金を払ってまで好んで連棟を欲しがる人は少ないと思う。労力もかかり、タイムリミットもある任意売却では、あえて売れにくい物を狙う必要はない。

排除3 昭和築のボロ(築古)

買取再販目的で物上げするならボロを狙うのもアリだ。

しかし、新築当初からのオーナーである場合は、住宅ローン残債額に反比例して自宅への愛着が強く、目前の完済に向けて頑張る傾向が強いように感じる。それは、同居している家族だけでなく、別居している家族(独立した子供)にも同じことがいえるだろう。

つまり、住宅ローンの残債が少ない場合は、家族からの援助が入り不動産業者の手は借りなくても大丈夫ということが多いと予測できる。

排除4 居宅以外のもの

私の経験上では、不動産で一番無難に売りやすいものは住宅だ。

一般の売却なら、土地はもちろん、店舗や事務所、倉庫や工場などの事業用でもガツガツと狙うべきだが、任意売却の場合はチンタラと時間をかけて売っている暇はない。

しかも、居宅以外は立地(特に道路付け)によって大きく価格が変動する為、せっかく媒介を獲得できても債権者との抹消交渉で決裂することも多い。なので、既に買い手の見込みがある場合のみアプローチするようにしたい。

排除5 築浅の収益物件

築浅は債務がほとんど減っていない点(抹消額の交渉が難しい)と収益還元法による売値が低くなりがちな点(抵当権を抹消できない)、そして収益物件オーナーにはお付きの業者も多い為、振り向かせるための現金が高額になる点(自社のリスクは増えて利益は減る)の3つのことからおすすめしない。

このタイプは、任意売却でアプローチするよりもリスト化しておき、競売に出るのを待つ方が儲けのチャンスになる。

排除6 不動産業者が所有している

繋がりのない業者の場合、媒介を獲得しても途中で音信不通になる(媒介を一方的に打ち切られ他社に任せる)こともある。

また、変な絵描きを依頼された挙げ句、それを真に受けて軽はずみな行為をした場合、それをネタにゆすられる可能性もゼロではないと肝に命じておこう。

まさか、自分自身も火の粉をかぶるようなマネはしないだろうと油断してはいけない。

失うものがなくなった者にもはや怖いものはない。

排除7 差押3本以上

固定資産税だけを滞納している時のように、同じ債権者の差押が数発入っているものは排除しなくても良い。しかし、複数の債権者が差し押さえている場合は、債権者の数だけ売却代金の配分案で合意に至る確率も下がっていくので、余裕のある時だけトライしてみよう。

ここに発掘コストをかけ続けるくらいなら、他に予算を回したほうが得策だと私は思っている。

排除8 財務省が差押

財務省が債権者の場合、基本的に不動産業者が代理人として抹消交渉することができない。

つまり、債務者が債権者とやりとりし、そのニュアンスを忠実にフィードバックしてもらえなかった場合は、後々「債権者とのやりとりを一言一句、自分で勝手に言葉を置き換えずにきちんと言ってくれ!」と債務者に言いたくなるような事態になる確率が高い。

しかも、債務者は自営業者で、住宅ローンの残債以外に消費税や所得税などの滞納額が数百万というケースも多く、「できるだけ自分でなんとかしよう」と競売開始まで踏ん張り続ける傾向が強い。
このタイプも余裕がある時のみアプローチするべきだと言える。

排除9 個人が貸付

これは、一番抵当権である住宅ローンの後順位、つまり、2番や3番目に金融機関じゃなく個人が金を貸し付けて抵当権を設定している場合。

個人の債権者は事務的な法人と違って感情論になったり、抹消同意を取れたと思っていても決済日に「よく考えたら、○○万円貰わないと納得できないからハンコ押せないなぁ~」とゴネ出す輩もいるので要注意だ。

もし、そうなれば「ゴネ出す輩」以外の全員が大迷惑し、その後どうなるかを想像してみればわかるだろう。

排除10 相場を超越したフラット案件

例えば、当時の価格相場が3000万円程度だと思われる物で、住宅ローンの借入が4000万円や4500万円のように明らかに盛っているもの。ここでは詳細を割愛するが、フラットは属性の低い人でも借りやすいことから、いろいろなタイプの人が借りているとだけ覚えておこう。

残ったものをランク分けする

次は、ふるいに掛けて残ったものをランク分けしてみよう。

私の場合、下記のようにA~Dの4つのランクに分けているので参考にしてほしい。

Aランク 複数の差押(履歴)あり

差押解除していても謄本上で過去に差押されては解除している履歴があるものや現在も2本以上の差押があるもの。

このAランクの債務者は、常にお金に困っており余裕のない状態だといえる。つまり、任意売却での再起を図ることは、債務者にメリットがあるので必ず定期フォローを行う。

Bランク 初めての差押

謄本上の差押が1発しか入っていなく、且つ解除されていないもの。

このBランクについては、ラッキーパンチを期待して初回アプローチをしたあと、焦る気持ちをグッとこらえて、自然とAランクまで昇格するのをじっくりと待ちたい。

Cランク 初めて差押されたが解除済み

Cランクは、初めて差押されたが早々に滞納分を支払って、差押は解除済みのもの。

別にお金がないわけじゃないけど、固定資産税の支払いをうっかり忘れていただけ。ちなみに、私は今までにこのCランクから訪問やDMで物上げできたことが一度も無い。

なので、リスト化して今後の成長に期待したい。

Dランク 差押はあるけど住宅ローンは無い

いろいろなケースも見受けられるが、多いのは住宅ローンを完済しているか相続した物件で、固定資産税などの税金を滞納して差し押さえられているケース。

このDランクに普段使用している(住宅ローンでお困りの方へ的な)任意売却のDMでアプローチをしても反応は期待できない。そもそも、困っている点とその解決方法がマッチしていないからだ。

このDランクを振り向かせる為のアプローチについては、別の機会に話そうと思う。

以上、ここまで私なりのランク分けについて見ていただいた。
次は、あなたが自分自身の価値観に基づいて見込み客のランク分けをしてみよう。

そして、決して忘れてはいけないことは、1度や2度アプローチして反応が取れなくても諦めないこと。簡単に反響が取れるのが理想だが現実はそんなに甘くない。

おまけ 債権者が代位登記しないエリアを攻めよ

固定資産税などの市税滞納による差押は、所有者の謄本上の住所が住民票と異なる時、債権者(市町村)によって登記名義人の住所変更登記を強制的にする市としない市がある。

つまり、登記名義人の住所変更登記を強制的にしない市にある差押物件は、登記上の所有者の住所が物件の場所と一致しているとは限らない。

登記上の所有者住所が差押物件と一致しないのは、所有者が物件を購入した時に旧住所で所有権保存しているケースだ。(差押物件から転居済みの場合を除く)

こんな場合、地番で所有者の居場所(物件)を特定できない住居表示実施エリアなら、ブルーマップを使うか、または地番図と住宅地図(グーグルマップも便利)を使って地番から住居表示を割り出さなければ所有者へアプローチすることができない。
この作業は、超面倒くさいので基本的に競合も少ないと言える。

逆を言えば、債権者が所有者住所変更登記を強制的に実施している市では、登記簿上の住所目掛けてアプローチすれば基本的に所有者にたどり付くため、資本力のある不動産業者は全部事項で絞り込むような手間ひまをかけずに所有者事項だけでリスト化し、数撃ちゃ当たるDM作戦で参入しているところもある(不動産の知識がないパートのおばちゃんやアウトソーシングでもリスト化~DM発送の仕組み化が簡単にできる)ため競合が多い。

<次回は、無名の一人不動産屋でも媒介は取れる!所有者から選ばれた理由について>

なぜ、競合からもアプローチを受けているはずの所有者さんは、ほぼ一人でやっている無名の不動産屋である私を選んでくれたのか?その理由について、数名の所有者さんにインタビューした結果をお話しします。

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【本記事執筆者解説】はじめての任意売却の手掛け方

お客様から任意売却の相談があっても、
経験が少なくどうすればいいかわからない

任意売却は通常の仲介と比較して、確かに難しいです。
ただ、それは他社も同じ。

任意売却を扱えるようになることで、他社と大きく差別化を図ることができます。

本動画では任意売却を手掛ける際の「マーケット知識」「債務者との折衝の仕方」「債権者との交渉の仕方」「陥りがちな失敗」をお伝えさせていただきます。

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