任意売却案件を効率よく物上げするコツ|処分の制限に関する登記のランク分け 

前回の記事を読まれた人は、不動産登記受付帳(処分の制限に関する登記)から任意売却の物上げアプローチをする場合、しっかりとランク分けをする必要があるということはご理解いただけたと思う。

そこで今回は、不動産登記受付帳から効率よく任意売却案件の物上げ(媒介獲得や仕入れ)につなげる為の処分の制限に関する登記のランク分け(絞り込み方)を公開しよう。

詳しく説明するので、任意売却初心者の方も安心して最後まで読み進めてほしい。

不動産会社のミカタ,不動産仲介業務効率化,

絞り込み作業は大きく2ステップ

それは、

  • ステップ1:不動産登記受付帳(処分の制限に関する登記)の状態から仕分ける
  • ステップ2:ステップ1で仕分けたものを登記情報で更に仕分ける

ということ。

つまり、効率よく物上げするには事前に見込みの薄い案件を除外することがとても重要になる。

私は、不動産テックが進化しても、不動産登記受付帳から物上げするための絞り込み作業をAI技術などで完全自動化できるようになるまでには、あと数年はかかると思っている。

何故なら、不動産業者の考え方や価値観は様々である点に加え、AIで解析させるには膨大なアプローチ結果のデータベース構築が必要になるからである。

つまり、現在において任意売却の物上げは、手間のかかる泥臭い作業を愚直にこなせるかが重要で、儲かりそう且つ媒介が取れそうな案件に集中してアプローチすることこそが、小さな不動産業者が生き残る最善策だと私は考えている。

ここでは、最初に行うべきステップ1を掘り下げて解説するので参考にしてほしい。

ステップ1:不動産登記受付帳の状態から仕分ける

私が推奨するアプローチせずに除外すべきものとは次のもの。

1・需要の少ない市区町村のもの

需要が少ないエリアを自分からあえて狙う必要はない。

なぜなら、需要が少ないエリアは不動産価格相場が低いので、債権者との抹消金額で折り合いがつきにくいという点買取再販するにしても利益が少ないという点を考慮すると骨折り損になる可能性が高い為である。

客観的に需要を判断するには、各自治体が公表している「町別世帯数の推移」で過去5年間の増減率を見てみるのも良い。

今の日本は、多くの市区町村で人口減少傾向にあるが、その減少率の高いところについては、できるだけ自分からは狙わないようにしたい。

もし、自分が行きやすく慣れた町、会社から近いという理由だけで選んだエリアで物上げアプローチをしているなら、一度は世帯数の増減率を調べてみても損はないと思う。

2・配当要求終期の公告

裁判所で配当要求終期の公告(公示)されたものは、一般的に多くの任意売却業者が裁判所で公告された日に訪問している為、既に他業者へ媒介を取られている可能性が高い。 

配当要求終期の公告は公示日から3週間~1ヶ月ほど裁判所内に設置されているので、月末に法務局本局へ不動産登記受付帳の申請と受け取りを行い、それが終わればその足で裁判所へ行き、約1ヶ月分の配当要求を遡ってスマホ等で撮影しよう。

そして、会社へ戻ってから不動産登記受付帳から配当要求に出ていたものを除外する。

もし、あなたが裁判所へ配当要求の公告を見に行ったことがないなら、事前に裁判所へ電話して、配当要求が公示されている場所を確認してから行くことをお勧めする。

なぜなら、配当要求の公示は地方裁判所でされているが、裁判所によっては競売事件を取り扱う民事部が離れた別の場所にある地域もあるためだ。

自分で裁判所まで出向かずに、配当要求のデータをまとめて手に入れたい時は、

  • 情報屋から買う
  • 裁判所の近所に住む人などに業務委託し、写メを送ってもらう

など方法はいくつかある。

不動産登記受付帳の表記種別などを見て除外する

任意売却案件 物上げ 登記

上の図は、不動産登記受付帳の一部を分かりやすいように再現したもの。

もし、不動産登記受付帳の見方がわからない場合は私の解説サイトにまとめているのでそちらも合わせて参考にしてほしい。

経費を抑えて結果を出したいなら基本的にAを狙い、B~Dは除外する方がいいだろう。

A:任意売却の物上げで狙うべきもの

これを狙う理由は、場所が「相場でも早期に売れるエリア」であり、物件種別は「土地」となっているが、物件地番の右隣りに「外1」の表記があるため。

「外1」とは、その物件と同時に差押登記されたものが外に1つあるという意味で、大抵の場合はその土地の上にある建物であることが多い。

つまり、物件種別の表記部分が「土地」となっていても、地番の横に「外1」と表示されていれば、一戸建てなどの土地建物であるということを意味している場合が多い。

ただし、稀に土地2筆の場合もあるとだけ覚えておこう。

この段階では、とにかくこの組み合わせのものだけをピックアップしていこう。

後で行う登記情報(全部事項)を取得して更にランク分けする段階では、事前に建物がある土地なのかを確認してから全部事項を取得するので、無駄に登記情報料を使うことは無いから安心してほしい。

仮に「外1」の部分が「外2」となっているものは、一宅地一建物の原則から、その土地の上に建物が2つあるということではなく、位置指定道路(私道負担)などの他の土地を含んでいるものである場合が多い。

もちろん、前述のように建物が無く土地3筆という場合も稀にある。そして、同じ理屈から外3や外10などもあるが、この絞り込み作業の段階では特に気にしなくても構わない。

B:「区建で家屋番号の末尾が1~2桁」は除外

区建とは、区分所有建物の略で分譲マンションであることが多く、稀に商業ビルなどの店舗や事務所の1室という場合も含まれる。

区建の所在地部分には、地番の代わりに家屋番号が表記されており、その末尾(現在では部屋番号になる部分)が1~2桁のものは、昭和に建てられた築古の分譲マンションであることが多い。

古い区建は追わない方がいい理由として、私の事例でお話しよう。

それは、物上げDMを見たという区分所有者からの反響電話を受け、テンション高めで物件に向かった時のこと。

物件に近づいていくと、だんだんと全体像がはっきりと見えだす。

各階の廊下やバルコニーの手すりが格子でスケスケ状態の全体的に昭和レトロ感が漂う築古マンション。

それを見た私は、販売で苦戦することを0.3秒で悟った。

私は、ドロ沼に深く突き刺さったような重たい足取りで所有者のもとへ辿り着くと、簡単に自己紹介を済ませてから「税金以外に管理費・修繕積立金はどれくらい滞納ありますか?」と聞いた。

すると、所有者は「80万円ほどで、今も増え続けている」という。

それを聞いた瞬間、今後、古い分マンにアプローチすることはやめようと決心した。

2千~3千万円以上で売り出せる物件ならまだしも、明らかに1千万円未満でしか売れない物件で、税金滞納分とは別に80万円もの管理費修繕積立金の配分を納得する債権者や売主の滞納分を肩代わりしてまで買いたいという奇特な人を私は見たことがない。

築古の区建の場合、一言で言えば誰も得しないのである。

C:種別が土地で「外1」などがないものは除外

これは単に土地単体で差押されているケース。

なぜこれを除外するのか?

それは次の3つのことが推測されるため。

・企業の所有である可能性が高い(企業は個人よりも基本的に頼るところ(競合)が多い)

・個人でも余分な不動産を持つほどの人なので、まずは知り合いの業者に相談する

・その上に住んでいる訳ではないので、緊急性が低い

過去にアプローチした相手全員から回答を得たわけではないので、あくまで推測ではある。

しかし一つ付け加えると、私は今までにこのタイプで媒介を獲得できたことは1度もない。

D:種別が「建物」となっているものは除外

これも次の2つの推測による。

・土地がない(土地は別の所有者)というのは、借地上の建物である。

・収益物件のように、土地は個人名義だけど建物は法人名義の可能性がある。

前者の場合、あなたに買取再販できるだけの資金(又は金主)があるなら、現金をチラつかせながらチャレンジするのもよくある手法だが、地下げして現金化するまでの労力と時間を考えた場合、小さくやっている一人社長や早く結果を出さないとジリ貧になるフルコミ営業マンには辛い。

後者の場合、一般的に収益物件の所有者には、従来から取引のある不動産業者が付いていることが多いので、所有者の感情に深く突き刺さるもの(圧倒的なメリット・保証)が無いと媒介を取るのは難しい。

この2つは、あなたが現金を持っていなくても信頼できる金主がいるならチャレンジする価値はある。

しかし、借地権売買だったり、収益なら留置権が付いていたりと、初心者には難しく感じるニッチなマーケットなので、慣れてくれば経験者の助言をもとにチャレンジしてみよう。

<次回は、全部事項を見てランク分けする方法について>

あなたが一人社長なら、フルコミッションの営業マンなら、この「処分の制限に関する登記」から効率よく物上げする為には、どうすれば効果が出やすいのか?について私の大阪での経験に基づいて書いてみようと思います。

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